今日はクリスマスイヴ。
「イヴ」なので、クリスマスは明日なのですが
日本ではなぜか「イヴ」がメインのクリスマスのような感じですよね。
新型コロナウィルスの影響で、街中は例年ほどクリスマスの雰囲気になっていないと感じる方も多いのではないでしょうか。
その分、自宅でクリスマスツリーを飾って盛り上がったり、イルミネーションを庭や窓に飾ったり。
それもなんだかウキウキしますよね。
でも、そんなクリスマスは明日で終わり。
「さあ、明後日にはツリーを片付けなきゃ!」
そう考えている人もいると思います。
でも、「ちょっと待った!」なのです。
各国のイベントを楽しむことが上手な日本人。
そんな日本の街では、ハロウィンが終わるとすぐにクリスマスの飾りつけ。
そしてクリスマスが終わるとすぐにお正月の仕様に街は様変わりします。
それは家庭でも同じ。
でも、アメリカでは少し違うのです。
まずハロウィンが終わってから、すぐにクリスマスにはなりません。
クリスマスの雰囲気になるのは大体12月に入ってから。
だって11月末には感謝祭であるThanksgivingがありますからね。
さらに12月25日が過ぎても、クリスマスの雰囲気は変わりません。
新しい年が明けても、クリスマスツリーは出したままなのです。
そうなんです、アメリカではクリスマスが過ぎても1月初旬まではツリーも片付けないし、街の雰囲気もクリスマスのままの場合がほとんどなんです。
「ちょっとそれちょっと嘘なんじゃないの?」
と思われてしまった方!嘘じゃないのですよ。
みなさんは「12 Days of Christmas(クリスマスの12日間)」というクリスマスソングをご存じでしょうか。
ヨーロッパで16世紀頃から歌われているクリスマスキャロルです。
“On the first day of Christmas クリスマス第1日目
my true love gave to me 私の愛する人がくれた
a partridge in a pear tree” 梨の木にいるキジを
これが12日目までずっと続く歌なのです。
※意味自体は諸説あり、宗教的な意味ともとらえることができるのだそう。
さて、この “12 Days of Christmas”。
多くの人は12月25日のクリスマス当日をゴールとして、
12月14日スタートととした歌だと思っているようなのですが、
実はこれは違うらしいのです。
本当は「12月25日スタート」が正解だそう。
「どういうこと?」
「だってクリスマスまでをカウントダウンする、アドベントカレンダー “Advent Calendar”とかあるじゃない?」
と思った方、違うんですよ。
アドベントカレンダーは大体12月1日から始まって、24個の窓があったりするじゃないですか。だから24日のクリスマスイヴまでをカウントダウンするもの。
でも、“Twelve Days of Christmas”は、「12日間」です。
ほら、違うでしょ?
実はこれ、「公現祭」と呼ばれるイエス・キリストの顕現を祝う
世界で最古の祝日の一つが関係しているというのです。
「公現祭」とは、
イエス・キリストが「神の子」として世に現われたことを
「公に記念するため」のもので、
クリスマスである12月25日から12日目にあたる1月6日に行われる祝祭なのだそう。
“ああ、だからアメリカでは、1月6日までクリスマスムード満載だったんだ…。”
私の長年の謎が解けました。
クリスマスはキリスト教徒にとっては、とっても意味深いものなんですね。
“Christ=キリスト” “mas=ミサ”
つまりクリスマスは「キリストのミサ」であり、イエス・キリストの降誕を祝う日なのです。
だからキリスト教徒ではない人も、クリスマスは楽しいだけのイベントではなく、
そういった意味にも意識を向け、敬意をもって祝いたいものですね。
そういえば、日本での昨年のクリスマスの日。
仕事帰りに近所の大型スーパーで買い物をしていた私。
そろそろ閉店時間となった頃、
スタッフの方々が一斉にクリスマスの飾りの撤去を始めました。
天井からぶら下がっているデコレーションも、
きれいにピカピカ光っているツリーもすべてあっという間に撤去。
そして「迎春」と書かれた大きなカードに付け替えていました。
「ああ、一気に雰囲気が日本のお正月になったなぁ。」
と感じたものです。
日本でのクリスマスは多くの人にとっては楽しいイベント。
それだけしか知らない人も多いと思います。
でも本当はキリスト教徒の人たちにとっては重要な日であり、
1月6日までの大切なお祝いが始まる日なのですね。
でも、私たち日本人も年末年始をとても大切にしています。
これも本当に素敵なことです。
年末にはその年の汚れを落とす大掃除。
大晦日には年越しそばと除夜の鐘。
お正月には様々なおめでたい意味を持つ食材が詰まったおせち料理。
そしてお年玉。
そんな風習を大切にしている日本なので、クリスマスが終わるとすぐにお正月ムードになるのは仕方のないことかもしれません。
大切なのは、「なぜそのイベントがあるのか」を知り、「敬うこと」だと私は思うのです。
さあ、今日はクリスマスイヴで、明日はクリスマス。
新型コロナウィルスの関係で、思うように「普通のこと」ができなくなるなど、
これまでとは全く異なる状況となってしまった今年のクリスマス。
クリスマスの本来の意味を知り、家族や大切な人に思いを馳せ、
一緒にいることのできる幸せを噛みしめてみるのもいいかもしれません。
こんな時だからこそ、「当たり前だと思っている小さな幸せ」を感じましょう。
そう、チキンとクリスマスケーキを一緒に食べながら…ね(^_-)-☆
参考資料:
Britannica / Epiphany Christian holiday
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。