クリスマスをヨーロッパで過ごすって聞くと、さぞかし華やかで煌びやかでロマンチックだと思われませんか?
私も思っていました。そして、憧れてもいました。
特にイタリア ローマには(正確には独立国家なので別の国ですが…)カトリック教会の総本山、バチカン市国がある所。いわばクリスマスの本家と言ってもいい場所です。
そんな所だからクリスマスは盛大にお祝いが行われお祭りムードで、街も華やいでいるのではと期待も膨むもの。
ところが…イタリアのクリスマスは私の予想を大きく覆すものでした。その代わりに、「なに?これは?」という他では見られないものが。
ー遺跡に住む?ローマ市民ー
ローマの街は、街全体がまるで歴史博物館のよう!
コロッセオやフォロロマーノなど古代ローマ時代の2000年も前の遺跡が至る所に残り、その当時街を飾ったであろう石像や石柱が無造作に原っぱに転がっている。多すぎて修復もできないのだろう。
そして、何より驚くのは2000年もの歴史のある建物に今も普通に人がアパートとして借りて住んでいる所!
日本では考えられない!つい、保存しなくていいの?と思ってしまうが、数百年前の建物のアパートは普通なイタリアでは、2000年前の物でもそう変わらないのかもしれない。
古代遺跡を残す一方、華やかな中世のバロック建築が見られるのもローマの魅力。後ろを向いてコインを投げると願いが叶うといわれる「トレビの泉」や、噴水と彫刻が美しい「ナヴォーナ広場」は、バロックの象徴。
そんな、ローマでクリスマスを過ごすとなると期待も高まります!
が、意外や意外、日本に比べるとかなり簡素なものでした。
キラキラした派手なイルミネーションや大きなツリーが今や定番の日本のクリスマス。その感覚でイタリアに来ると、「え??本場のクリスマスって、こんなもの??」となる。
プラダやグッチなど、イタリアを代表するお店から世界的に有名なブランド店が軒を連ねるコンドッティ通りは、ローマでも一番の華やかな通り。クリスマス近くになると通りはイルミネーションで飾られる。
が、大抵色は単色で、きれいだけど……物足りない。
元々、建物も中世の古い建物で重厚感はあっても華やかさはないし、通りも車2台がやっと通れる程の細い通り。そこを飾ってもそんなに目立ちはしない。
添乗で行った時のお客様の中には「イタリアのクリスマスだからすごく期待してたんだけど、何だか期待外れで寂しいですね。」という声もあった。
しかし、クリスマスの本家ともいえるバチカン市国を訪れた時、気づいたのです。
ーなんだ これ??ー
カトリック教徒の総本山 バチカン市国には世界中から観光客だけでなく、世界に約13億人いるといわれるカトリック信者達も多く巡礼に訪れる。
観光の中心になるのはサン・ピエトロ大聖堂。内部は教会というよりも美術館。絢爛豪華な装飾もさることながら建築に関わっている人たちもミケランジェロやベルニーニと豪華な顔ぶれ。特にミケランジェロ作のピエタ像の彫刻は必見。キリストを亡くしたマリアの悲しみがこちらまで伝わってくるよう。
そのサン・ピエトロ大聖堂の前に広がるのがいつも人で溢れているサン・ピエトロ広場。ローマ教皇が演説を行う際に人々が集まる場所でもあるので見た事がある人も多いのでは?
