2021年も残りわずかとなりました。皆さん、年末年始はどのようにして過ごされますか?
日本だと定番はやはり、「紅白歌合戦に除夜の鐘で静かに年越しを迎える」でしょうか。
私は、ツアコンをしていた事もあって、世界各地色んな所で年越しを迎えましたが、一番印象に残っているのがトルコ。
イスラム圏のトルコ人の年越しは果たしてどんな物なのでしょう?
誘ってるわけじゃないからね
トルコ最大の都市 イスタンブール。ボスポラス海峡を挟んでヨーロッパ大陸とアジア大陸両方にまたがる世界唯一の街。
ヨーロッパの解放的な雰囲気がありつつ、モスクなど独特のイスラム建築やイスラム文化も見られる所がこの街の魅力。西洋と東洋の文化がうまく融合しエキゾチックな雰囲気を醸し出しています。
そんなイスタンブールでの年越し。イスラム教徒の人たちはどんな年越しをするのか、とても興味があった。とはいえ、夜中の街中に出るには危険がある。
ちょうど泊まっていたホテルで年越しパーティーがあるという。「おお!ホテル内なら安全だし楽しめそう!これはお客様にも伝えて一緒に行ったらいいかも!」
そう思い、「ホテルで年越しパーティーがあるそうなので、一緒に行きませんか?」と誘ってみる。
しかし、この時のツアーメンバーはみんな年配の方々。
「そんな時間まで起きてられないです…。」とか「もうパーティーとかそんな歳ではないので…。」と皆さん辞退…。
「えーっ!トルコで年越しなんてなかなかないのに、みんな寝ちゃうの?!」
でも好奇心旺盛の私はどうしてもトルコの人たちの年越しを見てみたかった。しかし、一人でパーティーに行く勇気はない…。
「あの人に頼むしか…。」
トルコ全土を周るツアーでは、ツアー中、通しでついてくれるスルーガイドさんがつく。全行程一緒なので、食事も泊る所も一緒だ。大抵トルコのスルーガイドさんは男性。そして、その時のガイドさんも男性だった。
そのガイドさんは、前にも一緒になった事のあるガイドさんで話しやすく、年齢も近かったためプライベートの話しもするくらい仲は良かった。
「彼に一緒に行ってもらおうか。」
が、夜中のパーティーに女性から誘うというのは気が引けた…。トルコの男性は結構グイグイ女性を誘う人が多い。彼はそういうタイプではなかったが女性からパーティーに行こうと言うのは…
「変にとられないよね?誘ってるって思われないよね??」
しばらく悩んだが、やっぱり行ってみたい気持ちが勝ち、ガイドさんの部屋へ電話をかける。
私:「今日ホテルでパーティーあるでしょ?行きたくてお客さんを誘ったんだけどみんな行かないって言ってて。一緒に行ってくれない?」
てっきり「いいねぇ!行こう!行こう!」となるかと思いきや…
ガイドさん:「え~?でも、年越しは彼女と電話する約束してるし…。」
(あれ?嫌がってる??)
私:「パーティーで電話したらいいじゃん。私が行きたいって言ってるって彼女に話していいからさ。」
ガイドさん:「仕事の時間以外はゆっくりしたいんだけど…。」
私:「トルコで年越しなんてそうそうないから、どうしてもどんな年越しか見たいの。」
女子が男子を強引に誘う変な展開。
ガイドさん:「そんなに行きたいの?まぁじゃぁ、いいよ。」
私:「ありがとう!」
全然乗り気ではないガイドさんにお願いしてやっと一緒に行ってもらえる事に。
踊りにくくないですか?
