Hi!
火曜のJiroです.
次の2文、正しいのはどちらでしょう。
①She was stolen her suitcase.
②Her suitcase was stolen.・
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正解は②。
ところが生徒たちに聞くと①を選ぶケースが多かったです。しかも日本語訳「彼女はスーツケースを盗まれた」を一緒に見せると、誤答率が一挙に高まりました。
大人のあなたはどうでしょうか。直感的に分かっても、念の為理由を確認して欲しいです。
■ steal が盗むのは「モノ」だけ
steal の目的語は、常に「盗まれるもの」を指します。
受け身にする時、主語になれるのはそのモノだけです。
….steal the car → The car is stolen.
だから
②Her suitcase was stolen. は正しいわけです。
一方、①She was stolen…
は「彼女自身が誰かに盗まれた」ことになります。そこに her suitcase を無理につけ加えても、文は成立しません。
✖She was stolen + her suitcase
英語の受動文「される」には、必ず対応する能動文「する」が存在します。これが大原則。
✅ The vase was broken.
(花瓶が壊された)
← Someone broke the vase.
(誰かが花瓶を壊した)
❌ ①She was stolen her suitcase. ← ???
無理に能動文にすると、
Someone stole her
(誰かが彼女を盗んだ)…???
…..her suitcase. の行き場がない
というように、①には対応する能動文がありません。
だからそもそも英語としてあり得ない文なんです。
■ rob「奪う」 を使って表現すると…
正しい文はどちらでしょう?
①I was robbed of my purse.
②My purse was robbed.
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正解は①。
前の問題の直後だと②と答える生徒が続出するのですが、rob は steal と仕組みが違います。
■ rob A of B A(人)からBを奪う
rob A of B = A(人)から B を奪う
Aは人なのです。
They robbed him of his money.
(彼らは彼からお金を奪った)
→ He was robbed of his money. ✅
(彼はお金を奪われた)
rob で受け身になるのは「人」であって、財布ではありません。
②His purse was robbed はあり得ない文です。
■ 行き詰まったときの2手
日本語で「〜された」と言えても、そのまま英語の受け身に置き換えられないケースが多々あります。たとえば次の文。
She was blown off her scarf. ❌
(彼女はスカーフを吹き飛ばされた)
こういうとき、対処法は2つあります。
① モノを主語にする
私は帽子を吹き飛ばされた
→ My cap was blown off.
私はバイクを盗まれた
→ My bicycle was stolen.
② have[get] + モノ + 過去分詞の形を使う
I had my cap blown off.
(私は帽子を吹き飛ばされた)
I got my bicycle stolen.
(私は自転車を盗まれた)
この②の形は「被害」だけでなく、「〜してもらう」「〜させる」の意味でも広く使える。
I had[got]my passport renewed.
(パスポートを更新してもらった)
I had[got] my computer fixed.
(PCを修理させた)
使い勝手のいい表現として覚えておく価値があります。
■まだモヤモヤが残っている?
「でも具体的にどんな時に受身ダメなの?」と思っているあなたへ。最後のクイズ。このうちどれが I was ….という受身で言えるでしょう?
①私は本を紛失された。
②私はスマホを壊された。
③私はペットに死なれた
④私は雨に降られた。
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答えは「なし」。
どれも間接的な被害や迷惑に過ぎません。
変な英文から、書き直してみましょう。
①✖ I was lost my book. ⇒ My book was lost.
②✖I was broken my phone. ⇒ My phone was broken.
③✖I was died my pet. ⇒ My pet died.
④✖I was rained. ⇒ (Unfortunately) it rained.
① ②は他に
I had[got] my book lost.
I had[got] my phone broken.
などもあり得そう。
あなたの英語の学びが継続しますように!
最後まで読んでいただきありがとう。
追伸1:
rob は人から奪うと言ったが、人でなく銀行などもアリ。
The bank was robbed of all cash.
銀行は全ての現金を奪われた。
追伸2:
日本語の「れる・られる」は、英語の受け身よりはるかに守備範囲が広い。
私は自分の記録が破られた(間接被害)
名づけられる(受身)
計画は不可能に思われる(自発)
女王が退席される(尊敬)
この肉まだ食べられる(可能)
英語の受動態がカバーするのは、このうちのごく一部。「なぜ英語で言えないのか」という疑問は、ある意味日本語が豊かだからこそ生まれる。いわば日本語のせいで、英語のせいではない。
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員







