グローバル化が進み、日本でもビジネスで英語を話さなくてはいけない、という考えがあります。有名なタレントの「出川英語」で、外国人とコミュニケーションをとる番組に人気があります。
自分の知ってる英単語を並べる、知らないところは日本語で話す。カタカナ英語を交えた日本語の会話で、外国人に通じてしまう。「すごいですね」関心するという感じです。
ちょっと恥ずかしいかもしれませんが、方法論としては真似すれば、英語のコミュ力は上がります。
ただ、ビジネスで、それをすると少し困ることが起きます。Swatchの部下が日米の会議前に、米軍人に「I forget your name」って、発言しました。その瞬間、会場が静まり返ったのです。
〈 “I forget”は、かなり失礼な表現です 〉
「I forget」は、ニュアンス的には、「完全に忘れてしまった」を意味するからです。
英語が得意でないメンバーは、「お名前を忘れてしまいました」と言いたかったのでしょう。実際は、かなり失礼な言い方です。Forgetを使ったフレーズで考えてみると、次のように説明できます。
“I forgot”と過去形にすると、「一度忘れてしまったが、今は思い出しました」という感じになります。忘れたことに気が付いたからです。
“I forget”は、現在、忘れた状態にあるということですから、「今も、思い出せない」ということです。だから、忘れ続けている。
先ほどの、状況を考えてみると、米軍人に対して、「あなたの名前を忘れてしまって、今も思い出せない」と言っている感じです。言われた相手にとって、あまり気持ちの良いことではありません。
わざわざ忘れてしまったことを、相手に言う必要はありません。そこのところで、日本人的発想の英語は、非常に危ないのです。相手に誤解を与えてしまいます。
海外旅行で、二度と会わない相手に対して、道を聞くとか、ちょっとした情報を教えてもらうなら、
「通じる程度の英語」で問題はありません。
また、学生や若者が話しているのなら、かなり自由に表現しても問題はないと思います。Swatchは、大人には大人の言い回しがある。つまり、「大人の英会話」があると考えています。
I forget以外に、「忘れたことを相手に伝える」ために、TPOにあった表現を紹介していきましょう
〈大人の英会話で対応してみましょう!〉
大人の英会話とは、それぞれのTPOを使い分け、状況判断しながら話す英会話のことを言います。
“I forget your name”を、婉曲に表現して、さらに相手の名前を教えてもらうには、あなたは、どのような表現が良いと考えますか。
相手の名前を、ファーストネームで呼び合う文化のある英語には、ぴったりの表現があります。
“Your name is on the tip of tongue”
(お名前が、のどまで出かかっているのですが)
と伝えれば、無難ですね。忘れてしまったのではなく、思い出せそうな状況ですと説明します。
相手は、すぐに反応して自己紹介してくれます。
日本語では、「喉まで出かかっている」ですが、英語では、“on the tip of tongue”(舌の先端まで}といいます。舌で様々な音を作り出して発音するといった、英語の特徴が表現されています。
相手の名前を直接丁寧に聞くのであれば、
“May I ask your name again”
(もう一度、お名前をお聞きしていいですか)
と表現することもできます。
初対面ではなく、二度目なので、“again”をつけておきます。
もう少し自然な感じで、婉曲に名前を聞きたい場合には、
“Hi!I met you before. Do you remember me?”
(依然、会いましたね。私のことを覚えていますか)
と、会ったことを根拠に、自分のことをおぼえているかと、先手を打ちます。
その直後に、間髪を入れず、自己紹介します。
“I’m Suwa, call me Swatch”
(諏訪です。スワッチと呼んでください)
自分が名乗れば、グローバルな常識として、相手は必ず名乗ってくれます。
“I’m Robert Smith, call me Bob”
(ロバート・スミスです。ボブと呼んでください)
この時点で、相手の名前を知るという目的は達しています。それで終わるのはもったいないですね。折角のチャンスですから、さらに親交を深めていきましょう。
“Bob, nice to see you again!”
