『遠い地平線が消えて
深々とした夜の闇に心を休めるとき
遥か雲海の上を 音もなく流れ去る気流は
弛みない 宇宙の営みを告げています』
おはようございます。
木曜日のCozyです。
冒頭の語りを聞いてピンときた方,
もしかするとあなたは,私と話が合うかもしれません。
そう,あのラジオ番組
「ジェットストリーム」のオープニングのセリフです。
そして,ジェットストリームといえば,あのテーマ曲,
“Mr. Lonely”♬
ですよね。
敢えて訳すと
「ミスター・ひとりぼっち」
でもひとりぼっちって, “alone”もあるけれど
“lonely” と “alone”ってどう違うの,って思いません?
今回は “Mr. Lonely” の歌とともにそのニュアンスを習得しちゃいましょう!
― “lonely”と“alone”の違いは◯◯!?―
夜中に車を運転するときは必ずと言っていいほど,ジェットストリームを聞いていました。
聴き始めたのは,初代の城達也さんがお辞めになられる頃だったので,
1993年か94年ころだったでしょうか。
その頃に聴き始め,一番よく聞いていたのは四代目の伊武雅刀さん(2003年頃)でした。
今は,福山雅治さんですよね。
いずれのパーソナリティの方の声は落ち着きがあり,“Mr. Lonely”の曲にぴったりとマッチしていて,あのなんとも言えない独特な雰囲気,っもう,たまりません!
あの本当に夜の国際線に乗っているかのような世界,この番組にしか出せない不思議な感じです。
それを “Mr. Lonely”が率いている感じがするんですよね。
Mr. Lonely=ジェットストリーム
ジェットストリーム=Mr. Lonely
と言っても過言ではないほど,このジェットストリームの雰囲気にぴったりと合ったこの曲。
“lonely”って
「ひとりの」
「孤独な」
という意味ですが,同じく
“alone”も同じ意味で使われていますよね。
この2つに違いはあるのでしょうか。
今回はその違いについて,探っていきたいと思います。
― 洋楽でニュアンスを掴もう!―
結論から言うと, “lonely”と “alone”の違いは,どちらかというと
「精神的」か「物理的」か,
ということ。
どちらかというと,
“lonely”は,精神的な孤独
“alone”は,物理的な孤独
という感じなんです。
このニュアンスを掴むために,まずは“Mr. Lonely”という曲はどういう曲かを見てみましょう。
♬Lonely, I’m Mr. Lonely
(さみしい,ぼくはMr.ひとりぼっち)
I have nobody for my own
(ぼくには誰もいない)
I’m so lonely, I’m Mr. Lonely
(ぼくはとても孤独だ,ぼくはMr.ひとりぼっちさ)
Wish I had someone to call on the phone
(電話で話すことのできる相手がいればいいのに)
Now I’m a soldier, a lonely soldier
(今,ぼくは兵士だ 孤独な兵士さ)
Away from home through no wish of my own
(自分から望んでもいないのに家から遠く放されてしまった)
That’s why I’m lonely, I’m Mr. Lonely
(だからぼくは孤独なんだ)
I wish that I could go back home
(家に帰れたらいいのに)
という,
「戦地に一人取り残された兵士が、家族や恋人から遠く離れた孤独と寂しさを歌ったバラード」
なんです。
遠く離れた戦地で,家族も恋人もいない精神的な孤独感を感じますよね。
そしてもう一曲。
2020年にリリースされた Justin Bieberの
“Lonely” という曲。
Justinと言えば,15歳でデビューしてからというもの,瞬く間にスターダムにのし上がった超人気歌手。
思春期真っ只中で大スターとなった彼。
彼をよく知らない人からすると,
「やんちゃで破天荒」と思われがちな彼。
だけど,本当の彼は,心の中では常に孤独で寂しさを感じていた,という
Justinの心の内を歌ったかのような歌, “Lonely”。
そう思いながら聞くと,とても胸が切なくなるのです。
Everybody knows my name now
(今や誰もが ぼくの名前を知ってる)
But somethin’ ’bout it still feels strange
(でもそれが なんだかまだ しっくりこないんだ)
Like lookin’ in a mirror, tryna steady yourself
(まるで鏡の中の自分を 見つめながら落ち着こうとしてるみたいで)
And seein’ somebody else
(そこに映るのは 別人のような誰か)
And everything is not the same now
(昔とは 何もかもが変わってしまった)
という歌詞から始まり,
[Chorus](サビ)では,
What if you had it all
(もしすべてを手にしていたとして)
But nobody to call?
