『ソーシャル・ディスタンス』。
そう聞くと、いつもどうしても頭の中にコレが流れてくるのです。
昭和にヒットした曲、そう3人組のあのグループです。
わかる方はいらっしゃるでしょうか(笑)
と、冗談はさておいて、
“Social distance”。 訳すと「社会的距離」。
社会的距離…。
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社会的距離というと、なんとなく「社会の中にあるいろいろな隔たり」のようなイメージが頭に浮かんでしまう私。
そんなことを考えていたら、海外のニュースなどでは
“Social distancing”と言っているではないですか!
この違いは何だろう…。う~ん、知りたい!
そうなると追求しないわけにはいきません!
私は、英語を中心とした教材の制作を日々行っているのですが、
ある日、英語の音声を収録するために新宿にあるスタジオへ向かいました。
ビルのエレベーターで、馴染みの声優さん(アメリカ人)とバッタリ。
もう長い付き合いの声優さんで、NHKをはじめTVやラジオ、書籍など様々なメディアで活躍されている方。
こと英語という言語に関しては私が最も尊敬する人であり、私の師匠でもある方。
だから聞いてみました。
“Hey, I have a question for you.”(ちょっと質問があるんだけど。)
“What? Oh, do you want to marry me?(何?あ、私と結婚したいの?)
というアメリカンなのかどうなのか、訳のわからない会話から始まったのですが、
ちょっと真剣に、
“What’s the difference between “social distance” and “social distancing”?”(ソーシャル・ディスタンスとソーシャル・ディスタンシングの違いって何?)
と聞いてみたんです。
“Oh, that’s a good question. (それはいい質問だね。)”と言いながら、
「ソーシャル・ディスタンシングは、今回の新型コロナウィルスがきっかけで一般的にもよく使うようになったけど、ソーシャル・ディスタンスは前からあった言葉だよ。」とのこと。
ふむふむ。なるほど。
「“Social distancing”は、感染予防のために「人との距離をとる」という意味に特化して使われるもの。」だという。
対する“Social distance”という言葉は、社会的階級や人種、性別、セクシャリティ、宗教など、心理的な距離を表す言葉として昔から使われている言葉で、時には差別的な意味になってしまうこともあるそう。
「じゃあ、時代の流れを考えても “Social distance”よりも、 “Social distancing”を使わないとだよね!?」
「う~ん、でもやっぱりわかりにくいよね。日本人は簡単だからという感じで “Social distance”の方を使ってるんじゃないかな。」
「ああ、だからWHOは紛らわしいSocial distancingよりも、物理的な距離をとるという意味の「 “Physical distancing(フィジカル・ディスタンシング)”を使うようになったのか…。」
そんな話をしてからスタジオに入り、いつもの英語の音声の収録を始めました。
“Social distancing”と “Physical distancing”。
いずれも、「感染予防のために人との距離を設ける」という意味。
だけど、 “Social distance”は、「心理的な距離」の意味合いとなってしまい、時には差別的に思われてしまうこともある。
言葉って不思議です。
ちょっとした違いだけで違う意味になったりするんですから。
さて、この疑問の発端となった新型コロナウィルス…。
本当にやっかいなウィルスです。
感染ももちろん怖いのですが、これまで当たり前だった様々な生活パターンを変えてしまったのですから…。
そして、それがストレスになってイライラしたり、気分が落ち込んだりと、心の不調を感じる人も多いと思います。
だけど私は、そんな時だからこそ「人との心のつながり」を大事にしたいと思うのです。
日本では、Social distanceという言葉が定着してきています。
もちろんそれは “Social distancing”という「人との物理的な距離をとりましょう。」という意味での使い方です。
なかなか思うように移動できなかったり、人と会えなかったりする今、
『ソーシャル・ディスタンス』とは言っても、距離を置くのは物理的な部分だけにして、
人としての「心の距離」だけは近くに感じていたい。
私はそう思うのです。
もしかすると「相手を思いやる心」、その大切さを改めて考える時期に来ているのかもしれません。
適切な「ソーシャル・ディスタンシング」を保ちつつ、「心の距離はいつも側に」を意識して、このウィルスを乗り越えましょう!
人類が一日も早く新型コロナウィルスを克服し、さらなる明るい未来が来ることを願って。
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。