7月末の早朝。目覚めて縁側から外に目をやった途端、あれ?と思いました。
モミジの一部がもう紅葉していたんです。温暖化の影響でしょうか。
でも温暖化よりすぐ気になりだしたのが「紅葉する」の英語。何かと言うと
「紅葉する」はturn redなんです。(でも「葉が赤くなる」ならbecome redじゃないの?)
と疑問になってきたんです。
今回は色々な英語の「なる」について、みてみましょう^^
さっそくbecome。でもこれ固い言い方。後に「名詞」が来て「名詞になる」が普通みたい。だから「紅葉する」=become redは少し変かも。becomeは「なる」の意味ほど使わなさそう。
例 He became president.
(彼は社長になった。)
で、もっと使いやすいのはget「形容詞」「(~の状態)になる」会話的な最も多い言い方。
The leaves got red.もOK。目の前の葉を見て「赤くなった」って言う感じかも。
例 He got sick.
(彼は気持ち悪くなった。)
さてturnの「なる」。ただturnは元々「回る」。なので画像がくるっと回りスッと別の画像に変わる感じ。
例 He turned pale.
(彼は青ざめた。)
「紅葉する」なら、結局こんな感じかも。
My dream will come true.
(私の夢は実現するだろう)
はよく使われる表現。
come trueは「本当になる」。 come は「来る」なので「本当の状態でやって来る」の感じかも
goも同じように「~になる」の意味が。でもgoは「行く」なので「悪い状態で行ってしまう~」感じで使われるよう。
例 The meat went bad.
(肉が腐った。)
最後に「ゆっくり~なる」なら何でしょう?
grow~です。これは「ゆっくり・自然に~なる」感じです。
例 It grew dark.
(暗くなった。)
<英語に「なる」が多いワケ>
それにしても英語には「なる」がたくさんありますよね。
(覚えられな~い!日本語は「~なる」だけなのに!)と感じませんか?
でも逆に見てみたらどうでしょう。
英語がいろいろあるのではなく、日本語がいろいろな状況に「なる」を使うって。
日「なる」 ⇒ 英 いろいろな言い方。
日「なる」 ⇐ 英 いろいろな言い方。
「なる」だけに注意を向けることは少ないかもしれませんが、日本語は「なる」をとてもよく使うんですね。例が多そうです。例えば…
保険証が廃止に「なる」。
何万品目が値上げに「なる」。
戦争に「なる」。
この例文、他の言い方もできます。例えば次の言い方と比べると面白そう。
保険証を廃止「する」。
何万品目を値上げ「する」。
戦争「する」。
「する」の方は何だかはっきりし、責任や張本人とかが分かりそう。そんなことをするのは誰だ!?と言えそうな気が。
反対に「なる」と言われると避けられない自然現象のように聞こえてうっかり納得してしまいそう。これって政治家の常とう手段ではないでしょうか?
繰り返しますが、言っているコトが同じでも「~になる」だと納得させられそうなんです。19世紀フランスのルボンが既に言っています。
「民衆が….あるコトを大嫌いになってしまったら、真の政治家なら、言葉を言い換えるだろう。そのコト自体を変えずにだ。」
保険証と実質同じ資格確認証とやらを思い出すのは私だけでしょうか。ルボンの指摘が当っている場合、マイナカードに対する国民の反発が増したら、政治家は名前だけ変えちゃうかも。
また逆にあなただって「なる」を利用できるかも。
実は正直言うと、私もしちゃいました。生徒から文句がでそうな時は「なる」を使うんです。
例えば生徒が好きな遠足が延期される伝達。
「今度の遠足は延期します」(ではなく⇒)「今度の遠足は延期になります」
実に不思議。同じ延期でも「延期になる」だと生徒の反発は「延期する」より減るんですよね。
悲しそうな顔で言うとなおさらw。勿論「文句が減れば全て良し」ではないので念の為。
時期外れの紅葉の目撃から話が広がりました。言い方一つで見方も社会も変わりかねません。騙されないように、騙さないようにw
引き続き多様な言語や文化について知見が広がると良いですね。
See you soon!
Jiro
追記
ルボンの原文
Aussi, quand les foules, à la suite de bouleversements politiques, de changements de croyances, finissent par professer une antipathie profonde pour les images évoquées par certains mots, le premier devoir du véritable homme d’État est de changer ces mots sans, bien entendu, toucher aux choses en elles-mêmes.
Gustave LE BON (1895) PSYCHOLOGIE DES FOULES AXONE CONSEIL p64
<英語版>
知ってる内容を英語ルートで理解する。洋画で字幕を読んで英語を聞くように。
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私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員