「僕がこんな感じだからって、ベトナムへ行って簡単に〇〇〇〇をしないで!」
ベトナム人研究者が言ったこの言葉に、私は冷や水を浴びせられたような気持ちになった。
さて、この言葉とは・・・?
久しぶりに再会して
3年ぶりにいよいよ外国人研究者が出張で、施設へ来るようになった。
久しぶりの再会に喜び、本当に久しぶりに居酒屋へ足を運んだ。
彼らとのたわいない会話、冗談を聞くのも本当に久しぶりで懐かしかったが、しばらく一緒にいると、3年間という年月が空いた事を忘れてしまう。
やはり昔と違うと感じるのは、それぞれが学生ではなく、ドクターになっていた事。
ドクターになる為に、イギリスの大学では、大学のすべての教授の部屋を個別に訪れ、1人づつ論文の研究成果を説明して、質問に答える、というとても大変な事を乗り越えてきたのだ。
なんとなく信じられないけど、時折、真剣に研究の内容を、教授達と会話する姿にずいぶん大人になったなぁと感じた。
そんな時間を過ごして、帰る時間になった。
外国人たちは口をそろえて、こう言った。
「駐車場まで送っていくよ」
女性が夜道を1人で歩くということ
私は「なぜ?」と思った。駐車場まで送ってもらう必要はない、なぜならとても安全だからである。
私は外国人達と一緒に帰ることになった、ぞろぞろと3人も送ると言ってついてきてくれた。
歩く道すがら、こんな話になった。
「日本は夜道が安全でうらやましいよ」
そうだった!すっかり忘れていたが、海外では夜道を女性1人で歩けるなんて奇跡に等しい。
スリ、強盗、ひったくり、お金だけならまだしも暴力を振るわれれば、私達女性に勝ち目はない。
「イギリスの夜道って、そんなに危険なの?」と私は聞いてみた。
「もしどうしても女性が1人で夜道を歩かなければいけない時は、絶対にお金は持っておくべきだね」と外国人研究者の1人が言った。
暴力を振るったり、襲われるぐらいならお金を払え、という事なのだ。
私達日本人はとても幸せな国に住んでいる、いつでも1人で歩ける自由って本当に安全で素晴らしいことなんだと実感した。
外国人を簡単に信じないで
あるベトナム人研究者が違う大学へ移籍するときに、いずれ行ってみたいと思い、いろいろとベトナムの国の事を聞いた。
宗教や食事や、アオザイという民族衣装やベトナムの川をボートで行き来して果物などを売るマーケットのなど・・・etc
「ベトナムの場所で危険なところはあるの?と私が聞いたら
ベトナム人研究者は笑って、すこし考えてからこう答えた
「私がこんな感じでフレンドリーに接するから、日本人の友人はベトナム人がみんな良い人だと思うみたいなんだけど、もし本当にベトナムに行ったら、あなたたち特に日本人は安全じゃないよ。
そして、ベトナム人を簡単に信じたらいけないよ。もちろん良い人もいるから、それは自分で判断しないといけないよ。」
私はその言葉を聞いて、少し冷や水をかけられたように感じた。
そうだった、海外で日本人が安全という場所は少ない。
危機感の違い
インドへ行ったとき、最初に使ったタクシーの運転手さんにたくさん話しかけた。
海外でコミュニケーションを取れる面白さに興奮して、かなり調子に乗っていたと思う。
そしたら降りるときになって運転手さんが、
「ここは少し遠かった、思ったよりお金がかかった」と言って、最初交渉したタクシー料金、500ルピーの4倍の2000ルピーを請求された。よくわからずに、そんなものかと思い支払った。
それを聞いたインドの友人の家族がとても落胆してこう言った。
「完全に騙されたわね、それはとても高額な金額なのよ!空港近くからここまでは、200ルピーもあれば充分なのよ」と。
インドの、人の好さそうな小太りの運転手のおじさんは、結局10倍の金額を私から取っていた。
あんなに良い人そうだったのに、あんなに楽しくインドの神様の話を教えてくれたのに!と、私のショックは大きかったが、それは普通の事だった。
インド人にとって、海外からの訪問者はとても貴重に扱うべきものらしく、友人の家族は、私よりも激怒して、
「タクシー会社を調べて抗議する!そんな人間は首にさせないといけない!」とまで言い出して、とても驚いて止めたぐらいだった。
ただ、そうゆう危機感にもどんどん慣れていって、そのインド旅行もいよいよあと数日で帰国するという日に、タクシーの運転手が頼んだ場所まで行ってくれなかった時、いい加減に扱われたと感じた私は、タクシー会社へ文句を言っていた。
このように海外の危機感は、日本の国の事情とはとても異なる。
私たちは本当に安全で清潔で、倫理観を重んじる国に住んでいる。海外から見た日本人は、特に優しい民族だと思われているようだ。
日本に出張に来る研究者は、「日本へ来ると、ホッとするよ」ともらしていた。
私達が普通に大切にしている人への優しさは、外国人にはとてもありがたい物のようだ。
もし、困っている様子の外国人を見たら声をかけたり、質問されたり話しかけられたら、よくわからなくても聞いてみる、などのコミュニケーションを取ると、外国人と仲良くなるきっかけを簡単に作ることができる。
京都が大好きで光華女子学園へ進学、卒業後、大阪の企業で経理課勤務。仕事が肌に合わず、夢だったイラストレーターを目指して大阪芸術専門学校へ。賃貸住宅ニュース雑誌社へ派遣社員として就職。その後地元へ帰り、地元のフリーペーパーやパチンコ店などのポスター制作するグラフィックデザイナー、ベジタリアン・ヴィーガンのお料理の先生、バンドのドラマー(ジャズ・ロック・軽めのフュージョンなどジャンルを問わず、地元ではセミプロとして活躍する。プロドラマー海野俊介氏に師事)、お琴奏者(趣味で名取まで取得)、演劇が好きで劇団にも少しだけ所属・・・など様々な経験を経て、英検3級しかありませんが、縁あって現在は、某施設で外国人担当のお仕事をしています。