その広場の中心にあるオベリスク近くに大きなクリスマスツリーがお目見えする。その高さと大きさにはビックリ。本物の木でこれだけの大きさの物はなかなかない。
でもやっぱり、ライトアップされればきれいだけれど、派手な電飾やキラキラの飾りがついているわけでもなくいたってシンプル。華やかという感じはない。
その代わり、ツリーの横に大きく場所をとりツリーよりも目立つ「なんだ これ?」というものが。
パッと見は人形劇の舞台のよう。小屋のようなところに本物の藁が敷き詰められ、等身大の牛やロバ、羊に人形が置かれている。小屋の外は山並みが再現してあったり、農夫風の人たちがいたり…。
これは「プレゼピオ/プレゼペ」と呼ばれるイエス・キリストの誕生シーンを再現した模型。
イエスは、父ヨセフ、母マリアの元で家畜小屋または洞窟で生まれたとされる。そこへ星に導かれて、イエスの元に贈り物を携えた東方の三博士が訪ねてくる。新約聖書の福音書にも書いてある場面だ。
誕生したキリストを囲むように、ヨセフとマリア、少し離れて三博士が見守っている。みんな穏やかな表情。ちなみに、クリスマス前まではゆりかごの中は空っぽ。25日なるとキリストのお人形が置かれるという忠実さ。
教会のステンドグラスは、文字が読めない人へ聖書の教えを分かりやすく伝えるために作られたものという。きっとプレゼピオもこれをみて、人々はイエスが生まれた時の事を伝えていったのだろう。
毎年イタリアの州の一つが担当して作るというバチカンのプレゼピオ。クリスマス時期だけの短期間の展示なのに精巧で大掛かりな作りになっているプレゼピオを眺めていて気づく。
「そうだ、クリスマスってイエス・キリストの誕生をお祝いする日だった…。」
お祭り気分でやってきた自分が恥ずかしくなる。日本のパーティー的だったり、恋人と過ごす日だったりではないのだ。
クリスマスはあくまで、「キリストの誕生を祝福する日」。イタリアの人にとっては、厳かで伝統的な大切な日なのだ。そこに煌びやかな華やかさなど必要ないのかもしれない。
ー要注意!クリスマス当日ー
そんなイタリア人のクリスマス当日はというと、遠くに離れて住む人も里帰りをして家族でゆっくりと過ごす日。
そして、食べて、飲んで、しゃべって、また食べて、飲んで…。日本のお正月みたいな感じですね。家族でプレゼント交換などもするそうですよ。
さて、日本だとクリスマス・イヴやクリスマスは書き入れ時で、街中は大賑わいですが…イタリアでは、クリスマス当日の25日と翌26日が聖ステファノの日で祝日になります。
祝日はお店も休むのがイタリア。特にクリスマスの2日間はお店もレストランもスーパーまでもほとんどが閉まってしまいます。
ひと昔前の日本のお正月三が日のような感じです。街もひっそりとしています。ツアーで行けば食事はホテルなどで確保されているので大丈夫ですが、個人で行くと食べる所を探すのにも一苦労です。
「イタリアで豪華なクリスマスディナーを」なんて考えていたら、クリスマスディナーどころかサンドイッチさえも買えなかったともなりかねません。
クリスマスの雰囲気を味わいたいなら24日まで。あるいは日本と違ってイタリアのクリスマスは年明けまで続くので、クリスマスを外して27日以降でもクリスマスの飾りつけはそのままなので楽しめます。
少しコロナの状況も落ち着き、外食も緩和されてはいるものの、まだ以前と同じようにみんなで集まってクリスマスパーティーなどをするのは憚られるご時世。
今年のクリスマスは、イタリア式に家族でゆっくりとお家で食べて、飲んで、しゃべって…プレゼント交換などして過ごしてみるのも楽しいかもしれませんね。
Buon Natale!
(メリークリスマス!)
中学生時代から英語を話せるようになる事に憧れ、外国語短大へ進学。その後イギリスへ留学するも英語が話せず落ちこぼれの生徒に。英会話のトレーニング(カランメソッド)を受け英会話が上達。帰国後、夢だったツアーコンダクターになる。渡航国約35カ国 年間200日以上を海外で過ごす。その後オーストラリアにワーキングホリデーで渡り、オーストラリアにあるハミルトン島のリゾート会社に就職。その後日本に帰国し、京都のホテルやゲストハウスなどでの経験を経て、地元宮崎にUターン。現在は地元宮崎で、英会話教室及び、単位制、通信制の高校で英会話を教えている。
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