【World Life】とは?
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英語を話せるより大切なこと

World Lifeな生活
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それは寒くも暑くもない季節の何気ない午後に起きた。
「マサ!マサ!大変だよ!」と、イギリス人留学生が事務所へ血相を変えて入ってきたのだ。

「どうしたの?」と私

「交通事故なんだ!!!!」と、イギリス人留学生

そのイギリス人留学生とは15分ほど前、いつものように廊下で「Hi!!」と挨拶をしてから施設から出て行ったのを私は見ていた。

とても気候が良い午後で、私は早めに家に帰るんだなぁと思いながら後ろ姿を少しだけ見送った15分後、今出ていったはずのイギリス人留学生が血相を変えて戻ってきたと思ったら、

「マサ!マサ!大変だよ! 交通事故なんだ!(Car crush、Car crush)」とイギリス人留学生は何度も叫んでいる。

「どこで?だれが?」と私は言ってから、初めてゆっくりとイギリス人留学生を見た。

さっきと様子が少し違って、足をひきずっているように見える。怪我をして血もながしている。そして、手には半分に折れて壊れた携帯電話を持っている。

「きみが交通事故にあったの!?」と私は聞いた。
「そう、その信号で!青のボタンを押してから歩いたのに、車にぶつかったんだよ!」

交通事故の自己申告をしたイギリス人留学生

この事件は本当に驚きだった。交通事故にあって車にひかれたイギリス人留学生は、自分で事務所まで歩いてきたのだ。

あわてて現場へ走っていくと、事故をした車を運転をしている「おじいさん」が施設の駐車場に止まっていた。所在なさげに、おろおろとしているその「おじいさん」に、
私は「どうしたんですか?」と聞いた。

「青信号に気づかずに横断歩道を走ってしまいました。・・・・」とおじさんはゆっくり説明を始めた。

そこから警察に電話したり、近所で目撃した人がいないか探したり、と私たちは大騒動。

警察の事情徴収を終えてから、イギリス人留学生は病院へ行くことになった。イギリス人留学生は自分で車を運転して行くといったので、私と責任者である係長が別々の車で付き添うことになり、3台は連なって病院へと向かった。

イギリス人は日本人みたいに気を遣う

病院で検査をしているときも、イギリス人留学生は
「大丈夫、ぼくは元気。大丈夫、歩ける!」と笑顔で答えていた。

イギリス人留学生の診断結果は特に異状なしだった。ただ携帯電話が壊れて半分に折れてしまったので、それは保証されるようだと伝えた。

それから数日後、イギリス人留学生をひいた「おじいさん」が施設へお菓子を持ってお詫びにいらした。

イギリス人留学生は日本語で、
「問題ない!」と言った。私は誰に教えてもらったんだろう?と驚いていた。

「本当に大丈夫?体の痛いことろはないですか?」とおじいさんは聞いた。

イギリス人留学生は変わらず
「問題ない」とにこやかに言った。

イギリス人留学生は終始笑顔で、問題ないと伝えていたが、実は一か月ほど経ってから、たまに足が痛いから病院を紹介してほしいと言ってきた。

「どうしてあのおじいさんが来た時、それを言わなかったの?」と思わず私は聞いた。

「あの時はそんなに痛くなかったし、お年寄りだったから日本語で安心させてあげたかった」とイギリス人留学生は言った。

イギリス人はこのようにとても気を遣う、少し日本人に似ていると私はいつも思う。
このイギリス人留学生が特に優しい性格だという事も手伝っていたけど。

片言の単語で親密度が増す

このイギリス人留学生は日本語に興味があり、とても熱心に勉強していた。日本語を少しでも使いたくて仕方がなかった。

ただ、日本語が話せたわけではなく、コミュニケーションが取れたわけでもなかった。

しかし、日本語の単語を一言でも話してくれると、私たちのイギリス人留学生への親密度が格段にあがった。そして、事務所の人たち皆に今までの学生の中で一番かわいがられていた。

この事件以来、このイギリス人留学生は「交通事故にあって、自分で伝えに来た」という武勇伝で、私たち施設人達の間で有名になった。

事務所の人たちは、イギリス人留学生をみると

「体は大丈夫?」や「携帯電話は治ったの?」などと日本語で話しかけた。

日本語の内容はなんとなくしかわからなかったようだけど、イギリス人留学生はいつも笑顔で

「問題ない」と言っていた。

言葉の壁とは、こんな風に簡単に崩すことができる、たった一言の単語でお互いの距離がとても近くなり親密になる。

母国語ではない言語でコミュニケーションをとりたいと思った時、話せることが大切なのではなく、話そうとする姿勢が大切だと思う。

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