この写真、何の建物だと思いますか?
宮殿?
美術館か博物館のようにも見えますよね?
ドイツのバーデンバーデンにあるこの建物。
実は…
温泉施設なんです!
150年近くも前にできた大浴場。中がどうなっているか気になりますよね。
そこは…予想を超えるとんでもない温泉でした。
<いざ!混浴の温泉へ!>
ヨーロッパ有数の温泉地として知られるバーデンバーデンは、ドイツの南西部、フランスとの国境近くにある町。
ローマ時代の浴場跡が残っているというから、この町の温泉の歴史は2000年近くもある事になります。町の名前もドイツ語で「入浴する」を意味するbadenからきていて、日本でいう「温泉県」みたいなものだ。
温泉保養地と聞くと、日本の温泉街や湯治場をイメージするかもしれませんが、雰囲気は全然違います。どちらかというと避暑地や高級リゾート地といった感じ。
人口5万人程という小規模な町ながら、高級ホテルにレストラン、美術館に劇場、カジノまで揃っています。長期滞在して温泉につかりながら心身ともにリフレッシュするのでしょう。
私がバーデンバーデンを訪れたのは、ある企業の団体旅行の添乗員としてでした。
午後3時頃にチェックイン。夕食までの数時間は自由時間。お客様達はもちろん温泉へ。
バーデンバーデンには有名な温泉が2つあります。
1つは、「カラカラテルメ」。古代ローマのカラカラ帝も訪れたというカラカラ浴場。1985年に近代的なクア施設となり、水着を着て入るプールのような感じ。
温泉の温度も低めで日本の温泉のイメージとは全く異なりますが、あったかいプールと思えば楽しめます。
もう一つが、冒頭の写真の1877年に完成したルネッサンス風の大浴場「フリードリヒスバード」。
こちらは、ドイツでは珍しく、日本と同じ裸で入る温泉施設。こちらは、療養を目的に入る温泉で、日本の温泉や湯治場と似ています。
ここは、日によって混浴となり、その日はちょうど混浴の日でした。
という事で、お客様達は皆、「カラカラテルメ」の方へと流れていきました。みんなに温泉の場所を案内して落ち着ついたところで
「さて、どうしよう…。」
時間はある。
バーデンバーデンは、普通のドイツツアーでは行く事がない珍しい場所。
ここまで来て温泉に入らずに帰るのはもったいない。だけど…お客様たちと一緒に入るのもリラックスできないし、それに遊んでいると思われるかもしれない…。
(よし!ここは、もう一つの方へ行ってササっと帰ってこよう!)そう思った。
ただ、気になるのは「混浴」。ホテルのフロントの人に聞いてみると、混浴は一番大きな場所だけで、他は男女別になっているという。
それなら、男女別の方だけ入って帰ればいいかと思い「フリードリヒスバード」へ。何よりお城のような外観だ。絶対いいに違いない!
期待が高まる。
中に入ると、ホテルのロビーのような広々とした空間。料金は3500円位と値段も普通の日帰り温泉の料金ではなく高級!
ちょっと躊躇はしたものの、きっとそれだけ優雅な温泉が楽しめるんだと思い料金を支払う。
すると、病院の問診票のような物を渡され、健康のチェックがあった。やはり、療養を目的とした温泉っぽい。これは、ますます期待が高まる。
<ダメ、ダメ!こっちに来なさい!>
服を脱ぎ、中に入るとまずシャワー室。思っていたより、暗くて狭い空間。
シャワーを浴び、「さぁ、温泉だ!」と思ったら…
中にいた案内係のおばさんに、「あなたはこっち!」と指示される。
言われるまま、扉を開けると
そこはサウナ!( ゚Д゚)
(え!まだ温泉にもつかってないのに、いきなりサウナ?!)
サウナが苦手な私は5分くらいしかもたず、すぐに出る。
すると案内係のおばさんが「今度はあっち!」というように指を指す。
そこはまた別の小部屋になっていて、2台ある台の上には、泡だらけになって寝ている人とそれを洗っている人が!
