今回は久しぶりにSwatchの英語の武者修行時代のお話です。
六本木の街を毎晩、英会話の実践のため外国人に声を掛けていました。
5時に仕事を終え、六本木の街に繰り出します。
近くのフィットネスで軽く汗を流し、夕暮れ時に六本木のバーに足を向けます。
レストランバーへのエレベーターの扉が閉まりかけます。
「すいません~!」と一言かけると、エレベーターのドアが開きました。
急いで乗り込むと、金髪の外国人が一人乗っていました。
「お!運がいいねえ。英会話の練習ができる!」と心でつぶやきます。
“Thank you,sir!”
金髪の男性は、目を丸くして「英語うまいね~!」と返してきます。
良く見ると当時テレビで人気者のアメリカ人タレント、ケント・デリカット氏。
いたずら心が働き、今も日本で活躍しているケント・ギルバート氏と間違えたふりをしてみる。
「あ~、テレビ見てます。ケント・ギルバートさんですよね!
<アメリカ人の物まねで会話が盛り上がる>
「あ~、テレビ見てます。ケント・ギルバートさんですよね!」
デリカット氏の反応は素早かった!
「チガウヨ!ケント・デリカットだよ」
さらにいたずら心に火が付き、ケント氏のアメリカ人特有の日本語を真似て話す。
私:「ソウダッタカ。ケント・ギルバートかとオモッタヨ」
K氏:「ダ~・カ・ラ!ケント・デリカットダヨ」
私:「ワカリマシタ。ケント・マスカット、サン、デスネ」
K氏:「ブドージャナイヨ~!」
私:Thank you so much! It was so nice meeting you, Mr.Derricott!
K氏:英語うまいね~!
と30秒ほど会話を続けた。お互いにエレベーターの中で大笑いした。
ケント・デリカット氏の誰とでも打ち解けるオープンマインドと優しさを感じた時間だった。
まるで掛け合い漫才のような会話で、テンポよく日本語の会話ができた。
コミュニケーションがうまくいくと気持ちが良い!バーで生ビールを飲みながら考えた。
「英語でもこんな風に会話ができるといいなあ!」と思った瞬間、ひらめいた!
英語っぽい日本語って、ケント氏にとって聞き取りやすかったのかもしれない!
イントネーションが英語に似ている、話すスピードも早くない。
外国人にとって、NHKのニュースが一番聞き取りにくいと聞いたこともある。
なぜなら、最も正確な日本語のイントネーションなので、英語からは程遠いからである。
逆に私自身は、アメリカのニュースを聞き取るのは、非常に苦労した経験があった。
日本人にとっても外国人にとっても、外国語を習うことは、国語を勉強するようにはいきません。
アメリカ人の話す日本語に、実は英語上達のコツがあったのです。
<アメリカ人の日本語で見つけた英語上達のコツ>
アメリカ人の話す日本語に、実は英語上達のコツがあったのです。
単語に必ずアクセントをつける 私は→ぅわたしは、
て、とは、テイ、トウになる→とても→トゥティも
tの発音が強い 頭にtが付く単語は強く発音される
疑問形を強調し、必ず語尾をあげる ~ですか?
平叙文では、語尾が消えてしまう です。→で.........。
などの特徴があります。
このほかにも、アメリカ人の話す日本語には沢山の特徴があります。音を伸ばしたり、縮めたり、省略したりします。そういった特徴をよく聞いて、真似てみると日本語が英語っぽく聞こえました。
そのまま英語の文章を話せば、英語らしい英語に聞こえるという考え方です。
アメリカ人の話す日本語に残っている英語の癖(母語影響といいます)を真似するのです。
研究心旺盛で、英語のペラペラを目指すSwatchは、早速実行に移します。
当時、日本に滞在する外国人で、日本語を話す外国人に会うことはなかなかできませんでした。
そこでマスコミに注目します。その頃の日本は,変な日本語(母語影響のある日本語)を話す外国人タレントが人気を博していました。
大きな遠視の眼鏡がトレードマークのケント・デリカット氏
現在も積極的に評論活動を続けているケント・ギルバート氏
東北弁がネイティヴなダニエル・カール氏
環境保護のイギリス人,C.W ニコル氏などの日本語を参考にしました。
彼らの出ている番組をみて、真剣に日本語に耳を傾けるのです。
これって実は、ヒアリングの練習に最適!です。
日本語とは違う音を、つまり英語の音の影響を受けた日本語を聞き取るのです。
そうすることによって、英語の音が耳に馴染んできます。
それを真似してみる。英語を習うのではなく、「遊び感覚」です。
これがやってみると面白い。続けることによって、外国人や国別の個性も感じられる。
母国語の話し方の癖のようなものが分かってくる。
それこそが日本語と英語の違いです。母語影響された日本語から学ぶことはたくさんあります。
外国人の日本語から、耳を鍛え、さらに物まねすることで英語の発音を,自然に身に付けることができる。そんな経緯で、Swatch式「発音上達メソッド」が完成しました。
<教室で謎の外国人をやらせてみる>
六本木の英語会話武者修行に加え、外国人タレントの話す英語なまりの日本語で、英語の発音とリスニング力を高め、その物まね日本語を人前で披露することも多くなりました。
「わたすぃは、英goが、はなせい、ま~s」のように(アメリカ人の日本語を想像してください)と披露すると、周りからは大うけです。
そこで思いもよらぬことが起こりました。それまであった外国人コンプレックスがなくなったのです。さらに、日本人の前で英語を話す「恥ずかしさ」がなくなりました。
このメソッドを磨き、防衛省で正式な英会話クラブをで立ち上げ、週3回隊員の英会話教育に活かしていきました。これは楽しい思い出ばかりです。
後年、防衛省の英語学校主任教官となった時に、このメソッドを導入し授業をしました。
予想通り、当初,学生は教室であっけにとられていました。
私がお手本を示し、外国人の日本語を話していきます。大きな笑いが起きます。
次に、学生が30秒間、英語訛りの日本語を一人ずつ話していきます。
学生が感じるのは、まず、恥ずかしさです。しかし、これを20人の同期生の前で披露することにより、英語を人前で話す羞恥心を払しょくできるのです。私の体験から明らかです。
鬼教官は、学生をさらに追い込みます。
「恥を捨てろ!」
「もっと英語っぽく、Rを強調して! 」
「アメリカ人になりきれ!」と叱咤激励します。
教室は、プレゼン中の学生が話す変な日本語に、他の学生が強く反応します。笑い声と「お~!」という歓声が上がります。歓声の「お~」は、英語音のコピーが上手であることを示します。
この「お~!」が、学生の自信につながります!
