Hi, Jiroです。
少し前の記事で、grow-green-greenの繋がり。
単語のDNAのお話をさせて頂きました。
単語のDNAを辿ると、意外な意味を持っている理由や、ちょっと単語を覚えるのが楽しくなるということでしたが、今日はそんな単語のDNA第二弾ということで、vegetable(野菜)という単語を一緒に見ていこうと思います^^
元気の元の野菜から植物人間が?!
Vegetable(野菜)という単語の元々の意味は。「活気とか元気を与えてくれるもの」なのですが、ちょっと違和感を感じませんか?
野菜をいくら見ても、人参・大根などをいくら見ても、元気になる感じあまりしませんよね。どちらかと言えばむしろ肉とか糖質か何かの方がエネルギー源という感じがしませんか?
で、辞書を見ているときに『become a vegetable (植物人間になる)』なんて表現もある。元々は「活気とか元気を与えてくれるもの」なのに、正反対の意味を持ってるんです。
本来の意味合いとは全く逆の意味になるって不思議な感じがしますが、日本語でも時々ありますよね。
例えば「今日はめでたいお祭りだ」というと良い意味合いですが、「君はおめでたい」なんて言われると、全然喜べないですよね^^;
話をVegetable(野菜)に戻して、なんで正反対の意味が出てきたのか。そして、なぜVegetable(野菜)には、「活気とか元気を与えてくれるもの」という意味があるのか。語源的な所から広がりを一緒に見ていきましょう。
つながりが見えにくい理由
まず、vegetable、そしてvigor「活気、元気旺盛」という意味の二つの単語を取り上げましょう。
なんとなく【veg-とvig-】の発音も似てないですか?
そんな話をすると必ず言われるのが、「でも綴りが、e と i で違いますよね?」ということ。でも重要なのは、「細かい綴り」ではありません。
単語のDNAで紹介する単語の語源。これは何千年も前からの話で、「綴り」どころか「文字」なんて、まだ世界のどこにも多分なかった最大9000年前位からの話。現在残っているエジプトのヒエログリフ、メソポタミアの楔形文字、中国の甲骨文字。 これらはせいぜい5000年前位の話だそうです。
つまり、まだ文字すらなかった時代の話なので、「綴り」ではなく綴りの表す「発音、音」を想像することが重要なんです。
もちろん学校のテストや試験では「単語の音は近いじゃないか!」なんて言っても、綴りが1文字でも間違っていると、1点減点です。でも今は、綴りへのこだわりを一旦置いておいて欲しいのです。
ということで、vegetable(野菜)、そしてvigor(活気、元気旺盛)の2つの単語ですが、この2語は言わば主なDNAが一緒。
大昔、
vegetable
に発音が似ている言葉に、「活力、またその力を与えるもの」に近い意味があり、それが段々と違う意味を持つvegetable(野菜)、そしてvigor(活気、元気旺盛)になっていったということなんです。
今日の話の冒頭で、Vegetable(野菜)の意味が、「活気とか元気を与えてくれるもの」に違和感を感じませんか?って話をしましたが、大昔の人は野菜を取ることが、元気になる秘訣ってことを考えていたのでしょう。
そこから野菜を表すために、vegetable(野菜)という単語が出来上がった。さらにそこから、現代の【vegetarian ―菜食主義者】という言葉も出来上がったと。
そう考えるとちょっと面白くありませんか?
活力と犠牲?
さらに同じような語源を持つ単語があります。それは、victim(犠牲)!
「victimって犠牲じゃん。なんで活力がでてくるの?」って思いますよね。
victimは確かに「犠牲」。ただ犠牲には犠牲にする値打ちがある何かがないといけませんよね。価値のないものを燃やしたり殺したりしても、それは犠牲ではなく「廃棄」とか「処分」やはり「生き生きとした活気ある生命力に満ちたもの」が犠牲になりやすいのでしょう。
野球の犠牲バントなんかも4番がやった時話題になるじゃないですか。スポーツ新聞の見出しに「4番もバント!チームプレーに徹した勝利!」と出たり。
さて今日は【vegetable ― vigor ― victim】の持つ単語のDNAが繋がりました。もちろん他にも、同じような活力を表す言葉から派生した言葉はたくさんあります。それは【wake, wait, waist, watch, witch
】言葉の意味などを見ると、全くわかりませんが、実はこれも同じような単語のDNAを持つんです。
ですが、その話はまた次回。
どうしようもなく惹かれる私
単語のDNA、今日紹介したように考えると、ちょっと単語を覚えるのが楽しくなりませんか?
辞書や単語帳を見て、これとこれが繋がってるなーなんて考えると、私はとても楽しくなります(笑)
一見何も関係がなさそうで、実は繋がっている。そう考えると、きっとこれまでよりも単語を覚えたり、単語の持つ意味や感覚を捉えるのが楽しくなる。そう思ってもらえれば良いなと思います。
それではまたお会いしましょう! See you again!
Jiro
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員