(え!!!人に洗われるの?! イヤだし~)
(私は自分で洗えばいいっか。)と思い、横を素通りしようとした…
その時
「ちょっと、待ちなさい!あなた!戻って!」という声。
振り返ると、別の案内人が「こっちこっち」というように私を見て手招きをしている。
(え~。自由にいっちゃダメなの~。)
療養を目的としているためか、入浴にも決められた順番があるらしい。規則に厳しいドイツ人。順番通りに行かないと許さないのだ。
「はい、ここで待って。」と案内人のおばさんの横に立って待たされる。なんだか先生に目を付けられた生徒みたいな気分。全然落ち着かない…。
少し待っていると、前の人が洗い終わったようで台が流され、台の上にと促される。エステのような優しいマッサージのような感じは一切なし。
泡をのせられ、大きめのブラシのような物でゴシゴシと強めに洗われる。ブラシマッサージという物らしいが、まるで、自分が車にでもなった気分だ。
泡を流すのもバッシャン、バッシャンと激しくお湯をかけられ「はい、次」という感じでおろされる。これなら自分で洗った方がまだましだ。
でも、まあ身体も洗った事だし、ここまで来れば後は温泉につかるのみ♪
ワクワクしながら係員に促され次の部屋へ進むと…そこは…
またサウナ ”(-“”-)”
今度は最初とは違うミストサウナだったが、サウナが苦手な私には拷問のようだった…。
(温泉はどこ?いつになったら温泉につかれるの~)そう思いながらサウナを耐える。
そこのサウナを出た所で、案内係というか監視員のようだった係員の人もいなくなった。少し広くなったスペースにシャワーとそして、やっとお風呂らしき小さな湯舟が見えた!
「やっと温泉に入れる~!」と思って足を付けたところでギョッとする。
冷たい!!! 冷たすぎる!!!
もう一つの湯舟にも行ってみたが、こちらも一緒。冷たい…。
看板をよく見ると冷泉の炭酸泉いう事で普通の水風呂とは違うようだが、私が入りたいのは温泉だ。冷たすぎてとても入れない。
そこはスルーして前に進む。
(いったい、温泉はどこにあるんだよ~) 広すぎて、温泉に入るまでの道のりが長い。
と、扉に行きついた。
「あ、今度こそ!ここが温泉?!」
と扉を開けると、これまで狭く、暗かった場所が一気に開け明るく開放的な場所!天井は高く彫刻が施されローマ時代の浴場を思い起こさせる!
(やった~!やっと思ってた温泉だ~♪)
と歩き出した所で…遠くに男性がいるのを発見!
「やばっ!」慌てて扉の奥へ引き返す。混浴エリアだったのだ!((+_+))
案内おばさんの指示に従い、耐えてやっとここまで来たのに…
温泉は混浴エリアだけだったのだ!
(あんな豪華で素敵な所だったのに~。入れないなんて…)
何度も入ろうかと迷ったが、一人だしそんな勇気はでなかった…。
仕方なく引き返し、せめてもと先ほどの冷たすぎる冷泉へ。
18℃という冷たさに耐えながらつかる。これではお風呂ではなく、プールだ。
あったかい温泉でゆっくりと仕事の疲れを癒すつもりが、要らぬ緊張とドキドキで余計にドッと疲れた。
修行のような温泉体験だったが、あの宮殿のような建物の雰囲気と、中の温泉空間はチラッと見ただけだが忘れられない。これぞヨーロッパという歴史を感じる温泉の建物だった。
そして冷泉ではあったが、あがった後はポカポカと温かさも感じられ、何となく温泉に入った気分になれたのでした。
カラカラテルメに行かれたお客様たちはというと、雰囲気は違うものの「海外で温泉に入れるなんて!ホテルの狭いお風呂と違って広々してて、気持ちよかった~♪」と満足そうでした。
もし、あなたがバーデンバーデンに行くとしたら、どちらの温泉を選びますか?
ドイツの温泉初体験記でした♪
中学生時代から英語を話せるようになる事に憧れ、外国語短大へ進学。その後イギリスへ留学するも英語が話せず落ちこぼれの生徒に。英会話のトレーニング(カランメソッド)を受け英会話が上達。帰国後、夢だったツアーコンダクターになる。渡航国約35カ国 年間200日以上を海外で過ごす。その後オーストラリアにワーキングホリデーで渡り、オーストラリアにあるハミルトン島のリゾート会社に就職。その後日本に帰国し、京都のホテルやゲストハウスなどでの経験を経て、地元宮崎にUターン。現在は地元宮崎で、英会話教室及び、単位制、通信制の高校で英会話を教えている。
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