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100 sit-ups! できますか?

World Lifeな生活
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前回は、英語の動詞にupを付けると、意味合いが違ってくることをお話しました。

英語の動詞には、語源があって、本来の意味が解っているネイティヴには、正しく意味がつたわります。そういった話は、JIROさんの言葉のDNAで良くわかります。
今回は、Swatchの専門分野である軍隊でupを使った表現を紹介しましょう。

それらの表現が,日常会話でも効果的に使えることを説明します。
あなたは,sit upの意味を知っていますか。
座る状態にアップ(上昇)で,「起き上がる,上半身を起こす」という意味で使います。
では,米海兵隊の鬼軍曹から“100 sit-ups!”と言われたら,あなたはどうしますか?

<Do 100 Sit- ups ! 腹筋100回!>

sitにupをつけると、「起き上がる」だから,100回起き上がればいいのでしょうか。
そうではありません。sit-upsと名詞の形になった場合は,特別の意味になります。

軍隊では,sits-upは,腹筋運動を意味します。日常生活に,腹筋運動という言葉は使いませんし、腹筋を100回するなんて想像もできません。sit-upsと言われても?なのです。

鬼軍曹は,「100回腹筋をしろ!」と命令しています。100回腹筋運動をするのは,現役の海兵隊員にとっても厳しいです。訓練に名を借りたしごきです。

軍隊でsitが使われる表現,もう一つあります。
“Sit up straight!”です。「腹筋をまっすぐにしろ!」ということではないです。

sit の座るという姿勢をup(完全に実行する)という意味が加わりますから,座る姿勢を完全にする,つまり「姿勢を正す」という意味になります。

軍隊で,Sit up straight!と命令されたならば,椅子に座ったまま,背中をビュンと伸ばし,前を直視して動かない姿勢を保持しなければならないのです。

これは、座位における「気を付け」といい,立ち上がる「気をつけ」の代用で,上司や教官などを講堂や教室に迎え入れるときに,敬意を表する動作になります。

日常生活で,sit upを使う場合,食事の場面などに応用できます。食卓で行儀が悪い子供などに対して,“sit up!”「ちゃんとお座りしなさい」と注意することができます。

レストランで行儀よく椅子に座って食事をいただく。これは日本でも米国でも,食事のマナーとしては同じです。

日本では,レストランで足をバタバタしたり,椅子から落ちそうな感じで動いていると,母親から「やめなさい」と注意が飛びますが,子供はやめませんね。

それは子供が何をやめるのかを理解していないから。大人でも同じことで,何が悪いことか,または不適当なのかが理解できないから「やめること」ができないのです。

正しくない行動をやめろというのではなく,それに代わった良い行動を示すことが必要です。たとえ悪いことをやめたとしても,正しいことをすることが分からないからです。

”Sit up!”は,正しい行動を促すには、非常に効果的な表現なのです。さらに,Pleaseを前につけると,更に良い表現になります。Pleaseの使い方については,稿を改めて説明します。

<Eat up! 完全喫食!>

食事の場面が出ましたので,それに関連した表現をさらに見てみましょう。
eatは,「食事をする」ということです。自衛隊では,「喫食する」と言います。

食べる(eat)にupをつけると,同じように強い命令口調になり,更に完全にという意味が加わります。「すべて食べなさい,残すな!」ということになります。

自衛隊では,それを完全喫食といいます。ご飯粒一つも残してはいけません。あなたも食事については「もったいない」という日本人の意識を持っていると思います。

軍隊では,食に関しては,基本的*に好き嫌いを言うことはできないし,それを残さないように指導されます。食べ物を残せば,それが残飯となり,処置が必要になります。

*米軍では,最近はビーガン(菜食主義者)の食事も準備されます。

不用意に残飯を埋めたりすれば,敵に発見され自分の行動が暴露してしまう危険があります。そこで食事の際には,すべてを食べきる「完全喫食」が大切になります。

軍隊では,食べ物を大事にすること,作戦上の残飯の問題などの理由から,

eat up!「完全喫食」することを行動の基準として身につけます。

米国の家庭では,提供された食事は神に感謝し,残さず食べきることが躾となっています。子供が食べ物を残すと,

母親は子供に

“Eat up!”「全部食べなさい!」と注意します。

日本語では「残してはいけません」と言われるところです。英語では,「全部食べなさい」と言います。そこにも英語と日本語の文化の違いがでてきます。

<Clean up! 徹底的に掃除しろ!>

Cleanは掃除をすることです。掃除の仕方も,十人十色。「掃除をした」と言っても,個人差があります。掃き残し,拭き残しなど,その人の基準や方法で掃除をします。

Cleanにupをつけると,徹底的に掃除をしろ!という意味になります。Clean up!になると,個人の差では評価しません。完璧をもとめられるのです。

軍隊では,掃除は生活の基本中の基本。

“Clean up ”と言われれば,信じられないくらいのレベルで完璧に掃除を実施します。そして上司の点検を受けます。

床はチリ一つ落ちていないのはあたり前で,ピカピカに磨き上げられ,窓ガラスも曇りがなく,窓のサッシにたまったごみも取り除かれ,新居のような感じになります。

Clean upには,住んでいる建物のすべて設備が含まれるので,トイレも対象となります。便器類は,手で磨き上げます。便器の裏の汚れは,ブラシで時間をかけて清掃します。

更に,ベッドの毛布や布団も角がそろえられ,きっちりと整頓され,ロッカールームの中も,すべて規定通りに制服や帽子が順番通りに整然と並べられていなければなりません。

それが軍隊におけるclean upです。一般の生活で,掃除や後片付けをする場合の表現は,“Clean the room ”「部屋を掃除する」または,”Clean the dishes”「食器を洗う」です。

Cleanupをつけると,床の掃除,換気扇の掃除,冷蔵庫の掃除,食器の洗浄など徹底して清掃をすることになります。いきなり大変なことになるので注意です。

日常的には,cleanで十分な表現として使うことが出来ます。引っ越しなどは,家にある物をすべてを持ち出し,清掃を徹底しなければなりません。

引っ越しの際は、clean upを使うと便利です。友人やご近所にお手伝いを頼むときには,命令調を避けて,

”Let’s clean up!”と,Let’s~「一緒に~しましょう」と頼めば大丈夫です。

手伝いに来た人は,完全に清掃をすることが分かります。cleanだけだと,清掃も手を抜いたものになります。ちょっとした表現の違いで清掃の程度まで表現できるのです。

upを英語の動詞につけることにより,行為の程度の「増加,完全性,命令口調」が強調されます。軍事英語は、相手に確実に自分の考えを伝えるために磨かれた表現方法なのです。

今回紹介した軍事用語と日常生活に取り入れる例を参考にして,動詞+upを使ってみてください。自分の英語がズバッと通じることが,実感できると思います。

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