「SHOGUN」がアメリカでテレビ界のエミー賞を18部門もとり大評判と聞き「えッあのSHOGUNが又?」と懐かしくなりました。
実は、英語教員だった私は、その昔、SHOGUNの原作、1975年のJames Clavellの小説を読みました。
出版から5年後の1980年、最初に映画化された際、三船敏郎が出演し大ヒットしたので、興味が湧き原作を読んだんです。
正直言うと、その時の読書では強い印象は残りませんでした。でも今回は違ったんです。
今回はテレビドラマとして、2回目の映像化。1回目を超える大ヒット、その快挙を扱う「日経」と「CNN」の記事を読んだところ、両者の違いに「えっ?」と心の中で3回思わず言ってしまいましたw。
<日経記事への嫌疑>
日経の記事であなたに伝えたい所。
「SHOGUNの新映像をCNNが評価」との内容。
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米CNNは今回の受賞作と旧作の違いについて「当時よりも日本人からの視点で物語が展開されたことは、グローバルなテレビ環境を表している。日本社会の男性優位な構造などを考えると、女性の役割を強調した点でも制作陣の手腕は見事だ」と評した。
ーーーーーーーーーーーhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN120MW0S4A910C2000000/
これ読んで何となく匂いましたw
捏造…は言い過ぎでしょうが、何だか記事の内容が日本人向けすぎないかって私感じたんです。
で、この記事のネタ元であろう、CNNの英語記事を調べました。するとやっぱり、という箇所が、この日経記事の中に3つあったんですね。
<ストーリーの良さはスルーされている?>
まず一つ目、CNNの主張「ストーリーがすごい」への言及が、日経記事ではありません。
the story is compelling….,each time a self-contained story told
(ストーリーは説得力があり、また一話完結)
https://edition.cnn.com/2024/04/24/entertainment/shogun-finale-review/index.html
これって日本的とかの話とは無関係なので日経は省いたのでしょうか?
<CNNに言わせている?>
二つ目、日経記事では「日本人の視点があるグローバルなTV環境…」の発言者はCNNと読めますが、実際のCNN記事サイトでは、CNNの発言ではなく、CNNがインタビューした製作プロデューサの言葉でした。
つまり、日本的でグローバルのような賛辞は、CNN自身の評価ではなく、TVドラマ制作者の言葉…言わば自己宣伝みたいなもの。
日経が、有名な国際的報道機関であるCNNの発言にしたのは、何か意図があったのでしょうか?例えばSHOGUNの日本的な特徴への評価を「モる」とかw
<今の話にされている?>
最後三つ目は、日経の「日本社会の男性優位な構造….女性の役割を強調した…制作陣の手腕は見事…」という部分。
一番問題含みなので、元のCNN記事を引用すると…
the skill …feels like no small feat
(製作者達の…手腕はかなりのものだ)
given the male-dominated structure of feudal Japanese society and the military underpinnings of the plot.
(男性支配の封建社会の時代劇だから)
https://edition.cnn.com/2024/04/24/entertainment/shogun-finale-review/index.html
単語と話の流れを比べると、CNNと日経ではかなり違います。対比してみると…
【元のCNN記事】
日本封建社会は男性支配 → 女性が大活躍する時代劇作りはスゴイ
【日経】
(今の)日本社会は男性優位 → 女性が重要な役を果たすのはスゴイ
時代劇としてスゴイ…というのがCNNの視点。でも日経ではその代わりに「今の日本の男性中心社会の女性進出」という勝手な視点が紛れ込むように感じるのは私だけでしょうか?
エミー賞18部門を受賞したSHOGUNにケチをつけたいわけではありません。ただ日経が客観的でないような気がしました。
言い換えると、記事がフェイクっぽい感じ。「女性の役割が拡大する日本は素晴らしい!」と感じたい読者がジーンとする記事になっているような…
<日経に電話で確認>
そこで!
日経にお電話しましたw
今回お話した内容をお伝えすると、「なるほど…なるほど…」と、あくまで礼儀正しく対応していただきました。全体的に、いい加減ではなく、ちゃんと聞いていただきました…多分。
その後特に具体的な返答はありませんw
さて、今回新聞記事(日経記事)を英語の取材源(CNN)から大変面白く比べられました。
あなたも英語を学び続け、興味のあるニュースの信頼性を、自分で確認できるようになると良いですね。
See you next time,
Jiro
<英語版>
<今週のJiro’s quiz.>
今回の話によると、どれ?
The story of Shogun is set in (1. skill 2.feudal 3.popular) Japan.
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正解は 2
「SHOGUNの話は封建時代の日本に置かれている」
1は名詞(技術・腕)
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員