ガイドさんも乗り気じゃないし、私は雰囲気が見たいだけなので11時半ごろに待ち合わせをして会場に。
会場近くまで来ると、大音響の音楽が鳴り響いている。ただその音楽は私たちがよく聞くような音楽やクラブミュージックではない。
アップテンポな曲だけど、音階は中東やアラブ系の曲調。歌は抑揚や伸びがあって民謡的な感じ。楽器も弦楽器や笛の音など独特で、音楽を聴くだけで自分の知らない世界が広がっているようでワクワクする。
薄暗い会場の中に入るとそこはトルコの人たちで溢れていた。年越しも近づき大盛り上がり。アジア人らしき人は見当たらない。ガイドさんに付いてきてもらってよかった。一人だとこの空間には入れなかっただろう。
ウェイターさんがトレイに載せたスパークリングワインを持って来てくれる。グラスを取り、端の方のカウンターテーブルでガイドさんと話しながら、周りの人たちを眺める。
音楽も違うが、みんなの格好も違う。普段のイスタンブールはヨーロッパ的で、女性も頭にスカーフを巻いている人もいれば巻いていない人もいるし、服装もノースリーブやミニスカートなど肌を露出した格好の人もいる。
なので、服装でそんなに文化の違いを感じる事はなかったのだがパーティーの時は違った。女性は赤や紫、青など鮮やかな色にキラキラしたスパンコールのような物がついた長いスカートをはいている人が目立つ。
パーティー用の一張羅といった感じ。私も一応パーティーだしちょっときれい目の服を着て行ったが彼らの原色、キラキラの洋服の前ではめちゃくちゃ普通の地味な服に見えた。
そして、意外だったのは若い人たちよりも年配の人たちが多かった事だ。
私のお客さん達は「もうパーティーに行くような歳じゃないんで…」と言っていたが、同じくらいかもっと上の世代の人たちがぎゅうぎゅうになりながら楽しそうに踊っている。
踊りもベリーダンスのような踊り方だったり、クルクル回ったり、人それぞれ。踊りにくそうな長いスカートでよく踊っている。
欧米系の人たちもいたが、やはりシニア世代の人たちが多かった。ガイドさんに聞くと「若い人たちは街中に出るんだと思うよ。ここだと眠くなったらすぐ寝れるから年配の人にちょうどいいんじゃない?」
確かにそうだ。若い人は親せき一同で来てるか、小さな子供と一緒の人たち。日本のパーティーやクラブとは全然違って、穏やかな雰囲気。
「小さい子供がいても、年をとってもパーティーで踊って楽しめるって素敵だなぁ。」
そんな事を考えつつ眺めていたら…急に音楽が止まり何やらアナウンスが入る。
トルコ語のみのため何を言ってるか分からなかったが、その後、会場の人たちが「〇〇!××!…!」と一緒に叫び出した。
年明けのカウントダウンが始まったのだ!
これもトルコ語でのカウントダウンのため何秒前か分からない…。周りの人たちの様子を伺いながらとりあえず合わせる。
そして…「〇#$%△!!(Happy New Year!)」歓声があがり、みんながハグをしあう。
私もガイドさんや周りにいた人たちとハグをして乾杯した。言葉は分からないがハグや乾杯は万国共通だ。みんな笑顔で新年を祝う。
イスラム教の国って文化もちょっと独特で、分からない事も多い。だから「日本とも欧米諸国とも違うタイプの人たちだ」と勝手に感じていた。
けれど、楽しそうに踊っている人たちやカウントダウンの様子を見て、文化は違っても楽しむ事は一緒なんだと気づくことができた。そして、素の彼らの姿を垣間見ることができた気がした。
旅行って…
トルコは、イスタンブールだけでなく、中央の方に行けば蟻塚のように突き出た奇岩が見られるカッパドキアや、南部に行けば地中海に面した美しいビーチもあるし古代遺跡もあって本当に見どころの多い国。
世界三大料理にもあげられるトルコ料理は、安くて美味しいし、親日家も多くて親切。トルコの魅力をあげればキリがないほどたくさん。
ただその一方で、トルコはシリアやイラクなどの中東地域と国境を接しているため、中東の紛争状況によって渡航中止勧告や渡航注意の危険情報が出されることも。
世界的にも人気の観光国トルコですが、中東の状況によっては行けない時や行けない場所も出てくるんです。
世界の紛争状況だけに関わらず、この2年はコロナが世界的に蔓延して、これまで当たり前のように行けていた旅行にも行けなくなってしまいました。
こうなって初めて気づく。
「旅行は自分も健康で、そして世界も平和でないと行く事はできない」と。
健康も平和も当たり前のようで、全く当たり前の物ではなく、とても貴重な物だったのです。来年は気軽に海外旅行にも行けるようになるでしょうか。
2022年が皆さまにとって健康で、そして世界も健康で平和な年でありますように。
中学生時代から英語を話せるようになる事に憧れ、外国語短大へ進学。その後イギリスへ留学するも英語が話せず落ちこぼれの生徒に。英会話のトレーニング(カランメソッド)を受け英会話が上達。帰国後、夢だったツアーコンダクターになる。渡航国約35カ国 年間200日以上を海外で過ごす。その後オーストラリアにワーキングホリデーで渡り、オーストラリアにあるハミルトン島のリゾート会社に就職。その後日本に帰国し、京都のホテルやゲストハウスなどでの経験を経て、地元宮崎にUターン。現在は地元宮崎で、英会話教室及び、単位制、通信制の高校で英会話を教えている。
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