「イギリスって食べ物まずいんですか?」
イギリスに留学をしていたと言うと、よく聞かれる質問。
実際のところは、どうなんでしょう?
イギリス人の普段の食事ってどんな物を食べていると思いますか?
私がイギリスの家庭料理を食べたのは、ブライトンという町でホームステイをしていた3か月ほど。
その家庭は、私が思うに中流家庭でも上の方じゃないかと思う30代の夫婦と小さな子供が3人いる家庭でした。
イギリスの食事の衝撃は、その家に到着したその日から始まります。
<毎日、毎日…>
私は(最初の夕食だし、歓迎パーティーみたいに豪華な料理が並ぶのかな?)と心の隅で期待を寄せていました。
なぜなら、高校の時、アメリカに留学していた友人から、ホームステイ先では家族のように歓迎してくれて、めちゃくちゃいっぱい料理も出てきて食べきれない程だったと聞いていたからです。
その頃の私にしたら、アメリカもイギリスも「外国はみんな同じ」という感覚。なので、友人から聞いたような食べきれないほどの豪華な食事が出てくると思っていたのです。
ところが、テーブルを見て驚いた。
(え…。これだけ??)
テーブルの上にはそれぞれのプレートが1皿づつ。
白いお皿の上には、じゃがいもが1/4、その横に豆が1/4、そして5㎜位に薄っぺらくスライスされたローストチキンが4枚ほど。上にグレービーソースがかかっている。
海外は量が多くて日本人には食べきれないと聞いていたが、これでは小柄の私でも足りないと思うほど量も少ない。
そしてテーブルの空いたスペースには、ビニール袋に入ったままの薄い食パンがドンと置かれている。
パーティーや豪華な食事はどこへやら。例え普通の食事だとしても質素過ぎやしないか?
日本ならご飯とメインのおかず。その他にも何品かは他のおかずもついてくる。しかも初日なら尚更、もてなしの気持ちからちょっと多めに作るのが普通じゃないだろうか。
豪華な食事に歓迎パーティーのような華やかさを期待していた私は、ギャップが凄すぎて思わず
(なに?ひょっとして私、歓迎されてないの??)と思ったほど。
しかし家族はいたって普通な感じ。普通に席に着き、席に着いた者から食事をとり始める。
みんなで揃って「乾杯!」も”Welcome!”もなければ、映画で見るような食事の前のお祈りのような物がある訳でもない。
日本のような「いただきます」ももちろんないので、無言のまま食べ始める。
(これは、私が聞いていた海外の様子とは違うなぁ…。私が来たから特別っていうのじゃないんだね…。)
いつもの日常の食卓に私がお邪魔をしている感覚。だからと言って、邪魔者扱いされている訳ではない。
アメリカ人のように前面にWelcomeを出した表現ではないけれど、淡々と、でも穏やかに笑顔で話してくれる。
それが、イギリス流の接し方なのだと気づく。
が、その驚きは初日だけでは終わらなかった。
なんと、その初日のメニューは、ほぼほぼ同じようなメニューが毎日繰り返される事になる。
ジャガイモは、日によってマッシュポテトになったり、茹でた小さいジャガイモだったり、大きなジャガイモ丸ごとだったり。しかし、形は違えど、毎日ジャガイモ。
そして、その横の豆もインゲン豆だったり、ミックスベジタブルだったり、ベイクドビーンズだったり。こちらも種類は違えど、豆は豆。
生野菜やサラダはなく、毎日ジャガイモと豆が必ずでてくる。
メインのお肉もたいてい、薄くスライスされたローストチキンかターキー、またはポーク。ソースはいつもグレービーソース。こちらも肉の種類は変わってもほとんど味に変化はない。
それが、3か月間ほぼ毎日続いた。
意地悪をされているのかと思うほどだったが、同じメニューを家族みんなも食べているし、誰も文句を言う感じもない。これが普通なんだという事。
この家庭は、さっきも言った通り決して貧しい家でもない。庭付きの3階建ての家に住んでいるし、むしろわりと裕福な家庭のように見えた。
