この数年は毎年クリスマスイブになると教会に行く。
クリスチャンではない私でも、あのキャンドルサービスの中で賛美歌を聞くと、不思議と敬虔な気持ちになる。
今日は私が教会へ行こうと思ったきっかけとなった、ある外国人大学院生のお話をします。
クリスチャンは毎週日曜に教会へ
外国人研究者にはよくあるのだが、学生でも結婚をしていて一緒に日本へ来る人達がいる。
彼もその一人だった。
彼はポーランドから来た大学院生だった。
施設内の他の事務員さんが担当していたので始めあまり関わることが無かったが、後に私もおおきく関わることになる。
担当の事務員さんからは、「今度きた大学院生は敬虔なクリスチャンで、毎週日曜日に必ず教会へ行きたいそうなのだけど、どこがいいのかな?」と相談されました。
私は彼が住んでいる場所からバスで20分ほどで行ける教会を提案しました。
もちろん私は行ったことがありませんが、ここら辺ではとても有名な教会でした。
彼は毎週日曜に奥さんと通っていました。
夏休みが終わってから
夏に一度帰省した大学院生は、戻ってきたときは1人でした。
「奥さんは後から来る」と言っていました。
しばらくして、ある研究者の先生から
「ポーランドの大学院生が施設に来ていないようだけど、様子を見てきてほしい」
という連絡がきました。
担当の事務員さんは大学院生の部屋を訪ね、様子を見に行ったところ、大学院生は1人で部屋に閉じこもっていたそうです。
彼の奥さんは結局1か月経ってもくる気配がなく、1人心細くなり外出ができなくなってしまったようでした。
彼らはまだ20代。外国人の大学院生にたまにある事ですが、ホームシックになる人がいても、不思議ではありません。
この後から、私は彼に大きく関わる事になりました。
彼の送り迎えを担当することになったんです。ちょうど帰り道に彼のアパートがあり、迎えに行き送っていくことは簡単でした。
彼が元気になり1人で通えるまで、数回送り迎えをしました。
ポーランドからの大学院生は、金髪で透き通るほど肌の色は白く、繊細さを絵に描けるような男の子でした。
こんな雰囲気だったら、落ち込んで部屋に閉じこもってしまうかも?と思い、切なくなったのを覚えています。
生き帰りの道中、会話の共通点が無くて困りました。落ち込んでいる彼にハッピーな話はできないと思ったのです。
そこで以前聞いていた教会の話を聞いてみました。
「困った時、クリスチャンならどうするの? 毎日曜日に教会へいくとどうなるの?」
など、私は質問をし続けました。
すると彼はどんどん元気になって、たくさん話し始めました。
「教会へ行くと、いろいろなインスピレーションが浮かんでくるんだ。神様からの大切なメッセージなんだ。頭の中がすっきりするんだ。」
「僕の名前も神様に仕える天使からとった名前なんだよ。僕はそんなに強くないから、名前に負けているかもしれないけど。家族が考えてくれた大切な名前なんだ。あはは・・・・」
と最後は笑って話していました。
外国人の宗教感
私はクリスチャンではないし、教会へも行ったことがありませんでした。ステンドグラスがきれいだなぁと、海外の教会の写真を見るぐらい。
そんな私がポーランドの大学院生の宗教感を聞いてから、クリスマスイブに教会へ足を運ぶまでになりました。
外国人の研究者や大学院生に、この質問をたまに聞かれる時があります。
「あなたの信じている神様は何ですか?」
私はいつもこう答えます。
「日本人はいろいろな場所に神様がいると信じています。神社だけではなく、部屋(座敷童さん)やトイレ、山の中や森のような自然の中にも。そしてそれは【八百万の神】と言われ、私も800万の神様がいつも守ってくれいると思っています。」
ある外国人研究者には、
「800万の神様!? 君はそれを本当に信じてるの?」と笑われました。
この時、私達日本人が初詣にいろいろな神社へ行き手を合わせるなど、当たり前にしていることが、外国人には不思議なんだと思いました。
この会話の後、この話をした外国人研究者は神様の話に興味を持ってくれたようでした。
会えば必ず
「最近、新しい神様に会った?」と聞いてきました。
私は毎回違う神社の神様の話を、外国人研究者に話しました。
800万の神様の事を外国人研究者が理解できなくても、その話を聞く時間は彼にとってとても楽しいものだったのです。
知らない事を聞く楽しさ
こうして考え方や文化の違い、デリケートな宗教の話も、コミュニケーションのためには大切なエッセンスになります。
文化の違いが大きければ大きいほど、お互いの知らない情報は増え、情報交換は楽しいものになります。
コミュニケーションの第一歩は、お互いの知らない情報を話す事から。私達が当たり前と思っている事に、その種が隠れているかもしれません。
私達のなにげない日常の中には、外国人と仲良くなる為の花がたくさん咲いていると思います。
京都が大好きで光華女子学園へ進学、卒業後、大阪の企業で経理課勤務。仕事が肌に合わず、夢だったイラストレーターを目指して大阪芸術専門学校へ。賃貸住宅ニュース雑誌社へ派遣社員として就職。その後地元へ帰り、地元のフリーペーパーやパチンコ店などのポスター制作するグラフィックデザイナー、ベジタリアン・ヴィーガンのお料理の先生、バンドのドラマー(ジャズ・ロック・軽めのフュージョンなどジャンルを問わず、地元ではセミプロとして活躍する。プロドラマー海野俊介氏に師事)、お琴奏者(趣味で名取まで取得)、演劇が好きで劇団にも少しだけ所属・・・など様々な経験を経て、英検3級しかありませんが、縁あって現在は、某施設で外国人担当のお仕事をしています。