「あれ?今日テンション低いじゃん?」
先日、ある近所の方からこう言われました。
「なんだか夏バテみたいなんだよね。」
そう答えましたが、考えてみたら、
『テンションって何?』
「超テンション上がる~!」ってよく聞きますが、これが「超楽しい、うれしい!」
という意味だとわかるということは、
日本人の多くは、「テンション=気持ち、感情」と思ってるってことですよね?
たしかに英語には “tension”という語があります。
でもそれは、「緊張、不安」「ピンっと張っている状態」「電圧」などの意味。
なので、「テンションが上がる!」というのは、人間関係にあれば当てはめれば、
「相手との関係の糸がピンッと張って緊張感が増した状態」に近いかもしれません。
だから、「上がる、下がる」のではなく、「増す、緩む」という感じです。
「でも、電圧っていう意味もあるんだからそれじゃない?」
そう思う人もいるかもしれませんね。
う~ん…なるほど…。
「ボルテージが上がった~!」って感じで、感情の高ぶりを表している感じでしょうか?
“ I am high tension.”とか?
でもこれでは、「私は高電圧です。」です。(笑)
ヒョウ柄のビキニを着て、頭に角の生えたアニメのキャラクターくらいしか
この表現を使うことはできません。だっちゃ。
でも、なんで「テンション」という言葉が「気分」として使われるようになったのでしょう。
諸説あるようですが、最も有力かな?というのが「音楽用語」ということ。
音楽用語に「テンションコード」というものがあり、
あるミュージシャンがライブで盛り上げるために
「テンション(コードを)上げようぜ!」と言ったとか言わなかったとか。
そこから来ているのではないか?ということでした。
なるほど。でもそれでこんなに拡まるかなぁ。という疑問はさておいて、
また、もう一つ気になる言葉があるのです。
それは「リベンジ」。
「リベンジ」って復讐とか恨みという意味ですが、日本ではこんな風に使われています。
先日、テレビを見ていた時のこと。
「新しくできた人気のお店、今日は人が多くて入ることも難しそうです。次回、リベンジしたいと思います!」
テレビのリポーターが、意気揚々に話すのを聞いたときに
「わお、お店に恨みでもあるのだろうか・・・」と思いました。
“revenge”は「復讐/恨み」というネガティブな意味。
日本で使われているのは、「再チャレンジ」や「再挑戦」という意味。
同じ「リベンジ」でも使われ方が違います。
使い方を知っていて、日本で使っているならまだいいのですが、
本来の意味を知らずに、英語として外国の人に使ってしまっては赤面ものです。
もしも外国の人に対して、こんなことを言ったとします。
「あ~、昨日作ったお菓子、大失敗。明日またリベンジするつもり!」
「え?お菓子が何か悪いことでもしたの?」そう聞かれること間違いなしです!
「そうよ、材料の小麦粉が私に向かって一斉に飛びかかって来たのよ!」
それくらい言い返せるセンスと知識があれば言うことなしですが、
きっと多くの人は、
「え?何か変なこと言った?」とアワアワしちゃうかもしれません。
だってそれは、リベンジは「復讐・仕返し」というダークな意味であるということを知らないから。
でも、本来の意味と使い方を知っていれば使ってもいいと思うのです。
ここまで浸透してしまったのであれば、テンションもリベンジも、
使ってもいいと思います。
日本語として、ですが。
気分が上がったら、「ハイテンション」。
でも英語では、 “I’m excited!” etc.
「次回リベンジしよう!」。
でも英語では、“I’ll try it again!” etc.
敢えて知っていて使うのであれば、何かを言われたとしても
「ふふふ。日本ではね、こういう使い方もあるのだよ。英語のように感じるけど、実は日本語なのだよ。日本人の得意とする、外国語を日本語に変えちゃう忍法なのだよ。」って言えるじゃないですか。
リベンジといえば、その言葉の意味がよくわかるおススメのTVドラマがあります。
アメリカABCで放送されたその名も「Revenge」。
シーズン1が始まったのは9年前と、結構古いのですがDVDも出ているので興味のある方はぜひご覧ください。
毎回ハラハラする緊迫のストーリーに、「テンション」が上がったり、下がったりしますよ。
あ…そういえば、この前失敗したあの料理。
早速、今週末にもう一度作ってみようかな。
さあ、リベンジ、リベンジ!(笑)
なんちゃって。
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。