新年,明けましておめでとうございます!
本年もいろ〜んな記事を書いていきますので,どうぞよろしくお願いいたします。
先日,イギリスで制作された英語教材の翻訳をしておりましたところ,
「あ,これツッコまれちゃうなぁ。」と思ったことがありました。
それは映像教材だったのですが,ニット帽を被った男性が画面に出て来て,頭に被ったニット帽を指差し,
“I’m wearing a hat.” (私は帽子を被っています。)
と言ったのです。
ここで最初のクエスチョンです!(笑)
あなたはこの
“I’m wearing a hat.”
に違和感を感じますか,感じませんか?
― “hat”と “cap”の違い―
日本で使用されている英語の検定教科書には,
「“hat”=(つばのついた)帽子」
と書かれています。
英語の授業でも,
「“hat”は麦わら帽子のように,周りにつばのついたもの」
「“cap”は野球帽のような帽子」
とその区別をはっきりと教えます。
でも,その英語教材ではニット帽を指さして何度も “hat”と言っている…。
私の心は,
「日本でこれを出したら,英語の先生たちからツッコミが入りそう…」
「これ,違いますよね?」
と連絡してくる先生って結構いらっしゃるのです。
でもこれ,全然間違いではないのです。
それは,
“hat” とは,「帽子全体」を指すものだから。
だから,
“cap”も “hat”。
ニット帽も“hat”。
なんですね。
ちなみに「ニット帽」は, “beanie”(ビーニー)といいます。
違和感を感じたあなた,大正解!
「え?違和感はそこじゃないって?」
じゃあ,”wear”かしら?
― “wear”≠着る―
前述した英語教材で言っていた,
“I’m wearing a hat.”
この表現に,
「え, “wear”は【着る】という意味で,帽子に使うのは変じゃない?」
と思った方もいらっしゃるかもしれません。
この “wear”は,帽子,メガネ,ズボン等,身につけるもの全体に使えるのです。
ですので,「帽子を被っている」にも使ってOK!
「ズボンを履いています。」
「眼鏡をかけています。」
「Tシャツを着ています。」
もすべて “wear”で表すことができるんですね。
それではここでセカンドクエスチョン!
「パジャマを着なさい!」と言う場合,
“Wear your pajamas!”
は,○か✕のどちらでしょうか。
・
・
・
・
・
正解は,✕。
“wear”は,「着る」と覚えている人が結構いるのですが,
本来は,
「すでに着ている(状態)」
を表すのです。
“He’s wearing a nice blue T-shirt.”(彼は素敵な青いTシャツを着ています。)
のように使います。
でも,こう思う方もいらっしゃると思います。
「“wear”が着ている(状態)を表すのなら, “ing”を使わなくても “He wears a nice blue T-shirt.”でいいんじゃないの?」と。
そう思われたあなたはさすがです!
「今,まさに着ていますよ。」という場合は,進行形にして
“He’s wearing a nice blue T-shirt.”
としますが,普通の現在形で
“He wears a nice blue T-shirt.”
とした場合,
「彼は日常的に素敵な青いTシャツを着ている」
という意味合いになるのです。
ですので,
“I usually wear a polo shirt to work.”
(私は通常,ポロシャツを着て仕事へ行きます。)
“wear”であれば,このように日常的な場合などに使えるんですね。
―じゃあ,「着なさい」は?―
“Wear your pajamas!”
が使えないなら,どう表現したらよいのでしょうか。
それは,
“put on”
“put on”は,「〜を着る,身に付ける」という「着る動作」を表します。
ですので,「パジャマを着なさい!」は,
“Put on your pajamas!”
となります。
“put on”も,「身に付けるもの」全般に使うことが出来ますので,
“put on a jacket(上着を着る)”
“put on glasses(メガネをかける)”
“put on jeans(ジーンズを履く)
など,身に付ける動作に使えますよ。
―え…, “Hat”じゃないの?―
さて,冒頭にお話した “hat”(帽子)。
以前,Twitterで話題になったお話,ご存知でしょうか。
カー用品で知られる黄色い帽子が目印のイエ○ーハットさん。
ピザのチェーン店,ピ○ハットさんに,
「同じ “hat”同士でなにかコラボしませんか?」と提案したそう。
すると,○ザハットさんは,
「私どものハットは,帽子ではありません。小屋を意味する “hut”です。」
と返答したのです。
それには「知らなかった」というリプがたくさん。
ロゴは小屋の屋根を表しているのですが,帽子にも見えてしまいますよね。
だから「帽子」と思った人が多いのかもしれません。
ちなみに,長崎ちゃんぽんのチェーン店,リ○ガーハットさんのハットも
“hut”(小屋)ですので,お間違いなく。
それではみなさん,2023年が良い年になりますように!(私も含めて(笑))
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。