(再会できてうれしいです)
まず相手の名前を、Bobであることをしっかりと憶えて親しく呼びかけます。さらに、再会したこと“see you again”をnice(うれしい)と表現するのです。相手の名前を憶えて、再会を喜ぶことができれば、最高の表現になります。
〈TPOによって「忘れた」表現を使い分けよう〉
物事を忘れたときは、いろいろな状況があります。それぞれのTPOに合わせた英語のフレーズを覚えておくと非常に便利です。
1, It slipped my mind!
(すっかり忘れていた)
自分の心から滑り落ちてしまったという感じ。忘れたことを、あっけらかんと表現できます。このフレーズの後に、どのような言い訳をつないでも大丈夫です。自分を正当化できるフレーズです。
2, I’ve lost my train of thought!
(何を言おうとしていたか、忘れてしまった)
自分が話している途中に、話の腰を折られたり、緊張して話す内容を忘れてしまったりしたときに、自分がどういう状況にあるかを説明し、やり直すきっかけになるフレーズです。
3, I have a senior moment!
(度忘れした)
直訳すると、高齢者の瞬間です。つまり、高齢者のように突然記憶が消えてしまうこと。老若男女、誰でも使うことが出できます。Swatchの年代になると、度忘れは、日常茶飯事になるので、本当にぼけたかと思われますので、頻繁に使うことは、避けています。(笑)
大人の英会話、少し体験していただけたと思います。ちょっとした工夫で、会話は弾みます。
TPOを考え、状況判断がしっかりできるのは、大人としての経験と知恵があるからです。それに英語のフレーズを載せていくと、外国人と非常に楽しい会話を楽しむことができます。
大人の英会話を、お楽しみください。
執筆家・英語教育・生涯教育実践者
大学から防衛庁・自衛隊に入隊。10年間のサバイバル訓練から人間の生について考え、平和的な生き方を模索し離職を決断する。時を同じくして米国国費留学候補者に選考され、留学を決意。米国陸軍大学機関留学後、平和を構築するのは、戦いを挑むことではなく、平和を希求することから始まると考えなおす。多くの人との交流から、「学習することによって人は成長し、新たなことにチャレンジする機会を与えられること」を実感する。
「人生に失敗はなく、すべてのことには意味があり導かれていく」を信念として、執筆活動を継続している。防衛省関連紙の英会話連載は、1994年1月から掲載を開始し、タモリのトリビアの泉に取り上げられ話題となる。月刊誌には英会話及び米軍情報を掲載し、今年で35年になる。学びによる成長を信念として、生涯学習を実践し、在隊中に放送大学大学院入学し、「防衛省・自衛隊の援護支援態勢についてー米・英・独・仏・韓国陸軍との比較―」で修士号を取得、優秀論文として認められ、それが縁で定年退官後、大規模大学本部キャリアセンターに再就職する。
修士論文で提案した教育の多様化と個人の尊重との考えから、選抜された学生に対してのキャリア教育、アカデミック・アドバイジングを通じて、キャリアセンターに新機軸の支援態勢を作り上げ、国家公務員総合職・地方上級職、公立学校教員合格率を引き上げ高く評価される。特に学生の個性を尊重した親身のアドバイスには、学部からの要求が高く、就職セミナーの講師、英語指導力を活かした公務員志望者TOEIC セミナーなどの講師を務めるなど、大学職員の域にとどまらぬ行動力と企画力で学生支援と教員と職員の協働に新たな方向性をしめした。
生涯教育の実践者として、2020年3月まで東京大学大学院教育研究科大学経営・政策コース博士課程後期に通学し、最年長学生として就学した。博士論文「米軍大学における高等教育制度について」(仮題)を鋭意執筆中である。
ワインをこよなく愛し、コレクターでもある。無農薬・有機栽培・天日干し玄米を中心に、アワ、ヒエ、キビ、黒米、ハト麦、そばを配合した玄米食を中心にした健康管理により、痛風及び高脂質血症を克服し、さらに米軍式のフィットネストレーニング(米陸軍のフィットネストレーナの有資格者)で筋力と体形を維持している。趣味はクラッシック音楽及びバレエ鑑賞。
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