2000年問題って覚えてますか?
パソコンの表示画面の問題で、1999年から2000年になったら不具合が起こるって話です。今の若い人たちは信じられないかもしれないですが、それで世の中大騒ぎ。ニュースでも取り上げられていたのを覚えています。
で、そんなミレニアム問題が何も影響なく過ぎた1月のこと。
私はカリブ海に浮かぶ島プエルトリコにいました。
プエルトリコって言われて、どのへんか、すぐ思い浮かべられます?
地図で言うとこの辺り。
アメリカのずっと南で、メキシコ、キューバのお隣くらいにあります。そこはまさにカリブ海。青い海に青い空、そして白い砂浜と言われて思い出す場所ですよね。
プエルトリコは、コロンブスによる大航海時代に発見され、長い間スペインの領地だったそうです。なので今でもスペイン語が話されているそう。
カリブ海と言えば、映画で「カリブの海賊」? ジョニー・デップを思い出される方も多いかもしれません。もうちょっと若い方はディズニーランドの、「カリブの海賊」」かな? どちらにしても彼らは海賊船を悠々と操り、島に上陸しては金目のものを全て奪っていったらしい。この辺の島々は、コロンブスの時代には海賊によって相当大変な目にあったそうなんです。その後あの有名な、米西戦争でスペインが負けたことによって、1898年にアメリカへ壌土され、独立を目指していろいろな内紛等ありながらも、そのままアメリカ合衆国にはいったのだそうです。
そんなカリブ海のプエルトリコに、年明け早々の厳冬だったニューヨークから1ヶ月も行けるなんて!と、周りの人にはとても羨ましがられました。私も行ったことがなかったので、少し得意げだったと思います。普段の演奏ツアーだと、のんびりできず、特に飛行機が便利なアメリカ国内などではゆっくりすることもあまりなく、仕事を終えたら翌朝すぐニューヨーク戻り、なんて言うのが普通なので、今回の1ヵ月カリブ海に滞在、はずいぶんとエキサイティングなお仕事でした。
#荷物が出てこない南米
出発は1月2日。ハッピーニューイヤー!って言ってる側から、カリブ海に浮かぶ島プエルトリコ、サンワン行きの飛行機に搭乗し、約4時間の空の旅。飛行機に乗っていても、外の気温が少しずつ上がっていくのがわかる感じがします。南国のカリブ海へ! そこからすぐ飛行機を乗り換えて、約20分でビアケス島というニューリゾートアイランドへ向かう予定でした。
ですがそこで、ちょっとした事件が。
今では南米、島々、ラテン諸国へ行くときには、荷物がちゃんと(自分と一緒に)目的地に着かないかも、と言うのはそう珍しくもない話。ですが当時の私にはまだそういった知識もなく、自分のスーツケースがいくら待っても出てこないと言うのは、とってもショックでした。あれから20年たちますが、、今でもこの南米系の国に行くときは、スーツケースが出てきたらラッキーと思います(笑)
ショックなのは別にいいとしても、プエルトリコのサンワンで、極力急がないと、次の飛行機(最終便)に間に合いません、、、
まあ案の定間に合わず、空港で数時間待たされました。私のスーツケースは何と積み忘れだそうで、私の次の便で来たのです。私の到着から遅れること数時間、やっと夕方に私のマイスーツケースとご対面…。
南米に行く際は、スーツケースが遅れて到着する可能性も考えて、飛行機の乗り継ぎ時間を考えた方がいいかもしれないですね、と言うか、このツアーの後で、南米に行くときには機内持ち込み手荷物に2、 3日分の必需品は全てパッキングして、予備のものだけ、預けるスーツケースに入れるのが常道だと、先輩に教わりました。そうしておけば、後で荷物が空港へ届いてから、それを宿泊先へ郵送してもらえば良い。なるほど、待たなくて済むわけです。なるほど、聞けば当たり前の話(笑)、でも行く前に聞きたかった。それとおまけに当時は、ラテン諸国の国々へ飛ぶ飛行機は、普通に時間通りに飛ばないのだとか。南国時間っていうのがあるらしいんですよ。暖かい地方は、私たちの1時間がもっとゆっくり時間をかけて進むらしい(笑)。嘘でしょう、そんなことあるわけない、と思われるでしょうけれど、本当です。ラティーノタイムとか、ジャマイカンタイムとか、ニューヨークにも実際、存在しています(大笑)
#心細いプエルトリコで、感動のレタス
何とかスーツケースを取り戻し、ローカルの最終フライトを逃した私は、プエルトリコからタクシーに乗り、空港から約70キロメートル離れた、サンワンへのフェリー乗り場ファハルドへ。タクシーに乗るのもいろんなタクシーがあって、当時はあまり安全とは言われてなかったし、公共交通機関もなかったので、おまけにどんどん日が暮れてくるし、私はスペイン語を話せないし、少しドキドキしながらフェリー乗り場へ向かったのを覚えています。
スーツケースが数時間遅れてきたおかげで、次の朝一番のフェリーに乗らざるを得なくなった私は、絶対に乗らなくちゃ!と思いつつ、フェリー乗り場からすぐの場所にある、それでもちょっとこざっぱりした感じのホテルへ宿泊。
スーツケースは遅れるわ、ドキドキしながらのタクシーだったし、その当時の私はギブスに松葉杖。片足が使えず、そんな状況だったのもあり、とにかく自分の部屋へ入れてほっとして、まともな食事を取る場所もなく、すぐ就寝。
朝起きて船着場のそばでパンらしきものを買って船に乗り込んだのですが、朝の綺麗な海は、もう本当に感動の一言。朝日が出てきて、朝日に海が反射するのですが、そのキラキラといったら、みなさんにも一度は体験して欲しいと思う! 海外の海ってなかなか行くことないかもしれないですが、一度は海外で船旅っていかがでしょう。夕方には、海岸線に沈んでいくブラッドオレンジ色の、燃えるような夕日…きゃー、ロマンティック。
で、その船なんですが、日本の遊覧船みたいにお客さんだけを載せる船ではなくて、お客さんも載せるのですが、平たい船で、車とか野菜とか、島に届ける荷物なんかもまるごと載せてる船。
そこに箱詰めされた野菜が、太陽の光を反射して、野菜なのにキラキラ輝いてたんです。特にレタスのみずみずしさがすごい。話を聞いてみると、すぐ近くで取れた野菜を、そのままフェリーに積み込んでるそうで、毎週水曜日に届けるから、水曜日はレタスが最も新鮮なんだと。
船と太陽とレタス。ちょっと不思議な組み合わせですが、なんだかとっても絵になってたのを覚えてます。しばらくのんびりと船旅を楽しんだ私は、45分ほどでこじんまりした島へ。想像するリゾートアイランドとは少し雰囲気が違いましたが、落ち着くリゾートアイランドです。
そんなリゾートアイランド、ビアケスツアー滞在の様子はまた次回・・・
乞うご期待♫
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。