SDGsには、「誰一人取り残さない」という大切な理念があります。多様性を認めるために大事な理念になっています。
いきなりSDGsが出てくるとかたくるしい感じですが、これがSwatchの個性かもしれません。
今回、この記事を通してあなたに体験していただきたいのは、アメリカ人の堅苦しい世界と自由な世界です。
英語という言語は、生活する世界によって、様々な形に変化していきます。あなたが話している英語は、堅苦しい世界を知ることで、より効果的に伝えることができると思います。
今回は、“look forward to”というフレーズを通して、アメリカの硬い世界と柔らかい世界を知っていただきたいと思います。
<I’m looking forward to seeing you!は、魔法の言葉!?>
Swatchが英語の学習を本格的に始めて、アメリカ人から言われて、一番印象に残り、嬉しかったフレーズは、
“I’m looking forward to seeing you!”
(次に会うのを楽しみにしていますよ!)
でした。
当時は、なぜ現在進行形なのかもよく分からないまま、なんとなく嬉しく感じていました。
言ってみれば、アメリカ人から「会いたい!」と言われたのが嬉しかったのだと思います。
よく考えてみると、Swatchの方から、覚えたばかりの長い英語フレーズである
“I’m looking forward to seeing you again!”
をアメリカ人に言っていたのだと思います。
相手のアメリカ人は、その問いかけに
“I’m looking forward to seeing you, too”
(私も会いたいですよ)
と社交辞令で反応してくれただけかも知れません。
英語が通じた嬉しさと「会いたい」と応じてくれたドキドキ感がありました。自分勝手に、きっと再会できると信じて、夢を膨らませていたのだと思います。
この会話は、アメリカ人が初めて会った人に対して言うものではありません。実は、“I’m looking forward to seeing you!”と目を輝かせながらいう日本人に対してのみ返してくれる社交辞令です。
アメリカ人同士では、そんな社交辞令は使いません。「明日会いましょう」といった具体的な内容になるからです。
アメリカ人との会話のニュアンスはそういった会話と行動から学んでいきます。当時のSwatchは、まったくそのニュアンスが分からずにいたということです。
ただ、自分の「会いたい」という気持ちをダイレクトに伝えることができるこの英語のフレーズが、「魔法の言葉」に感じていたのは確かです。
まだまだアメリカ人と話す機会がない日本人が、アメリカ人と出会い言葉を交わし、短い間でも会話ができたことは、本当にラッキーで幸せなことでした。
そんな時間をもう一度体験したいという強い気持ちを表現するには、“I’m looking forward to seeing you again!”は、本当に最適なフレーズだったのです。
でも、それはSwatchの一方的な願望で終わります。
<I’m looking forward to seeing you againは、実現可能性はゼロ!?>
日常の柔らかい世界における英会話は、いろいろな気遣いの上に、楽しく生活できるような工夫がなされています。社交辞令もその一つですね。
それでは、柔らかい世界で使われるこのフレーズの三つのマジックを明かすことにしましょう。
まず、I’m looking forward toと現在進行形になっているのは、具体的約束や目的、目標があることを意味しています。その目標に向かって、進んでいるということなのです。
ここでは、seeing you(あなたに会う)ことですね。「会うこと」が目的になるのであれば、通常、日時、場所などが決まっていなければなりません。その前提がないのです。
そのことに気が付かない日本人には、「会えるというマジック」を信じてしまいます。予定にないことを、あたかも決まったことのように言っているに過ぎないのです。
「会えればいいですね」、「楽しみにしていますよ」と発言しただけ。あきらかに、社交辞令です。
現在進行形のもう一つのマジックは、強い感情表現ができることです。look forward(楽しみにする)という感情が、すでに心の中でワクワクと湧き上がっているということを表現しています。
それが現在進行形のもつ、大きな心理的効果です。そのマジックによって、なんとなく「会えること」を信じてしまいます。
さらに、決定的な言葉がフレーズに入っています。「again(再び)」です。以前に、“See you again!”は、「近いうちにまた、会おう」ということではなく、「遠く離れてしまうとき」に使うフレーズであると紹介しました。
この場合も、seeing you againは、「熱烈に再会を期待する」させるマジックで、実現可能性はほとんどないことを含意します。取り付く島もないですね。
親しくもない関係で、ただ別れ際に“I’m looking forward to seeing you again”といって、過大な期待を抱いてはいけません。ここは、社交辞令として割り切りましょう。
Swatchが、この現実に気が付いたのは、英語の通訳になってからでしたので、10年以上ボーっとこの表現を使っていました。
本当に会いたいという気持ちを伝えたいなら、look forwardは使わなければ良いのです。
“I want to see you soon!”と直接的に伝えればOKです。
<米軍の大佐が、I look forward to!といった意味が分からない!?>
次に、硬い世界の英語の世界をお話ししましょう。
米軍との会議で、大佐の通訳をすることになった時のことです。
Swatchは、日米両国の軍事会議に通訳として参加する機会が多くありました。
会議の最後には、米軍の大佐が、まとめのスピーチをして終わるのが定例でした。
大佐は、軍歴25年以上の司令官です。軍の中の超エリートです。
Swatchとその大佐とは、家族ぐるみのお付き合いで、食事をすることもしばしばありました。
大佐が、会議の終わりに挨拶をしました。
“I look forward to the next meeting”と述べ、挨拶を終えました。Swatchは、
何の迷いもなく、「次の会議を楽しみにしております」と通訳し、会議は終わりました。
さて、あなたは、ここでI’m looking forward to と I look forward toの違いが気になっていると思います。
Swatchは、通訳の後に、議事録を読み返しながら、ふと思ったのです。
なぜ現在形の文なのだろうか?
