海外のニュースを直接見ると、日本のニュースだけでは見えてこない出来事に出会うことがあります。
今回取り上げるのは、ヨーロッパで起きている「野菜の異変」です。
英紙「The Guardian」では、8月17日にこんなニュースが報じられました。
European farmers face ‘unprecedented crisis’ after successive heatwaves
(相次ぐ熱波で、ヨーロッパの農家が「前例のない危機」に直面)
この記事によると、フランスでは野菜の生産に深刻な被害が出ています。
・ブロッコリー:60%減
・レタス:35%減
・エンドウ豆:40%減
・アーティチョーク:50~100%減
フランス・ブルターニュ地方の1,300以上の野菜生産者が参加する団体は、現在の状況を「歴史的な危機」と表現しています。
では、なぜこれほど大きな被害が出ているのでしょうか。
ヨーロッパを襲った猛暑と干ばつ
大きな原因となっているのが、2026年の夏にヨーロッパ各地を襲った猛暑と干ばつです。
The Guardianによると、ヨーロッパでは相次ぐ激しい熱波と広範囲にわたる干ばつが発生。フランスでは30℃を超える高温が続き、35℃を超える日も。ほとんど雨が降らない状況や熱風などが、農作物の成長を妨げています。
しかも被害は、フランスだけではありません。イギリスでも同じような異変が起きています。
8月1日では、イギリスのブロッコリー農家の収穫量が半減していると報じられました。本来ならイギリス産の野菜が豊富に出回る夏ですが、今年は国内のブロッコリーが不足し、スペインやオランダから輸入して不足分を補っています。
レタスは90%、トマトは60%以上値上がり
影響は収穫量だけではありません。イギリスでは、卸売価格も大きく上昇しています。
・アイスバーグレタス:90%値上がり
・トマト:60%以上値上がり
・ジャガイモ:40%以上値上がり
ブロッコリー農家からは、「通常なら1個で販売する重量になるところ、今年は2個合わせなければその重量にならない」という声まで出ています。
猛暑によって、野菜そのものが十分に育たなくなっているのです。
水をまけば解決する?
ここまで読むと、
「それなら、もっと水をまけばいいのでは?」
と思うかもしれません。
ところが、問題はそれほど単純ではありません。
イギリスでは、灌漑設備や農場内の貯水池を持つ農家でも水が不足してきています。ある野菜卸売業者は、「一般の人が思っているより深刻です。水がなくなりつつあります」と語っています。
農家からは、冬や春に降った雨を夏まで蓄えておくため、より多くの貯水設備が必要だという声も出ています。しかし、大規模な貯水設備を造るには多額の費用がかかり、許可を得るまでに長い時間がかかる場合もあります。
これまでの「当たり前」が変わっていく
今回のニュースを見ていて、興味深いのはここです。
農業は、その土地の気候に合わせて長い年月をかけて作られてきました。しかしイギリスの農家では、今後の暑さに対応するため、南ヨーロッパで使われているような「高温に強い品種」への変更も検討され始めています。
つまり、
「これまでと同じ気候が続く」
という前提そのものが、変わり始めているのかもしれません。
日本語ニュースの「その先」へ
日本にいると、「ヨーロッパで猛暑」「干ばつで野菜が不作」というニュースだけなら、「今年はヨーロッパも暑いんだな」くらいで終わってしまうかもしれません。
でも海外のニュースを直接見てみると、イギリスでブロッコリーの収穫量が半減していること、夏なのにスペインやオランダからブロッコリーを輸入していること、そして農家がこれまでとは違う品種や新たな貯水設備まで検討していることが見えてきます。
日本語のニュースだけを見ていると、なかなか出会わない世界の出来事。そんな「英語がわかると、世界が広がる」ニュースもお届けしていきたいと思います。