同期生のプレゼンを聞き、テクニックを盗み、それを取り入れて自分のテクにする。
英語の学びのサイクルがうまく回っていきます。
同時に、英語の発音への理解が深まり、正確な音を発声できるようになるのです。
自信をもって英語を話すことができるようになり、精神的にも大きく成長します。
このメソッドで学生に英語の発音練習をさせていて,驚いたことがあります。
それは,Rの発音を完璧にコピーする学生がいたことです。
K学生は,Rの発音が非常にナチュラルで,「ん?!ネイティヴじゃない?」という感じ。
私の経験では1,000人に一人ぐらいの割で,日本語の「らりるれろ」の発音がそのまま英語のRの発音になっている日本人がいるのです。数十年たって,K氏はアメリカ留学を果たしています。
<最高の英語教師は自分自身>
こういった訓練は、数多くする必要はありません。一度でいいのです。やり方を覚えれば、自分ひとりでできるトレーニング方法になります。人知れず努力し、周りを驚かすこともできます。
英語のネイティヴが持っている「感覚がつかめれば」、それは何年分の留学経験に値します。
逆に、留学先で日本人という殻を破らなければ、ネイティヴの感覚は生まれません。
コツとなるのが、音の物まね。自分の耳で、発音をチェックしていけばダブルの効果(発音、ヒアリング)を上げることができます。
自分自身の中にある、英語に関する恥ずかしさやためらいといったネガティブな感情を捨て、積極的に挑戦する感覚が生まれれば、英会話の練習が楽しくなります。
英語を聞き、それをコピーしていく力が付けば、いつでも教師は自分自身です。
当初は,それを英語の母語影響のある外国人の日本語を教材にする。
英語の発音のコツがつかめれば,その後は,最高の英語教師は、自分自身なのです。
アメリカ人の話す日本語のコピー、一度試してみませんか。
執筆家・英語教育・生涯教育実践者
大学から防衛庁・自衛隊に入隊。10年間のサバイバル訓練から人間の生について考え、平和的な生き方を模索し離職を決断する。時を同じくして米国国費留学候補者に選考され、留学を決意。米国陸軍大学機関留学後、平和を構築するのは、戦いを挑むことではなく、平和を希求することから始まると考えなおす。多くの人との交流から、「学習することによって人は成長し、新たなことにチャレンジする機会を与えられること」を実感する。
「人生に失敗はなく、すべてのことには意味があり導かれていく」を信念として、執筆活動を継続している。防衛省関連紙の英会話連載は、1994年1月から掲載を開始し、タモリのトリビアの泉に取り上げられ話題となる。月刊誌には英会話及び米軍情報を掲載し、今年で35年になる。学びによる成長を信念として、生涯学習を実践し、在隊中に放送大学大学院入学し、「防衛省・自衛隊の援護支援態勢についてー米・英・独・仏・韓国陸軍との比較―」で修士号を取得、優秀論文として認められ、それが縁で定年退官後、大規模大学本部キャリアセンターに再就職する。
修士論文で提案した教育の多様化と個人の尊重との考えから、選抜された学生に対してのキャリア教育、アカデミック・アドバイジングを通じて、キャリアセンターに新機軸の支援態勢を作り上げ、国家公務員総合職・地方上級職、公立学校教員合格率を引き上げ高く評価される。特に学生の個性を尊重した親身のアドバイスには、学部からの要求が高く、就職セミナーの講師、英語指導力を活かした公務員志望者TOEIC セミナーなどの講師を務めるなど、大学職員の域にとどまらぬ行動力と企画力で学生支援と教員と職員の協働に新たな方向性をしめした。
生涯教育の実践者として、2020年3月まで東京大学大学院教育研究科大学経営・政策コース博士課程後期に通学し、最年長学生として就学した。博士論文「米軍大学における高等教育制度について」(仮題)を鋭意執筆中である。
ワインをこよなく愛し、コレクターでもある。無農薬・有機栽培・天日干し玄米を中心に、アワ、ヒエ、キビ、黒米、ハト麦、そばを配合した玄米食を中心にした健康管理により、痛風及び高脂質血症を克服し、さらに米軍式のフィットネストレーニング(米陸軍のフィットネストレーナの有資格者)で筋力と体形を維持している。趣味はクラッシック音楽及びバレエ鑑賞。
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