「人魚姫」の主演を演じていたある女優の方が「最近人魚姫がやりにくい。もう人魚姫を演じるのは無理なのかもしれない…。」とラジオで発言。偶然これを聞いていた私は、エッと驚きました。
「人魚姫」と言えばディズニーでも人気の作品。とても有名なお話です。これがもう演じられないとはどういうことなのでしょうか…?
その女優の方は先の話に続けて、「私が眠ている王子にナイフを振り上げ、殺すかどうか躊躇う山場。
客席から子供が『殺せ!』と…舞台が滅茶苦茶に…」と理由を語られていました。
人魚姫の劇をご存じない方の為に、かいつまんでご紹介すると、人間になりたい人魚姫が、王子に恋をし、色々あって最後に「人間になりたいなら王子を殺せ」と魔女がくれたナイフ。ナイフで王子を殺せば人間になれると、人魚姫が眠る王子に振り上げるが…というのが最後のシーン。
王子を殺さず、自ら泡となり消える人魚姫。「やっぱり殺せないよね…」と観客が涙し、感動の内に終わるのが元の筋書き。ところが、この時は「さっさと殺せば」と一部が真逆の反応。張り詰めた雰囲気が一瞬で壊れ、この女優の方呆然としたようなんです。
十八番の舞台が台無し、子供の『殺せ!』の一声で…ショックが大きかったのでしょうね。
<英語にもう一つの「海」が>
さて「人魚姫」の劇で絡み合っている「海」と「死」のイメージ。この二つ、英語でも意外な繋がりがあるようです。
海というと、普通あなたの頭に浮かぶのは、seaかもしれません。でも英語に、別の「海」の語源があるのご存じでしょうか。それは単語DNA のMER(マー/海)。
今日はmermaid(人魚)、submarine(潜水艦)、それとmurder(殺人)、mortal(死すべき)の4つ。DNAを使って見てみましょう^^
<mermaidとsubmarineは由来が一緒>
まずmermaid(マーメイド/人魚) 。人魚姫のタイトルはLittle Mermaidです。このmer-にDNAのMER(マー/海)が。maidは元々未婚の男女を指す広い言葉。ここでは勿論女性。全体で海の娘。全然分かり易いですよね。
mer (海)+maid(娘) → 海の娘 → 人魚
次はsubmarine(サブマリーン/潜水艦)。同じDNAがあるのはmarです。「あれっ綴りが?」とあなたは思うかもしれませんが、DNAは大昔の語源。綴りが少し変わることも。
あと多少細かくなりますがsubは「~の下」。marineは「海の~」の意味。「海の下の~」が「海の下の船」として使われ、「潜水艦」を指すようになったようです。
sub (~の下)+marine(海の)☞submarine「海の下の~」→「海の下の船」→「潜水艦」
<海と死は一つなのか?>
さてこのDNAのMER(マー/海)が「死」の意味も持っていたとする説があります。つまりDNAのMER(マー/海)は、実はMER(マー/海と死)らしいと。MERに二つの意味を持たせる根拠は古代の風習。大昔死者を海に流す習慣があったらしいんですね。そこから海→死の連想が生まれたと。
「死」と聞くと、あなたはdieとかdeathを思うかも。でも今お話ししたいのは、例えばmurder(マーダー/殺人)やmortal(モータル/死すべき)。このmur-やmor-の部分に、DNAのMER(海と死)があるのかもしれません。murやmorが元々MERの綴りだったのなら、分かり易いですね。
↗ murder(マーダー/殺人)
MER(マー/海→死)
↘ mortal(モータル/死すべき)
海に死の影が差すようです。この海と死の結びつき、一人の高校生に話したら目が輝きました。あなたも言えそうな方に話したら、スゴいって言われる…..かな?
<我が子はどうして殺人鬼にならなかった?>
冒頭のお話に戻ると、『殺せ!』と叫んだ子供が私とても気になって。あなたはもう親でしょうか。親になると、人の子のことも何だかスルーしにくくなるみたい。何でこんな声上げたのでしょうね。
テレビ等の影響がよく言われます。殴り合い殺し合う場面。我が子がジーッと見つめてたら、末恐ろしくて怖くなりそう。
私も自分の子育て期にとても心配。そこでTVの暴力的シーンを実際に数えてみたんです。我が子は小1、当時人気のドラゴンボールというアニメで。
(一回の番組に殴る蹴る殺人などが平均40回位かな…週1で一年50週なら40×50=2000。小学校6年間で6倍が12000。他の番組も見ると2,3倍。ゲームやネットも…合計3万から4万!これじゃ影響ないはずない。どうしよう….) でも、いつの間にか時が経過しました。
今では我が子、無事に大人になりました。殺人や暴力事件も起こさずに…私、特別何かした記憶はありません。他の親も大概同じだろうに、周りのどの子も無事育ったと言っていいのかも。TVであんなに血生臭いもの見たのに….少し不思議です。
山ほど見た暴力的な映像…なぜ無事に育ったのか…あなたもちょっと考えてみてください。
親世代に暴力反対という気持ちが、実はちゃんとあった。これが一番の理由に思えます。そしてその気持ちがいつの間にか子供に伝わり、暴力はよくないと思う大人になったのでは。
ほんの小さなことを覚えてるってありませんか。これが心の発達に意外に大事なのでは。例えば家族でテレビを見てる時。暴力シーンが映り、親の顔が歪む。そんな些細な情景が、実は子供の心に宿り暴力否定の気持ちの種になる…子育てが終わった今、そう思えます。
あなたも子供への愛と暴力否定の気持ちがなければ、ここまで読んでくれなかったはず。その気持が何と言っても一番。
テレビやメディアの影響、心配しすぎる必要ない。あなたの価値観が伝わり、あなたの子供を導く羅針盤になるから…私のこの結論単純すぎ、楽天的過ぎるでしょうか?
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員