みなさん,ゴールデンウィークはどのように過ごされましたか。
連休前は,
「やったー!最長で9連休,長い休みだ!」
なーんて喜んでいても,休みはあっという間に過ぎていきますよね。
私はほとんどいつも通りの生活でした。
せいぜい近くの店でランチをしようと思っても,お休みされているお店も多かったんですよね。
そこで思わず突っ込みたくなるようなものを見つけたんです。
それは何だと思いますか?
―「休業」= “CLOSE”?―
連休中,チェーン店などは通常通り営業していても,
個人店などは閉まっていることも多いんですよね。
たいていのお店には,
「3日(水)〜7日(日)はお休みいたします。」
のように書かれているのですが,
その次によく見るのが,
“CLOSE”
というサインが掲げられているもの。
飲食店以外のお店で見かけたことありませんか?
さて,ここでちょっとクイズです。
『お店によっては,英語で次のように書かれたサインを入り口付近に掲げていることもあります。次のNo.1 と No.2は,それぞれどのような意味でしょうか。それぞれA,Bから適するものを選んでください。』
No.1
“We’re open.”
A. 営業中です。(開いています。)
B. 今から開けます。(これから営業します。)
No.2
“We’re close.”
A. 定休日です。(閉まっています。)
B. 私たちは近い(関係)です。
よ〜く考えてみてくださいね。
― “close”って「閉まる」?―
さて,答えの準備はよろしいでしょうか。
No.1は,Aの,「営業中です。(開いています。)」です。
おそらくほとんどの方は正解だったのではないでしょうか。
では,No.2 の解答です。
No.2は…
・
・
Bの「親しい関係です。」が正解!
「え?」と思われた方もいらっしゃいませんか?
No.2でA. 「定休日です。(閉まっています。)」と答えた方は,きっと
“Open the window”(窓を『開け』なさい。)
“Close the window.”(窓を『閉め』なさい。)
のように,
“open=開ける“
“close=閉める”
という「動詞」の意味として考えられたのだと思います。
確かに動詞では, “close” =「閉める」で問題はありません。
ここでちょっとだけ文法的なお話をさせてくださいね。
ちょっとだけです。
退屈かもなのですが,でも英語学習にはと〜っても大切なのでお許しを。
“We’re open.”
“We’re close.”
で使われている “open” “close”は
「開ける,閉める」の動詞ではなく
「形容詞」なのです。
“We’re open. = We are open.”
“We’re close. = We are close.”
“are”は “be動詞”と呼ばれる「動詞」。
基本的には “We are(動詞) close(動詞).”のように
「動詞が2つ続くことはありません。」
“be動詞”の後につづくのは,「形容詞や名詞」などが基本なんですね。
なので, “We are open.”の “open”とは,「開いている状態」を表した形容詞で,
「開いています。(営業中です。)」
という意味なのです。
問題は “close”。
この “close”には「閉まっている状態」という意味はありません。
それを「閉まっている状態」とするためには,
“We are closed.”のように
後ろに “ed” を付けて“closed”にして
「過去分詞の形容詞的用法」と呼ばれる「形容詞のような役割」
にする必要があるのです。
あ,文法用語は覚えなくて大丈夫ですよ!
だから,
“We are closed.”にすることで,
「閉まっています。」という「状態」を表すことができるようになるのです。
でも,ややこしいのが “close”にも形容詞がある,ということ。
その意味は,
「近い」
という意味。
“We’re close friends.”
(私たちは近い[仲の良い]友だちです。)
“My grandmother lives close to my apartment.”
(祖母は私のアパートの近くに住んでいます。)
のように使います。
その発音は,[klous](クロウス)。
最後の “s”は,「ス」です。
閉める(動詞)の “close”は,[klouz](クロウズ)のように「ズ」となりますので,
発音面でも違いますね。
― “close”には注意―
“open”は,形容詞も動詞も同じ形。
open(動詞)… 「開ける,開く」
open(形容詞)…「開いている(状態)」
“close”は,同じ形だと意味が違う
close(動詞)… 「閉める,閉じる」
close(形容詞)…「近い」
なので,お店で使うような「閉まっている(状態)にするには,
“We are closed.”(閉まっています。(定休日です。))
のように,“closed”にする必要があるんですね。
でも, “We are closed.”のように文章で書かれていれば「定休日です。」とわかるのですが,
冒頭でお話したように,
“CLOSE”
とだけ書かれていることもよくあります。
これは例えば,
“STOP”(止まれ。)
のように動詞の命令形になるので,
「閉まれ」
「閉じなさい。」
のような意味となってしまうんです。
なので,1語で伝えたい場合は,
“CLOSED”のように書きましょう。
ぜひ,皆さんも “CLOSE” と書かれたサインを掲げているお店を見つけたら,
「何を閉めるんだ?」
と心の中でそっと突っ込んでくださいね。(笑)
日本の間違った英語から学習するのも,学習方法の一つ…かもしれませんよ。
結構,覚えやすい気がするし。
それでは,また来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。