「コートジボワール」と聞いて、何を思い浮かべますか?
いえ。何か思いつくことはありますか?
都市の名前?…それとも国の名前…?
でもどこ?
っていう感じじゃないかと思います。
コートジボワールは、アフリカ大陸の中にある国の一つ。
と言っても、「アフリカのどこ?」という感じですよね。
コートジボワールと聞いて私が思い浮かべるのは、ニューヨークで出会ったタクシーの運転手さん。
<アフリカにビーチ?!>
初めてのニューヨークでミュージカル「アラジン」を見た帰りの事。
ホテルまで戻るためにタクシーを探す。
その時は友人グループ7人での旅行。2台に分かれて乗るも、1台に4人は後部座席に乗り切れない。そこで、私が一人前の助手席に乗る事に。
運転手さんは黒人のドライバーさん。
ニューヨークが初めての私は、(ニューヨークのタクシードライバーさんって、運転も荒らそうだし、ぶっきらぼうで怖そう…。)と勝手な思い込みがあった。
緊張気味に行き先のホテル名を伝える。
ホテルまではそんなに遠くはないが、そこはニューヨーク。ミュージカル終わりのためか、夜遅い時間にも関わらず、激混みでぜんぜん車は動かない…。
なんだか気まずい空気。
こういう時、話しかけた方がいいのか黙っていた方がいいのか迷ってしまう。
ドライバーさんによっては勇気をだして話しかけたのに素っ気なく返される事もあるし、そうなると益々気まずい雰囲気になってしまう…。
後ろに座る友人たちとの間には、分厚い透明の仕切りがついていて会話もほとんど聞こえず話にも入れない。
前の座席は、後ろの座席とは切り離されたドライバーさんと2人きりの空間なのだ。車の外は、人の声やクラクションでかなり賑やかだが、車内はし~んとしていた。
(何か話した方がいいのかなぁ…。)
もともと積極的に話しかけるタイプでない私は一人、気をもむ。
と、ドライバーさんが
「どこからきたの?」と話しかけてくれた。
(あ~、良かった。話してくれた~。)
私:「日本から」
ドライバーさん:「日本?!いいね~!日本行ってみたいんだ。」
日本にも行ってみたいと聞いて嬉しくなる。
話してみると、彼は結構なおしゃべり好きで、アメリカに来て7年目だという事やN.Yでの仕事や生活は大変だけど気に入っている事など教えてくれた。
アメリカに来て7年という事は、アメリカ人と思っていたが、どうやら違うらしい。それで、今度は私が彼に「どこから来たの?」と聞いてみた。
そして、彼が答えたのが
「コートジボワール」
(コートジボワール??? ってどこだったっけ???)聞いた事があるようなないような名前に一生懸命思い出そうとしたが、全くどの辺りかも想像できなかった。そこで、素直に
私:「ごめんなさい。その国知らないんだけど、コートジボワールってどこにあるの?」
ドライバーさん:「アフリカの西の方だよ」
アフリカの西の方…。
私が知っているアフリカ西側の国はガーナのみ。
私:「ガーナの近く?」
ドライバーさん:「あ~、ガーナの西側だね。あの辺りはたくさん国があるから分からないかもね。」
その通りだ。一生懸命アフリカの地図を思い浮かべるも、西側の国々がどうなっているのか全く思い出せない。
それでもどんな所なのか気になる。
私:「ごめん。場所はよく分からないけど、どんな国なの?」
ドライバーさん:「海がきれいでね。ビーチリゾートがあるんだよ。」
海?! アフリカにビーチ???
私のイメージの中のアフリカは、砂漠のエジプトか、サファリパークのようにシマウマやキリンがいるイメージ。
確かに周りは海に囲まれているけど、海やビーチのイメージは全くなかった。しかもリゾート地とは驚きの事実。
私:「へ~!アフリカにもビーチがあるんだ!知らなかった~。他に有名な物は?」
ドライバーさん:「あとは、サッカーかな。」
その一言で思い出した!日本対コートジボワール戦!サッカーに疎い私でも記憶にあるサッカーの試合。
私:「あ~!サッカー!知ってる!日本と戦った事あるよね?確か日本は負けちゃったけど。」
ドライバーさん:「そうそう。それで日本にも行ってみたいんだ。」
どこかで聞いた事があると思ったら…サッカーでだったのだ。謎が解けてスッキリした気分。そうなると急に知っている国のようで親しみがわく。
その後もサッカーの話で盛り上がり、車の渋滞も気にならずホテルまで楽しいおしゃべりが続いた。
「一期一会」
まさにそんな時間。
遠く離れたアフリカの国から来たドライバーさんと反対側の小さな島国 日本から来た私。
そんな二人が、アメリカのニューヨークで、たまたま乗ったタクシーの中で話をしているなんて面白いと思いませんか?
旅の楽しみは、こんな人との触れ合いにあると思う。旅行に行って何を見たとか何を食べたとかいうよりも、こういう現地の人と話した会話の方が記憶に残り思い出となる。
ほんの数十分の事だったけれどずっと記憶に残る時間。
<みんな仲間>
あれから「コートジボワール」という国の名前をテレビやネットで見かけるたびにあの時のドライバーさんを思い出す。
そして、全く知らない、関係のなかった国コートジボワールが身近に感じられるようになった。コートジボワールに行った事はないけれど、「知らない国」ではなく「N.Y.で会ったドライバーさんの国」になったのだ。
色々な国の人と話すという事は、大げさかもしれないけれど、それだけで世界平和へと繋がっていくと私は思っている。
なぜなら、外国の人と話をしたらその人が住む国も身近になって「友人の国」になるから。友人の国で何か起こったら、それは「知らない遠い国の事」では済ませられなくなる。友人が気になるし、心配になる。
自分にとって「友人の国」がたくさん増えれば増えるほど、世界の国々がどんどん自分の国と同じような感覚になっていく。
そうれば「友人の国」を攻撃しようとは思わないだろうし、「人類みな兄弟」的な考え方になっていくのだと思う。
色んな国の人と出会い、顔を見て話をするたび、外見や言葉は違っても(私たちは同じ「人間」という仲間なんだな)とつくづく感じる。楽しければ笑うし、悲しければ泣く。
笑ったり、泣いたり、怒ったりするポイントはどこの国でも大体一緒だ。
国と国どうしは色々あるが、個人と個人の付き合いは人間同士。国境はないのだと思う。
私がこれまで話したことがある国の数、つまり友人の国は49ヶ国。世界には196の国々があるらしい。まだまだ友人の国は増やせる。
もっともっと出会って、話をして「友人の国」を、世界に仲間を増やしたい。地球にはもともと国境なんてないのだから。
※コートジボワール
中学生時代から英語を話せるようになる事に憧れ、外国語短大へ進学。その後イギリスへ留学するも英語が話せず落ちこぼれの生徒に。英会話のトレーニング(カランメソッド)を受け英会話が上達。帰国後、夢だったツアーコンダクターになる。渡航国約35カ国 年間200日以上を海外で過ごす。その後オーストラリアにワーキングホリデーで渡り、オーストラリアにあるハミルトン島のリゾート会社に就職。その後日本に帰国し、京都のホテルやゲストハウスなどでの経験を経て、地元宮崎にUターン。現在は地元宮崎で、英会話教室及び、単位制、通信制の高校で英会話を教えている。
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