突然ですが,質問です。
英語で応えてください。
“Do you own a car?”
(あなたは車を持っていますか?)
あなたの答えは,
“Yes, I do.”
“No, I don’t.”
のいずれかと思います。(←当たり前)
“Yes, I do.”と答えた方も多いかと思います。
私も以前は持っていました。
以前「は」です。
そうなんです,今は持っていないのです。
さて,その理由は一体何だと思われますか?
―車を持っていない理由―
いきなりの質問から今回のお話はスタートしましたが,
私が「車を持っていない理由」はいくつかあります。
まず,私の住む街では,電車や地下鉄など生活する上ではどこへ行くにも不自由しない,というのもあります。
ありますが,実はそれ以上に大きな理由があるんです。
それは,駐車場代。
高いのです!
うちの家の場合は,25,000円ですって。
都内ではまだ安い方かもしれませんが,私には高いのです。
東京から遠く離れた私の地元なら,ワンルームのアパートでも借りられそうな金額です。(それは無理があるかしら?)
でもそんな私も,車は毎日のように運転しているんです。
というのも,近所には至る所にカーシェアリングサービスがあり,
うちの真ん前にもあるのです。(玄関出て5秒(笑))
だから,まるでマイカーのように乗りこなしているというわけでございます。
さらにシェアバイク(自転車)も増えてきているので,晴れた日はチャリを借りて,
なんてこともしております。
このように最近は,いろいろな物が借りられる時代。
英語で「借りる」という単語,何を思い浮かべますか?
きっと多くの方は,“rent” “lease” “borrow”を思われるのではないでしょうか。
でもこれらの単語,一体どう違うのでしょう?
― “lease” と “rent”の違い―
“lease”(リース)は,イメージ的にもニュアンスを掴みやすいかもしれません。
オフィスなどでコピー機や社用コンピューターを借りたり,社用車を借りたり。
そうなんです。
“lease”とは,「長期間の契約(有料で)借りる」という意味なんです。
それに対して, “rent”はどうでしょうか。
こちらももちろん一定期間はありますが,それでも1日とか3日のように
「短期間(有料で)借りる」
という意味で使われます。
ほら,CDやBlue-ray, DVDなどを「レンタル」するって言いますよね。
“rental”は, “rent”(動詞)の名詞としての形なのです。
それではダイアログで状況をイメージしてみましょう。
“lease”(リース)
A: How long are you staying in California?
(カリフォルニアにはどのくらい滞在するの?)
B: For a year.
(1年間です。)
A: Then, are you buying a car?
(じゃあ,車を買うの?)
B: No, I’m planning to lease a car.
(いえ,車をリースする計画です。)
“rent”(レンタル)
A: I’m thinking about transportation for our family trip next month.
(来月の家族旅行での交通手段を考えているんだ。)
B: Something wrong with our car?
(うちの車に何か問題でも?)
A: I think it’s fine, but our car is not so comfortable for 5 days.
(いいんだけど,5日間にはそんなに快適ではないと思うんだ。)
B: That’s true. Why don’t we rent a bigger and more comfortable car?
(そうだね。もっと大きくて快適な車を借りるのはどう?)
このように,同じ「車を借りる」という場合でも,
長期で借りる場合は “lease”,短期で借りる場合は “rent”が使われるんですね。
― “borrow”は?―
前述した “lease”と “rent”の違いは,「長期」か「短期」か,ということでした。
違いはそうなのですが,共通点があります。
それは2つとも「(有料で)借りる」ということ。
レンタカーも,カーリースも,レンタルDVDもすべて「有料」。
だからビジネスも成り立つわけです。
対して “borrow”は,
「(無料)で借りる」
という場合に使います。
これが, “lease” “rent” VS “borrow”の大きな違いの一つです。
A: You know the new city library opened last month?
(先月,新しい市立図書館がオープンしたの知ってる?)
B: Yeah, I heard it’s the biggest library around here.
(うん,この辺では一番大きな図書館だって聞いたよ。)
A: Yes, I’ve just borrowed these books from the library.
(そうなんだ,ちょうどこれらの本も図書館で借りてきたばかりなんだ。)
B: Wow, you must be a bookworm.
(わあ,読書が好きなんだね。)
公立図書館で借りる本は基本的に無料ですよね。
そして1〜2週間以内に返却をします。
ですので, “borrow” が使われるんですね。
“borrow”は他にも,
Scene1
A: Oops, I forgot to bring my pencil case.(筆箱忘れて来ちゃった)
Can I borrow your pen?”(ペン借りてもいい?)
B: Sure. Here you are.(いいよ。はい,どうぞ。)
Scene2
A: Oops! I forgot to bring my wallet.(おっと!財布忘れてきちゃった。)
Can I borrow 500 yen? (500円借りてもいい?)
B: Again?(また?)
A: Please!(お願い!)
B: No, why don’t you pay by e-money. (嫌だよ,電子マネーで払ったらいいじゃん。)
物だけではなく,Scene2のようにお金にも “borrow”は使うことができるんですね。
―トイレも借りる?―
よく
「お手洗いをお借りしてもいいですか?」
と言ったり言われたりすることがあります。
まあ,一時的に使うだけだし,ましてやお金もとらないので日本語と同じように
“borrow”を使って,
“Can I borrow the bathroom?”と表現しがちです。
でもこれはダメなんです。
“borrow”は,「(短期間・無料で)借りて返す」という場合です。
「トイレも使った後,返すじゃん?」
そう思ったアナタ。
本当にそう?
“borrow”の「借りる」って,一旦その所有者から「物」が離れて他の人の手に入り,
そしてまた返ってくることなのです。
そう考えると,トイレを借りた場合,
「返す?」
「そもそも借りた?」となっちゃうんですね。
この場合は,トイレを「使う」わけですから
“use”を用いて,
“Can I use the bathroom?”(トイレ使ってもいいですか?)
のようにしましょうね。
じゃないと,
こんなことをイメージされちゃうかもしれません。
ちなみにこれは返しに来たところですね。(違う)
ということで, “rent” “lease” “borrow”の違いがイメージできましたでしょうか。
くれぐれも借りた物は返しましょうね。
これ書いてたら,もう20年くらい前に貸したCDが返ってきていないことを思い出しました…。
CDの延滞料金として代わりに車(高級車)買ってくれないかな(笑)
あ,それよりも駐車場代かな。
それではまた来週〜!
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。