それなのに…この質素な食事に、代り映えのしないメニュー。
イギリス人は食に興味がないのかもしれない。
たま~に出てきた、ご飯(タイライス)の上に牛肉とピーマンの中華炒めのようなものがのった物が唯一のバリエーション。これが私にとってはごちそうだった。
<お、美味しい?!>
そんな毎日質素で代り映えしない夕食の中で私が唯一楽しみにしていた事がある。
それは、デザート。
食後には必ず、甘いものと紅茶(ミルクティー)が出てくるのだ。これは紅茶好きでアフタヌーンティーもあるイギリスらしい。
メインの食事はほぼ代り映えしないのに対し、デザートは驚くほどバリエーション豊か。
甘~いケーキにクッキー、アイスクリームにクレープなどなど。
同じデザートが続いて出る事はなかった。夕食では全然お腹がいっぱいにはならない私は、毎日デザートでお腹を満たしていた感じだ。
イギリスで食事に期待をしてはいけない。
ただ、イギリスで過ごすうちに気づいたことがある。
それは…
「舌は慣れる」という事!(笑)
最初はまずい、まずいと思っていた物も舌が慣れてくるのか、鈍感になるのか、だんだんイギリスの料理もおいしいと感じてくるのだ。
その後、ロンドンで一人暮らしを始めてからは、あんなに「イヤだ。食べたくない。」と思っていたジャガイモ料理のベイクドポテトや、「気持ち悪い」と思っていたトマト味のベイクドビーンズが食べたくなってきたのだ!
そして、それを食べると「美味しい」とさえ感じるようになった。
これには自分でも驚いた。「あんなにまずい。イヤだ。もう食べたくない。」と思っていたはずなのに…。
確かに、イギリス料理は期待はできない。
それでも大丈夫。
慣れます!(笑)
そして、「まずい!」というのもまた記憶に残るイギリスの思い出。
料理の記憶が残るのは、めちゃくちゃ美味しい時か、めちゃくちゃまずい時かどちらか。中途半端な味よりも記憶に残る味なのだ。
だから、まずさを楽しむくらいでいた方がいいと思う。
<人は慣れる>
私の舌が、イギリスの味に慣れていったように、人間には「適応能力」というものがある。
味や舌に限った事ではなく、生活環境などでもそうだ。海外に行くとそれに気づかされる事が多い。
東南アジアなどに行って水しかでないシャワーだったり、場所によってはそれさえもないような所がある。でも、数日滞在するうちに工夫して身体を拭いたり、髪を洗ったりして順応できるようになる。
人はどこでも生きていけるし、物がなければないで工夫していくのだと感じる。
日本ほど便利な所はないと思う。
道を歩けば、コンビニも自販機も至る所にある。お店のサービスもピカイチ。
それに慣れてしまっていると、どこに行くにも不便を感じてしまうかもしれない。でも、少し我慢をしていればそれにも慣れていくのです。
海外に行く時には、「食べ物が合うかな?」「衛生面大丈夫かな?」など色々心配になるかもしれません。
それを心配して行かないよりは、行ってそこに慣れるか、話のネタにして面白がればいいのです。
どちらにしても「行って損なし」です!
中学生時代から英語を話せるようになる事に憧れ、外国語短大へ進学。その後イギリスへ留学するも英語が話せず落ちこぼれの生徒に。英会話のトレーニング(カランメソッド)を受け英会話が上達。帰国後、夢だったツアーコンダクターになる。渡航国約35カ国 年間200日以上を海外で過ごす。その後オーストラリアにワーキングホリデーで渡り、オーストラリアにあるハミルトン島のリゾート会社に就職。その後日本に帰国し、京都のホテルやゲストハウスなどでの経験を経て、地元宮崎にUターン。現在は地元宮崎で、英会話教室及び、単位制、通信制の高校で英会話を教えている。
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