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スペイン 消えたお客様

World Lifeな生活
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海外の「ツアー旅行」に行った事はありますか?

「添乗員付きコース」だと、空港やホテルでの手続きもしてもらえるし、バスに乗っていれば有名観光地も案内してもらえ、レストランでも座っていれば美味しい食べ物が出てくる。

安心して旅行したい人や海外旅行が初心者の人には楽なパッケージツアー。
ただ、楽な分、旅程やどこに行くかなど全く把握せずに、ただただ添乗員さんやガイドさんの後をついていけば大丈夫と思っている人も…。

そんな人が、グループとはぐれてしまったら…。さぁ大変。

「ここはどこ?私は誰?」状態。しかもそれがスペインの危険と言われる街の中だったら。
あなたならどうやってグループと合流しますか?

<消えたお客様>

スペインのマドリードに添乗で行った時のこと。観光も終え、最後にお土産物屋さんに20分ほど立ち寄ってホテルへという予定だった。

出発の時間になり、バスに乗っているお客様の人数確認をする。
すると、1人足りない!

まだお店の中にいるのかと、店内を探すも誰も残っていない。帰って来ていないのは20代の若いひとり参加の男性だった。買い物に興味がなく周りを散策しに行ったのでしょう。

少し遅れているのかもしれないとしばらく待ってみるが帰ってこない。ガイドさんとも一緒に周辺を探してみても見当たらない。

マドリードの街は、石造りの高い建物が両脇にそびえ、細い路地も多い。どの通りも同じような雰囲気のため何度も行っている私でも、知っている所を外れると分からなくなる。
「ひょっとして、迷子になった?」

嫌な予感がよぎる。「彼、大丈夫かな…。危ない目にあってないといいけど…。」

約20年前のマドリードは、ひったくりなども多発していて、中には首を絞めたり、怪我を負わせたりするような狂暴なひったくりも横行していた。
(今現在は、このような狂暴なのはほぼなくなっているそうですが…)

その為、通常はバス1台(42名位)までは1人の添乗員なのだが、スペインに限っては人数の多いツアーは2名の添乗員がついて目が行き届くようにしていた。それだけスペイン、特にマドリードは危ない地域という事。

そこで迷子になったというと…身の危険も考えられる。

座席を見るとバッグは置いたまま。中に、パスポートもツアーの日程表も地図も携帯電話も、大事な物が全部入っている。お土産物屋さんだし、ちょっとのつもりで財布だけ持ってバスを降りたのだろう。

そして、ちょっと周辺を歩いてみようと思って軽い気持ちで歩き出したら分からなくなったのかもしれない。日程表でも持っていれば、緊急連絡先もホテルの住所も書いてある。

でもそれを置いて行っているとなると…。

ツアーに参加する人で自分が泊るホテルの名前や場所を知っている人は少ない。連泊で自由行動でもない限りはホテルの名前も場所も関係ないからだ。

そして、彼も自分の泊るホテルを把握しているような旅慣れた若者には失礼ながら見えなかった。自力でタクシーを使ってホテルまで行っている可能性は低い。

集合時間から30分が過ぎても、彼の姿は見えず、辺りもだんだん暗くなっていく。バスの中で待っている他のお客様たちも心配しながらも待ちくたびれた様子。

お店の人も一緒になり探してくれるもやはり見つからず。「これだけ探しても見つからないって事は、もうこの辺にはいないんじゃない?タクシーでホテルに向かったのかも?」

幸いこの時は37名程の大人数のツアーだったため、私の他にもう一人添乗員がいた。

そこで、私とガイドさんはそのまま残り行方不明のお客様を待ち、もう一人の添乗員が他のお客様と一緒にホテルへ向かう事にした。

バスを見送り、まず私はマドリード支店へ連絡。いなくなった経緯やお客様の背格好などを伝える。警察に連絡するという話もしたが、ホテルに行っているかもしれないし、もう少し待ってみようという事になった。

