東京五輪で、中一の少女が、最年少で金メダルを取りましたね!新種目のスケートボードで、初代女王になった13歳。すごいですね。
まるで度胸試しのような、全く新しい競技。階段の細い手すりを、次々滑り降りる若者達の姿は爽快でした。私のようにテレビの前でにわかファンになった人も多かったかもしれませんね。
さて話題になった、その彼女の年齢を英語で表現してみると
She is thirteen years old.
(彼女は13才だ)
ですね。
実はこのoldにも単語DNAがあるんです。単語DNAとは、現在の単語に潜む何千年も前の一種の語源。英語や色々な言語間の意外な繋がり、隠れた意味を私がお話しています。oldに単語DNAがあるなんて!
「成長する」単語DNA
oldの単語DNAはALで発音は「アル」。現在のoldは、そのALという一種の「単語」から派生した単語だそうです。ALの持つ意味、それは「成長する」なんです。
oldというと「古びた」とか「老いた」って意味なのに、ALが「成長する」って、どういうことなんでしょうか。
それを考えるのに、ちょっと必要になるのが「過去分詞」。
過去分詞とは、動詞が変身したもので、意味も少し変わります。
動詞は、動作を表す言葉で、「~する」というような意味ですね。ところが、過去分詞は「~してしまった」という「完了」や完了後の「状態」の意味を表せます。
例えば、動詞rise(ライズ/昇る)の意味は「昇る」。でも過去分詞risen(リズン)は「昇ってしまった」とか「(昇って)今は上にいる」という意味になるのです。
rise (ライズ/昇る)→ 過去分詞 risen(リズン)→「昇ってしまった」 (完了) →「(昇って)今は上にいる」(状態)
さてoldのお話に戻ります。単語DNAの意味が「成長する」なのは、なぜ?という感じでした。
少しマニアックなんですが、実はoldの-dの部分は過去分詞の名残だそうです。過去分詞は、上のお話のように、何かの動作の「完了」とか、その後の「状態」を表せるのでした。
結局、全体は「成長してしまった→成長期が終わり今は年を取っている」という意味に。
old = ol -(成長する) + -d (~してしまった) = 「(成長し終わり)今は年を取っている」
成長中の「adolescent 」、成長が終わった「adult」
oldの単語DNAのAL。「成長する」って意味なんですが、このALが入っている単語がadolescent(アドレサントゥ/青年)とadult (アダルト/大人)です。単語DNAの考え方で、次にこの2つ見てみましょう^^。
まずadolescent(アドレサントゥ/青年)。先頭のDNAはad-(アド/~に向かって)。その後ろのoleは単語DNA「成長する」が少し変形したもの。最後の-scentは、ラテン語由来で「だんだん~している」と言う意味です。
ですからadolescentは「だんだん大きくなることに向かっている」つまり「(成長中の)青年」
ad(~に向かって) + ole(成長する) + scent (だんだん~している) =「青年」
adult (アダルト/大人) の方は、簡単に言うとadolescent(アドレサントゥ/青年)の古い過去分詞形だそうです。また繰り返しですが、過去分詞は「~してしまった(後の状態)」の意味。つまりadult (アダルト/大人)は「(成長が終わってしまった→)大人」ということになります。
「青年」と「大人」が「成長中」と「成長後」という感じでうまく表されていますね。
adolescent (アドレサントゥ)(成長へ向かう) 「青年」
adult (アダルト) (成長が終わった) 「大人」
altoの声は低い?高い?
あなたも「アルト」という女性歌手の分類で聞いたことがあるかも。低目の女声のことですね。これは英単語的にはalto (アルト/低い女声)。これもALの「成長する」単語DNAを持つ単語です。
でも何だか変ですね。「成長」は上に向かう…だから「高い」声なら分かるけれど「低い」声?。
普通の説明は、alto (アルト/低い女声) は「男と比べて高い声」だったというもの。
私の考えはこうです。この語の前身はラテン語のaltus。その意味は「高い」と「深い」と二つあったようです。深い声と言ったら普通低い声。結局alto「高い、低い」どちらでもいいことに。
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alto(アルト)
① 普通は 男と比べて高い女の声
② 私の説 (女の)低い声、(男の)高い声
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「若返る」年齢の言い方?
最後に年齢がらみの少し変わった表現をご紹介します。
例えば
I am thirty years old.
(私は30歳だ)でなく、
I am thirty years young.
(私は30歳の若さだ)
と言うのです。
つまり年齢を言うのに、old(年を取っている)でなく、young (若い)を使うのです。
50歳なら
I am fifty years young.
(私は50歳の若さだ)
100歳になっても
I am one hundred years young.
(私は100歳の若さだ)
最後の英文は、御高齢の方が実際にジョークとして言ったものです。
私も最初はピンと来なかったんですが、英語にはわざと反対の表現を使うことがあるのを知り納得。
youngを代用する年齢表現もこの傾向の表れかもしれませんね。何かの場面で役立つ言い方かも。ただ年齢にはデリケートな部分もあるので、使う場合は、気をつけて!
See you soon!
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員