外国に行く事を「海外に行く」、国内旅行に対して「海外旅行」と当たり前のように日本では言いますよね。
周りを海で囲まれた島国の日本は、外国に行くには必ず海を越えなければいけません。そこから「外国=海外」になったのでしょう。
ところが、「海外(外国)」に行くと、陸続きの国もあるわけです。海の外に出なくても外国に行ける。「外国=海外」ではないんです。
という事は…
車でも電車でも、陸地で国境を越えて隣の国に行く事ができるって事。
飛行機を使わずに外国に行ける、自家用車で国境越えができるなんて、日本では絶対できない事ですよね。
陸続きの国境ってどうなってるんでしょう。そして、どうやって越えるのか。海を渡らなければ外国に行けない日本人にとって、それは不思議な体験でした。
<え!もう外国?!>
たくさんの国が隣接して、国境を越えての旅行もしやすいのがヨーロッパ。国境越えはEU諸国かそうでないかで違います。
~EU諸国内での国境越えの場合~
これはもう簡単!
道路を走っていると、道路脇にEUの星のマーク、その中に国の名前が書いてある看板がたっているだけ。まるで、県境の案内板のような感じ。
国境で止まる事も、パスポートのチェックがあるわけでもない。それどころか、ちょっとよそ見をしていたら見逃してしまうくらい、アッという間に別の国。
あっさりしすぎて拍子抜けしてしまう。
「こんなに簡単に外国に行けていいんですか?外国人ですけど入って大丈夫ですか?」という気持ちすらする。
日本だと外国に行くってなると、何か月も前から準備をするし、当日も飛行機に乗って、入国審査受けて…と結構大変。気持ち的にも思い切りがいる。
でもヨーロッパ、特にEU諸国内だと「今日は天気いいし、ちょっと出かけようか。」レベルで外国に行けてしまうのだ。
<こっちは入国1時間待ち?!>
~EU諸国外での国境越えの場合~
EUでない国に行く時は、様子は異なる。
日本でいうと、高速の料金所みたいなゲートがあり、そこで出入国の検査がある。
私の体験した感じでは、EU諸国からEUでない国に入るのは、比較的簡単。ツアーバスであれば、ドライバーさんが「日本人のツアー。〇人。」など受け答えすれば通してもらえる。
しかし、逆にEUではない国からEUの国に入る時は、結構厳しい。不法入国者を防ぐためだろう。
ドライバーさんも一度バスを降りて、書類を提出しにいかなければならない。そして、バスの中に入国審査官が乗り込んでくる。空港のように、質問をされる事はないものの、一人ひとりパスポートの顔写真と本人を確認していく。
それを一般車両も全部しているため、当然、時間もかかる。ゲートの前は車の長蛇の列。国境を越えるのに1時間近く車内で待たなければいけない事もあった。
それだけ待ち時間があると、外に出て国境の写真や、それこそ国境をまたいだ恰好で写真を撮りたくなるもの。が、残念ながら、そこはやはり空港の入国審査場と同じ。撮影禁止になっていて、カメラを構えていると厳しく注意されてしまう。
現在、EU加盟国はどんどん増えているので、こういった国境越えのチェックがある場所もこれからは減っていくでしょう。
さらにEUに加盟していないスイスでも、シェンゲン協定という「ヨーロッパの国々で国境検査なしで国境を越える事ができる」という協定には入っています。その為、周辺のフランス・ドイツなどから入国する時も入国審査は必要はなし。
という事で、フランスと国境近くの街、ジュネーブでは、賃金の高いスイスで働き、税金や生活費の安いフランスに住むという「越境労働者」が多くいます。逆にスイスの人たちは、物価の安いフランスに買い出しに行くのだそう。
毎日国境を越えて、外国に通勤したり、外国にちょっと日用品の買い物にって…。日本では考えられない事です。
<便利だけれど ちょっと残念…>
国境を気にする事なく簡単に行き来できるのは嬉しい半面、旅行者にとっては、特に、遠い日本からはるばるやってきた者にとっては、ちょっと残念な部分もある。
なぜなら、パスポートに入国のスタンプを押してもらえないから。
最初に到着したEU国のスタンプが、パスポートに押され、その後は、国内扱い。何ヶ国まわっても、EU諸国内、シェンゲン協定内ならスタンプは押されないのだ。
例えば、フランスやドイツ、オーストリアを旅行したのに、飛行機の乗り継ぎ地がオランダのアムステルダム空港なら、パスポートにはオランダの出入国スタンプだけが残る。これだとどこを旅行したのか分からない。
パスポートは決してスタンプ帳ではないのだけれど、パスポートに各国のスタンプがたまっていくのはやっぱり海外旅行の楽しみの一つ。
後々、パスポートを見返して「こんな国も行ったなぁ」と思い出に浸る事だってある。それができないのはちょっと残念なのだ。
でも、それはヨーロッパが一つの国のようになっているという事。
ヨーロッパを陸路移動していると、「国境って何?外国って何?」という感覚になる。
国境が壁のように張り巡らされている訳でもなく、ただ看板があるだけ。様々な国籍の人たちが、まるで国境はないかのように日々そこを行き来し生活をしている。
そうなると自分の国と外国、自国民と外国人という心の壁も薄れると思う。同じ場所を共有して使う同じ仲間という感覚。
国境はないかのようにと言ったが、本当は国境はないのだ。国境は人間同士が決めた物に過ぎない。
もともと地球には国境はない。
それなら国境もなくなっていけばいいのにと私は思う。国境とか自分たちの国とか考えなければ争いはずいぶん減ると思う。
国境を巡る戦争がないような世界に早くなれば良いと切に願う。
中学生時代から英語を話せるようになる事に憧れ、外国語短大へ進学。その後イギリスへ留学するも英語が話せず落ちこぼれの生徒に。英会話のトレーニング(カランメソッド)を受け英会話が上達。帰国後、夢だったツアーコンダクターになる。渡航国約35カ国 年間200日以上を海外で過ごす。その後オーストラリアにワーキングホリデーで渡り、オーストラリアにあるハミルトン島のリゾート会社に就職。その後日本に帰国し、京都のホテルやゲストハウスなどでの経験を経て、地元宮崎にUターン。現在は地元宮崎で、英会話教室及び、単位制、通信制の高校で英会話を教えている。
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