【World Life】とは?
スポンサーリンク

NY15分の休憩中に起こること

World Lifeな生活
この記事は約5分で読めます。
スポンサーリンク

ニューヨークで約28年、私が演奏しているお店、Arturo’s(アルトロ)について、いろいろ書いている3回目、今回は、今年5月に実際にあった、ある晩の出来事について書こうと思います。

私の演奏時間は、通常、夜7時にスタートして11時まで。1ステージ45分間を4セット行い、演奏の間にそれぞれ15分ずつの休憩があります。その休憩の時に、いろいろ面白いことが起こるんです。

さて、この日のファーストセット。

午後7時を過ぎてすぐ、白人の、80代ぐらいかな、ずいぶんご高齢のおじいちゃまご入店。

グループの皆さんのご到着よりも早くに来られたようで、お1人でウオーカー(歩行器)を押してゆっくり入って来られて、5人席をご所望。

ほどなくご家族らしい皆さんご到着され、しばらくお食事の後、杖をついてお手洗いへ。その時、私のピアノが気になったのか、席へ戻られてしばらくしてから、再度ピアノのそばへ。

リクエストはいいか?とお尋ねなので、もちろん私の知っている曲でしたら、と言うと、1930年代の懐かしのジャズをご所望。たまたま知っていた曲だったので演奏したところ、とても喜んでくださり、そしたらご本人もなんとジャズのベースプレイヤーだったとのこと。
最近はリウマチでもう指や手が痛いから演奏はできなくなっちゃったけど、いつもジャズを聞いてるんだって、僕の人生はずっとジャズなんだ、っておっしゃっていました。

まさにアメリカ。というのも、このくらいの年代の方だと、子供時分、そして青春とか青年期とか、全部ジャズだったと思う。本物の、ジャズ全盛期のアメリカを生きてこられた方なんですよね。甘酸っぱい思い出も、充実した大人の時間も。

こういう方と出会うと、ニューヨークに来て良かったと、しみじみ思わされます。私も、人生をジャズに懸けてしまった。だから今でもずっとここニューヨークにいる。

優しいおじいちゃま、いちど席に戻られたんだけど、またピアノのところへ戻ってみえて、手には、彼の自分のCDが。ほほう、1990年代の作品。それでジャケットには彼と彼のバンドメンバーが写っているけれど、当時もう、すでに見事なグレーヘアのおじいちゃま。

その記念すべきCDを、私に、「プレゼントだよ」って、にこっと笑ってくださって、ご家族の待つ席へ戻られました。私もちょうどピアノのところに自分のCDを販売用に並べていたので、その中からソロピアノのアルバムをこのご家族のところにお持ちして、「交換に致しましょう〜」って言って、おじいちゃまに差し上げました。

とても優しそうな息子さん夫婦とお孫さん達とのお食事会で、皆さんニコニコで、温かい雰囲気のテーブルでした。私まで、幸せになっちゃいました。家に帰っても、私のCDでジャズピアノを楽しんでくださってるといいなぁ!

さて2セット目。

落ち着いた年代の、アジア系女性お二人と、西洋人男性おひとりの三人グループ。

女性たちはとにかく英語が堪能そうで、身振り手振りを交えて、英語で歓談を楽しんでおられた。チップを入れに来てくださった西洋人男性にお礼を申し上げたところ、「ドウイタシマシテ」と日本語が。

さてはピアニストの私が日本人なのをご存じだったもよう。ぜひに、と彼らのテーブルへと呼ばれ、簡単な自己紹介をして、私の2回目の休憩時間を使っての歓談と合いなりました。

二人のアジア人女性は日本人で、お一人は、以前しばらく住んで働いていたニューヨークへ日本からの旅行中、旧知のニューヨーク在住の女友達と、そのフランス人のご主人とのディナーを楽しみ、明日、日本は沖縄へ戻られるそう。

沖縄は特にジャズが盛んで、有名なジャズクラブも何軒もあるので、ジャパンツアーで数回行ったことがあり、那覇市の話でちょっと盛り上がりました。

またご主人は、パリから移住されたとのこと、私はパリも毎年のようにコンサートツアーに行っていたので、ソルボンヌ大学のそばのジャズクラブ「カフェ・ユニバーサル」でいつも演奏していたことなどを伝えると、ご存じで、懐かしそうにしておられました。下のフォトは、数年前のパリのコンサート。

 

さあ演奏は3セット目。佳境に入ります。

韓国人女性がカップルで入店。

とにかく真っ黒なストレートヘアが風になびき、ファッションモデルみたいにカッコいい。肩とお腹がばっちり出た、セクシーなトップと、細身のパンツ。彼氏も背が高くてイケメン、カジュアルスーツで、アメリカ人の中でもイタリア系かな。

雑誌のグラビアに出てきそうな感じのお二人。そう思っていると、本日最後の休憩時間に、なんとこの方たちが、私に相談があると言う。

このイタリア系の彼氏が、ピアノを習いたいのだそうだ(笑)。

家に古いピアノがあり、家族の誰も触らないので、とても気になっていて、チャンスがあればピアノを習ってみたいとずっと思っていたのだそうだ。グランマ(おばあちゃん)とか、グレイト・グランマ(ひいおばあちゃん)が弾いてたとか、そんな感じ。アメリカの家庭では、あるある、です。でもそのチャンスがないまま、大人になってしまったのだと言う。

そんな話からスタートして、話はふたりの出会いについて。2人はマッチドットコムで知り合ったばかりで、今日が2回目のデート。彼女はこそっと、この先どうなるかわからないけど、と笑いながら言っていた。

この2人、この先どうなるのかな。この2回目のデート、彼女もキメてたし、彼の振る舞いも、とってもスイートだった。ハッピーエンドだといいなぁ!

って、いつの間にやら、ピアノを習いたいと言う話はどこかへ行ってしまって、2人の馴れ初めを興味深げに聞いてしまった私。まあ、こんな事はよくあります(笑)。

そして4セットすべて終えて、片づけ中。

若そうだけれど、しっとり落ち着いた感じの、素敵な白人女性が、ピアノのところまで見えて、「LOVE」を弾いてくれてありがとう〜!って。どうやら、彼女のお父さんが、彼女がタドラー(幼児)の頃、いつも歌ってくれた曲なんですって、、、

急にダディの面影が浮かんで来たのだそうで。きっと離れてお住まいなのでしょう。人には、いろんなストーリーがありますよねぇ。

今日も、疲れたけど、良い1日でした。

大勢の人が、私のピアノを聴いてニコニコして、楽しんでくれる。ニューヨークでは、2020年3月から完全なロックダウンがあり、レストランやクラブは1年間丸々クローズしました。その後も、以前のようにはなかなか戻りませんが、ピアニストとして、今このコロナ禍すぐでも演奏場所があること自体、本当に恵まれています。神さま、本当にありがとう。

ではまた来週、今度は別の話題でお目にかかります。

Kayo

タイトルとURLをコピーしました