有名な日本のウイスキーメーカーのTVコマーシャルで,
オンザロックの氷がウイスキーに溶けて,
クリスタルのグラスの中でチリン!と鳴る。
その後,夏目漱石の『草枕』の冒頭のナレーションが入る。
山路(やまみち)を登りながら,こう考えた。
智(ち)に働けば角(かど)が立つ。
情に棹(さお)差せば流される。
意地を通せば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい。
40年前は,日常会話でもオジサンたちが口にしていました。
今じゃ,絶滅した人種だ。こうやって引用する私も,絶滅危惧者だ。
何度もCMを見ているうちに,英語でこの部分を話せたら何となくかっこいいなと感じた。
さっそくこの小説を英訳にとりかかる。英語の勉強は,思ったが吉日。
でも,この英訳とんでもない方向に進んでいった!
<英語辞書で「類語」に出会う,面白い!>
「山路」は,mountain rodeだな?!「登る」は,climbだ。辞書に単語をあたりながら英訳をしていく。当時はインターネットもないし,もっぱら辞書を引く。
その中で,単語の意味が(1)~(5)と続いた後に,「類語」と書いた欄があり,同じような意味の単語が,どのように違うかを説明してあるコーナーを見つけた。読むと,超~!おもしろい。
climbの類語をみると,mountと出ている。
climbと mount?どう違うのだろう?
climbは,努力して登る。
mountは,小高いところに登る,またがるって,説明がある。
次に,mountを調べてみると,丘や山に登る,階段を上る,さらに,「馬に乗る」と書いてある。
だったら,mountは,歩いて山路を行くのではなく,馬に乗っていくということか?想像しながら、乗ることに関連する英単語を次々に調べていく。
mount, ride, get, take, board,catch,,,,,,,, 。
先ほどの漱石はどこかへ行ってしまった。これも英語学習で大事なこと。興味あることを優先する。
ここは,本腰をいれて,「乗る」について調べてみようということになった次第。
<mountとrideを比較してみると>
mountは,もともとは「小高くなったところに上がること」。小高いところが山であれば登山することになります。ちょっと高くなったところを,越える動作をすれば,「またぐ」になります。
rideも,またがるから元の意味。馬にまたがる=馬に乗ることになります。ride out to townで,「馬で町まででかける」ことになります。英語圏の歴史が分かる!
馬が自動車になり、 自動車に乗る(ride a car)の時代がやってきます。「またぐ」という動作の感覚は残っていて,自転車(bicycle)やバイク(motor bike)は,ride a bike「バイクに乗る」で,なるほどって感じです。
rideを名詞にして、車や列車に「乗客として乗る」ことを表現できます。
“Give me a ride!”「乗せていって!」は、車を持っている人に、頼むときのフレーズ。
<get とtakeはどう区別するか>
Getの基本的なニュアンスは,「目の前の物を取る」こと。手を前に出して、つかみ取ることです
乗るという時は,get on~になります。目のまえにある電車に乗るという感覚。目の前にある電車の「上に」移動する=乗る という行為になります。
takeは,いくつかの中から選択するという意味が強くなります。「選び取ること」です。そして,選んだものを使う,「利用する」に変化します。
Get on the train 目の前の電車に乗る
Take a train 電車を利用する(頭の中には何時何分のというイメージがあります)
<get in とget onの違い>
get onが出たところで、get on とget inの違いを考えてみましょう。
前置詞のonとinの感覚が影響します。
◯乗り物の大きさ
on =大きな乗り物(バス,電車,船など)
in= 小さな空間の乗り物(タクシー,小型のボートなど)
◯inとonのイメージ
onは,そのままの形でピタッと貼り付ける感じです。
テーブルの上にあるカップは、a cup on the table。
テーブルの上のカップがそのまま乗っている感じです。
イメージしにくいのが、a fly on the ceiling(天井にとまっている蝿)です。
天井に蝿がピタッと張り付いている感じです。天井の上(裏)に蝿がいるわけではありません。
この感覚で、get on を考えてみると、「背筋を伸ばして,電車の床に乗る」感じです。
inは、指で何かを丸めて、小さな穴にねじ込むような感じを想像してください。
全体を丸く小さくして、狭いところに押し込む感じです。
