「チェコ」と聞いて何を思い浮かべますか?
チョコではなくて、チェコ。中央ヨーロッパの国の一つ、チェコ共和国です。
チェコは、西をドイツ、北はポーランド、東をスロバキア、南をオーストリアに囲まれた国で、大きさは北海道より少し小さい位。
チェコスロバキアの事?と思われた方もあると思いますが、チェコは1993年にチェコとスロバキアは分かれてそれぞれ別の国になっています。ドイツやフランスのような西側のヨーロッパの国々に比べると、まだあまり知られていない国、チェコ。
名前を聞いても何も思い浮かばない、という人も多いかもしれませんね。そんな方にチェコの魅力をお伝えします!
<チェコの首都は?>
まず、チェコの首都はどこか知ってますか?
チェコの首都はプラハ。
「プラハの春」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。1968年社会主義体制下のチェコスロバキアで起きた民主化運動の事で、ソ連などに軍事介入され弾圧されました。
この当時のことが元になった、春江一也氏の小説「プラハの春」。さらには、この小説を元に宝塚歌劇団が舞台化もしているので、小説や舞台で「プラハの春」を知っている人もいるでしょう。
ちなみに、英語ではPrague。カタカナで書くと「プラーグ」。「プラハ」ではないのでご注意を。
私がチェコを訪れたのは2000年前後。社会主義体制を抜け出してからまだ10年もたっていない頃でした。
そのため私の中には、チェコは西側諸国と比べるとどこか暗い雰囲気があるんじゃないかと思っていました。それは、やはり元社会主義国だった旧東ドイツのベルリンを訪れた時、街並みも閑散としていて寂しく、町全体が暗く感じたからです。
同じように、プラハもそんな感じがあるのではないかと思っていたのですが…その考えは街を見て大きく覆されました。
町中を走る車は、どう見ても2、30年前の物じゃないかというような角ばったフォルムの一昔前の車。時には、窓ガラスが割れて、段ボールで塞いでいるような車も。
車は想像通りでしたが、プラハの街はベルリンで感じたような暗さや重い感じはなく、むしろ、おとぎ話に出てくるような建物が多くて華やか。
中世の街並みがそのまま残っているプラハ歴史地区は、世界遺産にも登録され、その美しい姿は「中世の宝石箱」と賞賛されるほどです。
ヨーロッパ諸国を色々と行ってますが、これだけ大きな規模で中世の街並みがそのままきれいに残っている所はほとんどありません。
高台に建つプラハ城は、プラハの街のシンボルといってもいいでしょう。夜にはライトアップもされ、夜空に浮かぶプラハ城は神々しく、またさらに美しいのです。
プラハ城は、世界でも最も大きな城の一つで、城内には、旧王宮、執務室、歴代のボヘミア王が眠る大聖堂や庭園などがあります。
その一つ、聖ヴィート大聖堂。
ここにはアール・ヌーヴォーを代表する画家、ミュシャのステンドグラスがあることで有名です。ミュシャはチェコの出身だって知っていましたか?
このミュシャのステンドグラスは、私がこれまで見たどのステンドグラスよりも美しく、柔らかくて繊細。色彩も豊かです。
この教会には他にもステンドグラスがありますが、ミュシャが手掛けた物は、他とは全く違うタッチなのですぐにわかります。
元々ミュシャが好きな私は、そこでしばらくずっと目が離せなくなるくらい見入ってしまいました。
プラハ城の観光の最後には、「黄金の小道」と呼ばれるカラフルな小道があります。おとぎ話に出てくる小人が住んでいそうな小さなかわいい家が並んだ通り。
小さな家々には、お土産屋さんや雑貨屋さん、または昔の生活が分かるような資料館などが集まり観光客にも人気の場所です。
<世界で一番美しい町>
プラハも美しい街なのですが、チェコで一番行ってもらいたい所は、チェスキー・クルムロフ。
舌を噛みそうな言いにくい名前ですが、ここは世界で一番美しいとも言われる街です。
蛇行したヴルタヴァ川(モルダウ川)に囲まれた町全体がお堀に囲まれた城塞のような雰囲気。
橋を渡って歴史地区へと入っていきます。するとそこは、メルヘンチックなおとぎ話の世界。石畳の道に、パステルカラーの壁。とにかくかわいい町なのです。
観光の中心はひときわ高くて目立つチェスキー・クルムロフ城。小さな町の規模にしては随分大きく立派なお城で、お城の塔の上からは街並みを一望する事ができます。
このお城も素敵な所なのですが、私のお気に入りはやっぱり街歩き。
小さな町なので徒歩で十分回れる所です。小さな路地や何ともない道もどこか魅力的で、どこを切り取っても絵になる風景なのです。中世の人たちがどんな風に暮らしていたのかを想像すると街歩きも楽しくなります。
<世界的に有名なあのビールが実は…>
チェスキークルムロフの近くにあるチェスケー・ブデヨヴィッツェの町は、ブドヴァイゼル ブドヴァルのビール醸造所がある事で有名です。
実は、チェコは世界で一番一人当たりのビール消費量が多い国で、ビール大国。そして、ピルスナービール発祥の地でもあります。
「ブドヴァイゼル・ブドヴァル」というビールの名前を「初めて聞いた」という人もいるかもしれません。
では、英語表記「Budweiser Budvar」ではどうでしょうか?ピンときましたか?
実は、アメリカのビール「バドワイザー」は、ドイツ系アメリカ移民がアメリカでビールの製造を始めた際、ヨーロッパで有名だったビールの産地ブデヨヴィッツェのドイツ語ブドヴァイスから名付けたものだそうです。
名前を使われた本家本元のブドヴァイゼル・ブルドバルは訴訟を起こし、ヨーロッパではアメリカのバドワイザーは「Budweiser」ではなく「Bud」の名前で販売される事になりました。
今や世界的に有名なバドワイザービールがチェコのビールと関係があったなんてビックリですよね。
現在、日本で最も飲まれているビールが、ピルスナータイプ・ラガータイプのビール。という訳で、チェコのビールは日本人にも馴染みがあって飲みやすく、スキっとした味わいのビールです。
チェコでピルスナービールが生まれていなければ、私たちが飲むビールの味も変わっていたかもしれませんね。少々重いですが、ビール好きな方にはビールのお土産も喜ばれるでしょう。
チェコには他にも、繊細な彫刻と装飾が美しい「ボヘミアグラス」や深い赤色が魅力の宝石「ガーネット」など素晴らしい工芸品も揃っています。
こちらは値がはるので、気軽に買える物ではありませんが、長く使える物なので大事な方への贈り物や自分への旅の記念に買うと良いかもしれませんね。
いかがだったでしょうか?
チェコの魅力が少しでも伝わったら嬉しいです。ビールを飲むときには、ぜひチェコの事も思い出してくださいね。
中学生時代から英語を話せるようになる事に憧れ、外国語短大へ進学。その後イギリスへ留学するも英語が話せず落ちこぼれの生徒に。英会話のトレーニング(カランメソッド)を受け英会話が上達。帰国後、夢だったツアーコンダクターになる。渡航国約35カ国 年間200日以上を海外で過ごす。その後オーストラリアにワーキングホリデーで渡り、オーストラリアにあるハミルトン島のリゾート会社に就職。その後日本に帰国し、京都のホテルやゲストハウスなどでの経験を経て、地元宮崎にUターン。現在は地元宮崎で、英会話教室及び、単位制、通信制の高校で英会話を教えている。
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