生まれて初めて日本に行った!というアメリカ人の友人に、初めての日本の感想を、色々と聞いてみたシリーズ。
外国人が初めて日本へ来て、もちろん長年の文化が違うので、振る舞いも違うわけですが、なかなかそう急には、日本人にはなり切れません(笑)。
外国人が、日本旅行の後、よかったところ、おいしかったこと、感動したことなどを、どんどん、ブログやYouTubeに上げてくれるのは、もちろん嬉しいのですが、きっと、困ったこととか、面食らったこととかもあるはず。
今回は、そんな困ったことはないか、今後のために聞いてみたい!と言うリクエストをいただきましたので、アメリカ人に聞いてみました。
1、靴の脱ぎ履き
一番こまった、しんどいと思ったこと、それは、日本では、靴の脱ぎ履きをしなくてはいけない場所が多い。そして、おまけにその履き替え場所には椅子がない。
特に観光地で、お城に入る時、武家屋敷に入る時、お寺に入る時、はたまた普通のレストランに入る時、あちこちで靴を脱いだり履いたりさせられたのがしんどかったそうです。
西洋人は、朝、靴を履いたら、夜ベッドに入るまで靴を脱がないのが「礼儀」であり、「習慣」ですから、人前で靴を脱ぐと言うのは、なんというか、恥ずかしいとは言わないまでも、靴を履いているのが人前での礼儀、と言う文化なので、そうあちこちで靴を脱ぐと言う事は、全く想定していなかったそうです。
入口でビニール袋を渡されて、そこに靴を入れて持って歩いてください、とか、誰が履いたかわからないようなスリッパを、自分で箱から出して履いてください、と言われても、どのスリッパも小さくて(日本の標準サイズ)、アメリカ人の友人の靴のサイズが12インチ(約36センチ)ほどで、どのスリッパも入らず、あちこちをソックスのままで歩き回らなければならなかったそうです。なんと気の毒な。
日本のお年寄りも、いちいち靴を脱ぐんじゃ大変だから、私は中は入らなくていいよ、と断っていた紳士もおられたそうです。ちょっとだけの思いやり、椅子を1つ、入口に置いてくだされば、年配の方も少し楽に観光ができるかも知れません。
2、トイレの使い方が分からない
トイレのボタンが多すぎて使い方が分かりづらい!ということでした。これは、私自身も、日本に帰るたびに、公共施設やデパートなどのお手洗いに行くと、どうやって流すのかわからないことが多々ありましたので、気持ちがよくわかります。特に、新しい、きれいなトイレですね。
私自身、歳をとった母などを連れて行った時は、なんでこんな風にわかりづらく作るんだろうね、と母はしょっちゅう怒っていました。日本人が日本語で書いてあってもそうなのですから、外国の方はさぞお困りなのではないかしら。
これは、私がYouTubeで見た笑い話ですが、あるアメリカの若い女性が、日本へ旅行した時、どこかの駅のトイレで、使用後にどのボタンを押すべきなのか、日本語しか書いていないのでわからなくて途方に暮れてしまい、きっと、1番大きなボタンに違いない!!と思って、赤い丸がついたところを押してしまったそうです。
なかなか流れないので、何度も何度も押してしまい、そしたら警備員が血相を変えて飛んできたと。その赤いボタンは、緊急用の呼び出しボタンで「非常時以外は押さないでください」と日本語でしっかり書かれていた、と言うものでした、、、
ちょっと話題がそれますが、今回、インタビューをお願いした友人は、JRの駅の公衆トイレに行って、初めて和式のトイレを見た、と写真に撮っていました。写真で見てみると、なんだか可愛らしくさえ見えます。
この和式のトイレ、日本の公衆トイレにまだあるのは驚きですね。ネットでは、これだけ外国人観光客が増えている中で、この和式のトイレだけは、どうやって使って良いのかわからない、と言う外国の方からのコメントがずいぶん集まっているようでした。
3、畳に座る
アメリカ人は、ガタイがでかい。足も大きければ、背も高い。日本の家屋では、あちこちで頭や額をぶつけたそうです。
そして、普通のアメリカ人は、畳に座れません。私も、若い頃、アメリカ人のお世話になったご夫婦を、日本の文化を楽しんでいただこうと、張り切って日本の和風旅館にお連れしてしまい、お部屋にご案内したまでは良かったのですが、ここでどうやって過ごすのかと聞かれ、座布団に座ってくださいと言ったら、それは無理だと言われ、びっくりしたのを覚えています。まさか、畳の上の座布団に座れない人々が存在するなんて、思ってもいなかったのです。
畳の上に布団を敷き、そこで寝て、朝にはそれを畳んで押し入れにしまう、その普通の毎日の繰り返しが、日本人が足腰を鍛えるのにどれだけ役に立っているかと言うことを、アメリカに来て初めて、知りました。
私たちは、外国からのお客様に日本の文化を味わっていただこうと、ついつい和風旅館やお座敷のレストランなどにお招きしたりしてしまいますが、畳と言うのは、要注意です。たとえ、掘りごたつになっていても、です。
掘りごたつに足を入れるためには、いちど畳の上に座れなくてはなりません。つまり、まず、腰で、畳の上で自分の体重を支えることができなければいけないわけです。それが、子供の時から椅子にしか座ったことのない西洋人には、特に、年配の方には、めちゃくちゃ大変なことなんです。
パンデミックもやっと終焉を迎え、大勢の外国の方が日本を訪れると思います。ご案内するチャンスがあれば、ぜひ今回のようなこともお含みおきいただければ、より日本を楽しんでいただけるのはではないでしょうか。
それではまた来週♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。