あなたは昔日本に、24時間英語で放送するラジオ局があったのご存じですか?
それは”FEN”と言って、世界中の米軍関係者向けの放送です。私ネットのない時代、よくこのFEN聴いてました。少しでもアメリカの空気吸いたかったのかも。
30歳頃だったか、ある日FENつけたら聞こえてきたのが、相撲の英語中継。でも決まり手とかは日本語なので、意外に分かりやすい感じ。
「呼び出し」の係が旗のような物を広げ、一列に土俵を回る懸賞紹介の場面ご存じでしょうか。懸賞を出した会社の名を、順番に読み上げていく館内放送…賞金は何本かな、と想像してた、その時。FENの実況者がびっくりするようなこと言ったんです。
“Three thousand dollars! Oh, that’s a good reason to fight!”
(3000ドル!戦う良い理由だ!)
と。
これどういう意味だと思いますか?
「(総額)3000ドル!彼らはやる気でるよね!」位の意味。
つまり懸賞金の総額が多いので、二人の力士の戦意が増すと言う意味だったようです。
随分ざっくばらんだなと驚いたんです。一方日本の相撲放送では、お金の話題を意識的に避けているようにも….金銭を巡る大きな差を感じた驚き、今でもよく覚えています。
相撲のDNAは「回転」?
さて2021年の今は秋場所の真っ最中。FENの中継の思い出がふと蘇り、文化的な差に興味が湧き
ました。例えば「相撲」の訳。普通にJapanese wrestlingでいいのか…と気になったんです。
そしたら思った通りでした。
wrestling(レスリング)の語源を単語DNAで調べたんですね。DNAとは大昔の語源を探るツール。「戦う?押す?」のように予想してたんですが、これが全然違ってました。
wrestling のwre-の部分にあると分かったDNAは…「回転する(ヴェル)」。でもレスリングと回転って、何だか繋がらないですよね。
そこでYoutubeの動画で確認。そして私やっと、レスリングが「回転」の理由納得できたんです。
レスリングって二人の選手が一つ所でじっとしてないんですね。絶えず動き回る。バックや足を取りに行ったり、二つの身体が確かに「回る」ようです。寝技なら横にもゴロゴロだし…
大昔、「体が色々な方向に回る」という感じで「ヴェル(回転)」からwrestleが生まれたのかも。「押す」のような予想は、きっと相撲からの印象。格闘技と言っても様々なんですね。やっぱりJapanese wrestlingだけでは伝えきれない部分が残るのかもしれませんね。
「進化」と「革命」も元は「回転」
さてこの「ヴェル/回転」は、よくvolとして色々な所に現れます。例えば
evolution(エヴォル―ション/進化)とrevolution(レヴォル―ション/革命)の2語。紛らわしいですね。よく見ると1文字違いなのに、意味はかけ離れている感じ…どうなっているのでしょう。
やや細かくなりますが、evolutionのe-は「外へ」の意味。volは勿論「回転」-utionの辺りは「~すること」という名詞。結局evolutionは「回転し外に出ること」。つまり進化を、「自然界が回って(色々生物が)出てくる」と表してるようです。
evolution(エヴォル―ション) e-(外へ) + volution(回転) ⇒(自然が)回り(生物が)出てくる☞進化
revolutionの方は先頭にre-が。これは「再び」といった意味。だからrevolutionは「再回転」。結局、革命と言う社会の激変が「何度も回転すること」と表されてるようなんです。
revolution(レヴォル―ション) re-(何度も) + volution(回転) ⇒ (社会が)何度も回る激変☞革命
相撲をもっと不真面目に?
今回はwrestlingのルーツから「回転」、そして「進化」や「革命」に繋がるお話でした。単語のルーツや繋がりが分かると、色んな新しいことが見えてくるものですね。
「進化」や「革命」で思い出したのですが、スポーツは次々と「進化」・「革命」が起きているのはご存知ですか?
スポーツの収益をより高めようと思った時、エンターテイメント性をいかに入れることができるかがとても重要らしく、そのための「進化」・「革命」が次々と起こってるそうなのです。
例えばプロ野球。大昔はただ野球を見るだけでしたが、今ではピクニック先として野球場を選んでもらう取り組みや、ファン投票なんかもそうです。K1などに代表される格闘技も、音楽ライブのような形で試合を盛り上げてるみたいですね。
相撲が「進化」・「革命」するとしたらどうなるのでしょうか。個人的には、相撲って真面目過ぎて肩が凝る。何か面白い息抜きでもあればいいのにと思うんです。
笑わせるような相撲…と考えハッとしました。似たモノ、もうありました。あなたは聞いたことあるでしょうか、「初っ切り」って。
これは力士2人がふざけてとるコント的「相撲」。由来は技の解説などの余興。江戸時代すでにもう。ただ現在は地方巡業位…この「初っ切り」を15日間の場所中に行うというのはどうでしょう。
相撲はマジメ、これが今の当然。でも試しに計算してください。取組が一日200なら15日間で3000。真顔や渋面が計6000できる勘定に。少しやり過ぎでは?一度くらい気分転換しても、とやっぱり思うのです。
また笑いは気分転換以上なのかも。正反対の物があると、より強く感じるってありますよね。例えばスイカに塩をふると、より甘く感じるとか。相撲も、お笑い少し足して醍醐味アップ…となるような気がします。
初っ切りの活用…現実的な相撲改革案と思うのは私だけでしょうか。いずれにせよ相撲が進化し、より楽しいものになればと願っています。
See you later!
追伸 【動画】初っ切り(特別な相撲トーナメントで)
https://www.youtube.com/watch?v=mdszgf9ncY8
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私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員