その感覚で、get inを考えると,「背中を丸めて,かがむように、小さな場所へ乗りこむ」感じです。まさに、タクシーに乗り込むときの感じですね。
降りる場合はどうなるでしょうか?この場合は、off (離れる)とout of(外に出る)を使います。
Get on the bus (バスに乗る)→ get off the bus (バスを降りる)
Get in the taxi (タクシーに乗り込む)→ get out of the taxi (タクシーから降りる)
字面だけでは、なかなかイメージできないことが具体的に映像になる感じです。
<boardってかなり大きいものに乗る感じ>
boardは,大型の乗り物,飛行機,大型客船に使います。軍艦もboardを使います。
on boardで,乗っている状況を表現します。I’m on board!(乗っています;乗船中)
米海軍や米海兵隊は,新人や転入者にon boardを使って挨拶文にすることもあります。
“Welcome on board!” 「ようこそいらっしゃいました」「歓迎します」
軍艦だけでなく,会社の歓迎の挨拶の慣用句として使いますので覚えておくと便利です。
<catch the trainで表現出来ること>
catch はつかみ取ること,追いつくこと,電車やバスに乗ることを意味しますが,「時間に強く関係」します。「電車に間に合う,予定の電車に乗れた」という感覚が表現できる。
乗り過ごした場合には,I missed the train「電車間に合わなかった」と表現します。
<同義語を集めて,比較するとペラペラ度が増す>
英語辞書を読んで遊ぶ感覚。あなただけにお伝えしました。英語のペラペラの道のテクです。
類語,同義語を調べていくと英語の持つニュアンスが自分の中にイメージできるようになります。
自分の感じたイメージをアメリカ人に質問してみると、またまた新しい発見があったりします。アメリカ人もその人なりの言葉のイメージを持っていることがわかります。
表現のニュアンスの違いやイメージを持つことができれば、コミュニケーションが円滑にでき,
英語のペラペラ度が高くなります!類語調べ,あなたも是非やってみてください。
執筆家・英語教育・生涯教育実践者
大学から防衛庁・自衛隊に入隊。10年間のサバイバル訓練から人間の生について考え、平和的な生き方を模索し離職を決断する。時を同じくして米国国費留学候補者に選考され、留学を決意。米国陸軍大学機関留学後、平和を構築するのは、戦いを挑むことではなく、平和を希求することから始まると考えなおす。多くの人との交流から、「学習することによって人は成長し、新たなことにチャレンジする機会を与えられること」を実感する。
「人生に失敗はなく、すべてのことには意味があり導かれていく」を信念として、執筆活動を継続している。防衛省関連紙の英会話連載は、1994年1月から掲載を開始し、タモリのトリビアの泉に取り上げられ話題となる。月刊誌には英会話及び米軍情報を掲載し、今年で35年になる。学びによる成長を信念として、生涯学習を実践し、在隊中に放送大学大学院入学し、「防衛省・自衛隊の援護支援態勢についてー米・英・独・仏・韓国陸軍との比較―」で修士号を取得、優秀論文として認められ、それが縁で定年退官後、大規模大学本部キャリアセンターに再就職する。
修士論文で提案した教育の多様化と個人の尊重との考えから、選抜された学生に対してのキャリア教育、アカデミック・アドバイジングを通じて、キャリアセンターに新機軸の支援態勢を作り上げ、国家公務員総合職・地方上級職、公立学校教員合格率を引き上げ高く評価される。特に学生の個性を尊重した親身のアドバイスには、学部からの要求が高く、就職セミナーの講師、英語指導力を活かした公務員志望者TOEIC セミナーなどの講師を務めるなど、大学職員の域にとどまらぬ行動力と企画力で学生支援と教員と職員の協働に新たな方向性をしめした。
生涯教育の実践者として、2020年3月まで東京大学大学院教育研究科大学経営・政策コース博士課程後期に通学し、最年長学生として就学した。博士論文「米軍大学における高等教育制度について」(仮題)を鋭意執筆中である。
ワインをこよなく愛し、コレクターでもある。無農薬・有機栽培・天日干し玄米を中心に、アワ、ヒエ、キビ、黒米、ハト麦、そばを配合した玄米食を中心にした健康管理により、痛風及び高脂質血症を克服し、さらに米軍式のフィットネストレーニング(米陸軍のフィットネストレーナの有資格者)で筋力と体形を維持している。趣味はクラッシック音楽及びバレエ鑑賞。
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