しかし、というかやはりホテルには彼は来ていなかった。

いったいどこへ行ってしまったのか。無事なのか、それが心配だった。

<え??なんでそんな所で?!>

真っ暗になった中、ガイドさんとどうしたらいいかを話していると…、支店から携帯に電話がかかってきた。

支店のスタッフ;「お客様、見つかりましたよ!」
私;「え?どこで見つかったんですか?」

支店のスタッフ;「空港で!」
私;「え?? 空港?!なんでそんな所で?!」

何で空港?日本に帰るつもりだった?疑問は色々沸くが、無事だと分かってひとまずホッとする。

何でもたまたま別件で、マドリード空港に支店のスタッフが行っていたらしい。そして、そこで「ツアー中に行方不明になったお客様がいる」と支店から連絡が入る。

すると、さっき電話で聞いたのと同じような若い日本人男性が、航空会社のカウンターでスタッフに何かを訴えているのを発見。

「もしかしたら、さっきの電話の行方不明のお客様じゃないか?」と思い、声をかけると見事、彼だったのだ!

何という偶然!何という幸運!

とりあえず、わたしもホテルへ向かいお客様を待つ。

支店のスタッフに連れられて、彼は無事ホテルへ。顔は疲れ切った様子でうなだれている。相当怖かったに違いない。

「大丈夫でしたか。無事でよかったです」と声をかけるも頷くのみで、しばらくは放心状態。

財布以外何も持たない状態で、海外の街で迷子になったのだから無理もない。ショックも大きそうなので、あまり聞くのも憚られたが、やはりなぜ空港に行ったのか気になる。

ロビーで少し落ち着くのを待って聞いてみる。
「なんで空港に行ったんですか?」

彼によると、やはりちょっと散策のつもりで歩き出したが、来た道が分からなくなってしまい迷子に。日程表も地図もバスに置いたまま。そこで彼は何を思ったのか「マドリード支店に行けば助けてもらえる」と思ったらしい。

そして、タクシーに乗り、旅行会社名を言い続けたという。が、日本では誰もが知っている旅行会社名でも、海外に行けば旅行関係者以外は知る人はいない。

しかも支店と言っても、日本にあるような通り沿いに目立つ旅行カウンターがある訳ではなく、ビルの中にある事務所的な所だ。タクシーの運転手さんが知るはずもないだろう。

それで、分からなかったタクシーの運転手さんに連れていかれたのが空港だったという事だ。運転手さんも空港なら言葉が分かる人がいそうだと思ったのか…。外国人だから空港に行けばいいと思ったのか…。それも謎だ。

しかし、その事がラッキーにもうまくまわって、無事、発見に至ったのだった。

<あなたならどうする?>

さて、こんな時あなたならどう切り抜けますか? 

海外の知らない街。自分がどこにいるかも分からない。お金は持っているけれど、それ以外は、地図も日程表も携帯電話もパスポートも所持品はなし。ホテルの名前も場所も分からない。

考えたら恐ろしいですよね。特におんぶにだっこのツアー中で不意に起こったとしたら。
そんな時自分ならどこに行って、何をするかちょっと考えてみてください。
......
....
..
どうですか?何か方法は思い浮かびましたか?そして、考えている時、どんな気分でしたか?

私は…ワクワクしました!実際になったら顔面蒼白になるかもしれませんが、想像上の事だと謎解きゲームみたいでワクワクします!

そして私なら…、日本大使館に行く事を考えると思います。

が、スペインはあまり英語が通じないので、タクシーの運転手さんに「日本大使館」が通じなければ、とりあえず英語が通じそうな外資系ホテルへ行きます。

そして、事情を説明してダメ元で旅行会社の連絡先を知っているか聞く。それがダメなら大使館の電話番号なり住所を教えてもらい連絡を取るかなと思います。

これはあくまで私の方法で、正解はないです。もっといい方法や簡単な方法を思いついた人もあるかもしれません。どういう方法でも、無事にグループに戻れればそれでOKなんです。

どんな方法だったらうまくいきそうか、もし1つの方法がダメだったら別の方法も考えてみる。それも楽しんで!これが大事だと思います。

八方塞がりのようにみえる時でも、どう切り抜けるかを謎解きゲームみたいに考えてみる、または事前に考えておく。それは普段からでもできる事かもしれませんね。そうすれば、不安も減るし、いざという時に慌てずに済みます。

さぁこれで海外旅行に行って、もしグループとはぐれてしまっても大丈夫ですね!
でも、ちょっとバスを降りる時でもやっぱり日程表や地図はお忘れなきように(^^♪

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