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通訳は,ABCで暗号解読!

World Lifeな生活
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最近は,危機管理という言葉が一般的になってきました。英語では,Crisis Management(クライシス・マネジメント)と言います。組織や人が危機的な事態に直面した時にどんな対応をするのかを管理することです。

異常事態に対応するトラブルシューティングは,パソコンでフリーズしてしまった時などの対処などです。それをマニュアル化して対応するのがトラブルシューティングです。

今回は,国際会議で政府の通訳がどのように働いているかをお話したいと思います。多国籍(マルティラテラル:multilateral)会議では,危機管理のもとで,トラブルシューティングをしなければなりません。

まずは,国際会議前夜に,宴会をします!なんと日本的な!

アイスブレイクで打ち解ける

いえいえ。居酒屋で宴会をすることではありません。アイスブレイク(ice break)とは、氷を砕く,氷を解かすことです。初対面の人同士の集まりで,緊張をときほぐすための方法です。

メンバーを和ませ、コミュニケーションをとりやすい雰囲気を作るための場と時間を提供して,会議の目的の達成に積極的に関わってもらおうという意図があります。

多国籍会議の場合,共通言語として英語を使用することになります。参加国は,英語圏;アメリカ,イギリス,カナダ,オーストラリアとアジア地域;インド,中国,韓国,カンボジア,タイ,インドネシア,ベトナム,シンガポールなどになります。

通訳も会議の前に,危機管理やトラブルシューティングの対策を練っておかなければなりません。通訳にとって,異常事態とは,「参加者の話している英語が聞き取れないこと」です。

一例として,英語圏の国でも,独特の言語文化を持つオーストラリアは,オーストラリア・アクセント(オージー・アクセント)があり,慣れないとなかなか聞き取れない発音や訛があります。

今日は死ぬには良い日だ!

オーストラリアのアクセントを説明するのに引用されるのが,

”It’s good day today!”です。

オーストラリア人の発音が,

” It’s good day to die!”「今日は死ぬには良い日だ」

と聞こえるからです。

これはオーストラリア英語を表す有名なジョークです。today をトゥダイと発音するところから,同音意義のto dieに置き換えたのです。

これはジョークとしてうまくできていますし,todayだけが協調されていますので,だれにでもわかりやすいジョークです。計算されたジョークです。

大きな会議の通訳は,一人ではありません。メインの会議を担当する通訳,接遇といって,会議場で参加者のお世話をするなどいろいろな業務を担当する通訳がいます。

会議の参加者が気持良く会議に集中できるように様々な場所でサポートしていきます。これらの業務をマニュアル化し,トラブルが起きた場合に,すぐに対処するのがトラブルシューティングです。

通訳にとって,トラブルになるのが参加者の英語の訛り,話し方の癖などです。それをいかに事前につかんでおくのが,対処のポイントになります。

その一つの手段が,最初に紹介したアイスブレーク(Ice Break)と呼ばれる懇親会です。通常,会議の始まる前夜におこなわれます。

ABCからひも解くアクセントの暗号

アイスブレイクの会場は,お互いを知りあい,打ち解けるための集いです。軽食と飲み物が用意されています。指定宿泊ホテルの会場で行われますので,気軽に参加できます。

ホスト国(主催国)の代表が軽いスピーチをして,開催の喜びと参加へのお礼を述べます。その後,参加者の交流の時間,自由時間となります。

和んだ雰囲気の中で,真剣に情報収集するのが通訳たちです。通訳は,行ってみれば裏方ですから,目立つことはありません。しかし,この場では,「目立つ」ことが必要です。

参加者全員に,通訳の存在をアピールし,認識してもらうには,この場しかありません。ですから,主賓挨拶の前に,「通訳団が組織されており,このメンバーが通訳です」と紹介をしていただきます。

さて,少しアルコールが入ったところで,メインの会議通訳数名が,オーストラリアの参加者のところへ行きます。挨拶をし,会議について,プロフェッショナルな話題を振ります。

実は,これが予行演習なのです。自国軍の現在実行している新しい施策なども聞きます。重要な基礎知識がここでインプットされます。こちらが関心を示せば,相手も関心を示すという考え方です。


いよいよ言葉の問題に触れます。単刀直入に,「オーストリア・アクセントは,英語にあまり慣れていない日本人には聞き取りが非常に難しい」と切り出します。

明日からの会議には私たち通訳も最善を尽くしたいと思っています。そこで,協力をしていただきたいのですが,アルファベットを発音していただけると助かりますと頼みます。

オーストリアの軍人は,a,b,c,d,e,f,g,h,iと快くアルファベットを発音してくれます。通訳はそれを書きとっていきます。アイ,ベイ,シー,ダイ,ウー,エ,ジ,アイチ,そしてiは,「オイ」???

通訳は,メモを取りながら,うなります。「これがオーストリア英語か!」暗号の解読に似ています。

メモを取り終わったところで,質問します。Fridayはどう発音するのですか。「フロイダイ」。Nightは,「ノイト」。

それで,It’s Friday night!は,「イッツ・フロイダイ・ノイト」と解読ができます。

国際会議の裏で,任務達成のために通訳は,このようにチームワークで仕事をしています。

言語へのリスペクト

アクセントは,訛りと訳しますが,この地域で話されている公式の言語ですから,良いも悪いもありません。美しい響きの言語です。言語には,リスペクトが必要です。

最近,米海兵隊員の通訳と話をしました。彼は,日本人とアメリカ人のハーフです。彼にとって母国語は英語と日本語です。両言語とも流暢に話します。

英語は,私が聞く限り,アメリカ人の発音です。日本語の訛りは一切ありません。が,彼が言うには,アメリカ人には,少し違うといわれるらしいです。それは州の訛がないからです。(笑)

日本人が話すJapanese Englishを恥ずかしいと思うのは,かなり自虐性が強い行為ですね。これも言ってみれば,日本人の外国語習得を邪魔するリミッターですね。

英語が母国語ではないひとが,上手に話せても,それは外国人が話す英語です。それぞれの母国語に影響されています。それぞれの母国語が影響して,○○イングリッシュが国の数だけ存在します。

それは,グローバル化の最先端の努力の結果です。そして,それは尊敬に値するものです。

美しいジャパニーズ・イングリッシュ

日本人の英語は,Japanese Englishです。それは,美しい日本語訛をもった英語と表現できます。ジャパニーズイングリシュは,美しく,他国の訛に比較すれば,分かりやすいのです。

さらに,日本人の英語は聞き取りやすい。そう思っていただいても良いと思います。少しばかりの練習は必要ですが。

私たちの脳は,読み替え機能があります。トゥデイ=トゥダイと認識すれば,しっかりと反応してくれます。そのためには,パソコンのように,脳にしっかりとインプットする手順が必要です。

整理することによって,脳に認識させるのです。記憶は,情報を加工(プロセッシング)したときに,定着します。

この方法は,英語学習に応用できます。英語のフレーズや単語を,頭の中で整理することによって単語数を増加できます。つまり語彙力をつけていくことができます。

美しいジャパニーズイングリッシュで,世界に飛翔できますね。

 

Swatch

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