みなさんが小学生,中学生だったころ,
英語の学習はどんな感じでしたか?
ほとんどの人は,「読み書き中心」と答えるかもしれませんね。
現在の英語教育もまだまだ「読み書き中心」ではありますが,
それでもスピーキングが増えるなど,少しずつ使える英語をめざそうと変わってきています。
そう,変わってきてはいます。
いますが…
今回言いたいのはそこではないのです!
それは何かと言うと,
「それでも変わっていないところがまだまだある!」
ということ。
今回は,その中の1つについて言及してみたいと思います。
―本当?って,Really?でいいの?―
現在の中学英語は,よりコミュニカティブな英語を目指していて良いのですが,
使われている表現でどうしても気になることがあるのです
それは,
“Really?”(本当に?)
という表現。
対話文を中心に,どの教科書にもかなりの頻度で出てくるのです。
「『本当?』って意味で使うんだから,いいんじゃないの?」と思う人もいるでしょう。
そう,たしかに間違いではありません。
ですが,やっぱり使い方に要注意ですし,教科書では「使いすぎ」というくらい使われています。
例えば,(著作権の関係でそのままの表現は書けませんが)
A: I can play the piano. (ピアノを弾くことができるよ。)
B: Really?(本当に?)
A: I don’t like natto. (納豆は好きではないよ。)
B: Really?(本当に?)
A: I went to England this summer. (この夏,イギリスへ行ったんだ。)
B: Really?(本当に?)
こんな感じです。
ちょっと使いすぎ!
いやいや,疑ってどうする?って,感じです。
これは,日本語の感覚の
「本当?」「マジで?」または「そうなの?」
のような使い方をしているのだと思われますが,やはりいつも言うように
「日本語をそのまま英訳するのは要注意」なのです。
―日本語で考えてみても同じ―
考えてみれば,日本語だって同じだと思うのです。
「昨日,買い物に行ったんだ。」
「本当に?」
「新しくできたお店,とても美味しかったよ。」
「本当に?」
このように会話の中で,「本当に?」ばかり使われてしまうと
「人の言うことを疑っているのかな?」と思ってしまいます。
ではどうしたら良いのか。
「本当に?」のあとに,「相手の言うことを信じている」と理解できる言葉を付け加えるのです。
「新しくできたお店,とても美味しかったよ。」
「本当に?じゃあ,行ってみようかな。」
このように使うと,嫌な気持ちにはなりません。
これは英語でも全く同じ。
“Really?” という言葉を単体で使うと,ちょっと疑いの意味を込めている感があります。
ですので,
A: I can play the piano. (ピアノが弾けるんだ。)
B: Really? I didn’t know that. (本当に?それは知らなかったよ。)
などのように,あとから相手の言うことを信じているセリフを付け加えると,相手を嫌な気持ちにさせる可能性はかなり低くすることができます。
どうしても,「“Really?”って,つい言っちゃうんだよなぁ。」と言う人は,ぜひお試しくださいませ。
―“Really?”からの脱却―
でも「自分は “Really?”から卒業したい!」という方。
全然難しくない表現で,こんなのもありますよ。
“Are you serious?” (それ,真面目な話?)
“That’s surprising!” (それはびっくり!)
“That surprises me!”(それはびっくり!)
“Seriously?”(Are you serious?の省略形)
“For real?”(マジ?)※かなりカジュアルな言い方
などなど。
( )内の日本語訳は,あえてその単語の意味を使って書きましたが,これらはすべて
「本当に?」というニュアンス。
でも,もっと簡単な言い方があるんです。
それは,
“Oh, yeah?” (へえ,そうなの?)
という表現。
これだけで十分に,「本当?」に相当する「そうなの?」というニュアンスになるのです。
ただし,一つ注意すべき点が!
それは, “Oh, yeah?” は,とてもくだけた言い方ということ。
なので,友人同士や親しい間柄で使うようにしましょう。
それ以外の場合は,上に書いたような言い方の方が無難かもしれません。
―日本語をそのまま英語にしない―
日本語圏と英語圏内の国では,当然,文化も習慣も違います。
ですので,日本語をそのまま英語にしてもニュアンスが異なる場合があります。
この,”Really?”も,「本当に?」と言う意味でネイティブが使わないわけではありません。
もちろん使います。
でも,先に述べた教科書のように「多用しないこと」,そして, “Really?”単体では,「疑いの意味合いが強い」ということ,そこを知っておくということが必要なのです。
私たち英語学習者は,特にそういうことも心に留めておきながら,英語を習得していきたいと思います。
そういえば先日,自宅近くの地下鉄の駅である外国人から話しかけられました。
その方は中東の出身という感じ。
「すみません。○○眼科はどこにありますか?」
と丁寧な日本語で話して来られたので,こちらももちろん日本語で説明しました。
すると,
「本当か?」と,いきなりのタメ口。
それでも外国の方だし…と説明を続けると
「それ,マジか?」
と,なぜか一気に距離が縮まる。
「いや,マジですよ。」と答えると
「本当か?」と,いわゆる “Really?”を連発。
(これ,なんの時間だよ!)
と思いながら,「本当です。もし,またわからなかったら他の人に訊いてください。」とその場を後にしました。
やっぱり “Really?”を多用されるとちょっとムカつくものですね。
気をつけましょう(笑)
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。