(でも電話をかける相手すら 誰もいなかったら?)
Maybe then you’d know me
(きっとそのとき 君にもわかるはず ぼくのことが)
‘Cause I’ve had everything
(ぼくは全部 持っていたんだ)
But no one’s listening
(でも 誰も 耳を傾けてくれなかった)
And that’s just fuckin’ lonely
(それって ほんとうに クソみたいに孤独なんだ)
I’m so lo-o-o-onely
(ぼくは ひどく ひどく 孤独だった)
Lo-o-o-onely
(たったひとりだった)
若くして大スターになったが故の,彼の苦しみと孤独感。
“Lo-o-o-onely”という部分の歌い方に,そのすべてが詰まっている気がするこの曲。
こういう精神的な孤独が,
“lonely”
なんですね。
― “alone”のニュアンスは?―
「精神的な孤独」が “lonely”であれば,
「物理的な孤独」が “alone”。
こちらも歌からそのニュアンスを感じていきましょう。
なつかし〜い80年代の曲。
“Tiffany”の代表曲
“I Think We’re Alone Now”
“alone”は「孤独な,一人きり」という意味が基本ですが
この曲では,”We’re alone now.” のように主語が “We”になっているのがミソ!
だからこそ, “alone” が “lonely” よりも物理的に意味することがわかると思います。
サビの部分で,
I think we’re alone now
(今は二人きりみたいね)
There doesn’t seem to be anyone around
(あたりに誰の気配もしない)
I think we’re alone now
(今は二人きりみたいね)
The beating of our hearts is the only sound
(聞こえるのは鼓動だけ)
とあります。
“alone”は「孤独」を意味しますが,主語が “we”なので
「二人きり」
という意味になるんですね。
周りには誰もいない,二人だけ。
う〜ん,ロマンチックが止っまらっないっ!♬
そして最後にもう一曲。
2016年にヒットした EDM (Electronic Dance Music)アーティストのAlan Walkerの代表曲のひとつ,
“Alone”。
🎵
Lost in your mind
(あなたの心の中で迷子になって)
I wanna know
(知りたいの)
Am I losing my mind?
(私、正気を失ってしまったのかな?)
Never let me go
(私を離さないで)
If this night is not forever
(この夜が永遠じゃなくても)
At least we are together
(少なくとも今は一緒にいられる)
I know I’m not alone
(私は一人じゃないってわかってる)
I know I’m not alone
(私は一人じゃないってわかってる)
Anywhere, whenever
(どこにいても いつだって)
Apart, but still together
(離れていても 心はつながってる)
I know I’m not alone
(私は一人じゃないってわかってる)
I know I’m not alone
(私は一人じゃないってわかってる)
I know I’m not alone
(私は一人じゃないってわかってる)
“alone”がダイレクトに使われてますねぇ!
このように基本的に“alone” は「物理的に一人でいること」を指す単語。
しかし,現代のポップソングではこの使い方が広がっており、精神的な孤独(= lonely)を表現するためにも “alone” が使われる例が増えています。
たとえば、Halseyの “Alone” では、人に囲まれながらも心が満たされない状態、つまり「精神的に孤立していること」を “alone” で表現しています。
You know that everywhere I go
(どこへ行っても 君はわかってるよね)
I got a million different people tryna kick it
(何百万人もの人が一緒に楽しもうとしてくる)
But I’m still alone in my mind
(でも私は心の中でまだ孤独なんだ)
このように、”alone” は文脈によっては “lonely” と同じような感情を含むこともあるのです。
だけど,基本は
このように,歌や映画から英語を覚えるのってとっても効果的。
普段はあまり洋楽を聞かない,という人も
聞いたことがある,という歌から歌詞の理解にチャレンジしてみてはどうでしょう?
そして口ずさめるようになれば,また自分の英語の世界がひろがってきますよ!
さて,長くなりましたので今日はこの辺で。
♬豊かに流れ行く風に 心を開けば
煌めく星座の物語が聞こえてくる
夜の静寂の なんと饒舌なことでしょう
光と影の堺に消えていった 遥かな地平線も
瞼に浮かんでまいります
あなたにお贈りする英語と音楽の定期便
「World Life」
夜間飛行のお供をいたしましたパイロットは
私,Cozyでございました。
それではまた来週,お会いしましょう♬
See you next week〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。