今春気になるニュースが続けて2つありました。今日はぜひそれをあなたに。
「ペッパーミル」事件が一つ目。甲子園大会で高校生選手がした、ペッパーミル動作を審判が注意、というもの。『ペッパ…』とは同時進行のWBCで話題。「やった、地味に!」的な動作です。
私が気になったのは、球児達が何も言わず素直に従ったことです。説明を求める、反論するとかはなし。一切何も言わず、注意があっただけで、従ったらしいことなんですね。
二つ目は、自転車のヘルメットの着用義務拡大の報道。これも実施されれば皆大抵素直に従う気がどうしてもすること。
両方とも圧倒的多数の人が、説明も求めず反論もせず、大人しく素直に従う…何だか不思議。
思い出すのが、現代フランス思想家フーコーが描いた、現代の(政治・社会)権力の姿。以下は、あなたに伝えたい部分のエッセンスです。
…権力は近代以降(17世紀末)から基本直接強制から間接強制になった。物理的に無理やりから、自分から従う「訓練(discipline)」に重点が移ったのだ。
いきなり体を縛ったり閉じ込めず、まず「従う」という意識を育てようとした。
その象徴がぐるりといつも監視できる監獄。18世紀に欧米各地に登場したパノプティコンという牢屋は、見張り台から360度見通せる構造。(パンは全て。オプティコンは「目の…」)「見られている」意識を育て、ソフトに従わせようとした権力のシンボルである…
<怖いほど当った予言?>
これって先に上げた二つの状況とぴったり重なるような気がします。
審判や警察の注意がある。そして高校生や市民が進んで守る。
このニュースだけではありません。私もあなたもルールは守らねばと思っています。当前のことかも。でもその「当前」が、フーコーが言う通り支配構造の一部だとしたらどうでしょう。
自分の意志と思ってたら、いつの間にか外から植え付けられてた…気味が悪くないですか?植え付けられたのが一部の人に都合の良い素直さであったら…受け入れられますか?
フーコーは自由への欲求や権利意識が強いと言われるフランス人。でも「よそ事」として日本人はのんびり構えてはいられない気がするのです。日本人でも、素直で権力に都合の良い人間になれれば満足な人だけではないでしょう。
ただ誤解してほしくないのは、「権力に逆らう」と言っても、言うは易し。そう簡単な話ではなさそうなことです。
というのも、「素直に従え」という命令は、自分の中から聞こえてくるから。権力への反抗と言っても言わば半分自分への反抗になってしまうから複雑。
多分フーコー研究者の言葉ですが、まるで「二朗」が「今村」に反抗するようなものw。自分がバラバラになりそうですよね。
<自己分裂しない術>
とりあえず重要なのは、従おうという意識と、従わせようという権力間の複雑な構造を知ることかも。その構造に、今自分自身も巻き込まれていると知ること。
フランシス・ベーコンが言っています。
Knowledge is power.
「知識は力なり」
結局新しい世界の広がりは、単なる情報でなく、気づき(awareness)や洞察(insight)からかも。そんな気付きや洞察は、Googleでも、ChatGptでも見つけられないでしょう。
外国語の視点や落ち着いた読書が不可欠。私もフーコーを英訳以外に原語のフランス語で読むのにコツコツ挑戦中です。
あなたも英語を学び続け、洋書から新しい視界を呼び出せる力を獲得されますよう。
See you soon!
Jiro
<英語版>
知ってる内容を英語ルートで理解する。洋画で字幕を読んで英語を聞くように。
↓ ↓ ↓
英語版はこちらから☆
追記:各大学でコロナ禍以降、ミシェル・フーコーを扱う講座が盛況だそうです。
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員