過去の議事録を調べてみると、“I’m looking forward to”という表現はなく、全て“look forward to”でした。
早速、大佐に再会したときに、聞いてみることにしました。
Swatch:I look forward to とI’m looking forward toって使い分けていますか
大佐: 使い分けているよ。公式の場所では、look forward toを使い、フォーマルな感じをだしている。
Swatch:look forward toは,フォーマルな表現になるんですね。現在進行形を使うとどんな感じになるのでしょうか。
大佐: 直接的、感情的に表現することができ、自分の思いをフレーズに乗せやすいので、会いたいという気持ちが伝わりやすい。言ってみれば、わかりやすい表現だ。
Swatch:感情的な表現を、公的には大佐は避けているということですか。
大佐:その通り。我々の職責は、全てを明確に的確に伝えることが求められている。言ってみれば、hard(硬い)な世界だからだ。感情的な表現は必要ないし、避けるべきだ。
Swatch:そういえば、以前、自衛隊の幹部が“I’m looking forward to seeing you!”と大佐に行ったときに、大佐が“We didn’t check it!”(決まってないぞ)といったのを思い出しました。
大佐: あれは冗談。(笑) 敢えて言うと、約束をしていなければ、私の立場ではYesとは言えない
<硬い世界と柔らかい世界の英語の違いを使い分ける>
最初に、SDGsのことを書きました。誰一人取り残さない世界を実現し、多様性を重視すること。
Swatchは、多様性を認めない、規則づくめの防衛省・自衛隊で生活をしてきました。
世の中には、いわゆる硬い世界と柔らかい世界が存在しています。お互いのことを尊重し、認め合いながら生活することが、コミュニティーの活性化にもつながります。
英語に関して言えば、大佐のような高官の行動は、様々なことに制約されることから、表現自体も正確さを求められます。
逆に、日常の柔らかい世界における英会話は、いろいろな気遣いの上に、楽しく生活できるような工夫がなされています。社交辞令もその一つです。
そういった文化的な背景を理解し、使い分けをしながら、英会話に活かすことができれば、素晴らしいコミュニケーションができ、より楽しい関係を築くことができると思います。
執筆家・英語教育・生涯教育実践者
大学から防衛庁・自衛隊に入隊。10年間のサバイバル訓練から人間の生について考え、平和的な生き方を模索し離職を決断する。時を同じくして米国国費留学候補者に選考され、留学を決意。米国陸軍大学機関留学後、平和を構築するのは、戦いを挑むことではなく、平和を希求することから始まると考えなおす。多くの人との交流から、「学習することによって人は成長し、新たなことにチャレンジする機会を与えられること」を実感する。
「人生に失敗はなく、すべてのことには意味があり導かれていく」を信念として、執筆活動を継続している。防衛省関連紙の英会話連載は、1994年1月から掲載を開始し、タモリのトリビアの泉に取り上げられ話題となる。月刊誌には英会話及び米軍情報を掲載し、今年で35年になる。学びによる成長を信念として、生涯学習を実践し、在隊中に放送大学大学院入学し、「防衛省・自衛隊の援護支援態勢についてー米・英・独・仏・韓国陸軍との比較―」で修士号を取得、優秀論文として認められ、それが縁で定年退官後、大規模大学本部キャリアセンターに再就職する。
修士論文で提案した教育の多様化と個人の尊重との考えから、選抜された学生に対してのキャリア教育、アカデミック・アドバイジングを通じて、キャリアセンターに新機軸の支援態勢を作り上げ、国家公務員総合職・地方上級職、公立学校教員合格率を引き上げ高く評価される。特に学生の個性を尊重した親身のアドバイスには、学部からの要求が高く、就職セミナーの講師、英語指導力を活かした公務員志望者TOEIC セミナーなどの講師を務めるなど、大学職員の域にとどまらぬ行動力と企画力で学生支援と教員と職員の協働に新たな方向性をしめした。
生涯教育の実践者として、2020年3月まで東京大学大学院教育研究科大学経営・政策コース博士課程後期に通学し、最年長学生として就学した。博士論文「米軍大学における高等教育制度について」(仮題)を鋭意執筆中である。
ワインをこよなく愛し、コレクターでもある。無農薬・有機栽培・天日干し玄米を中心に、アワ、ヒエ、キビ、黒米、ハト麦、そばを配合した玄米食を中心にした健康管理により、痛風及び高脂質血症を克服し、さらに米軍式のフィットネストレーニング(米陸軍のフィットネストレーナの有資格者)で筋力と体形を維持している。趣味はクラッシック音楽及びバレエ鑑賞。
Facebook
https://www.facebook.com/takeru.suwa.7/
※友達申請いただく際「World Lifeで見ました」と一言コメント頂けますでしょうか。よろしくお願いします。