2024年11月5日に行われるアメリカ大統領選本選挙。有権者は、それぞれ、自分が信じる民主党または共和党の候補者に、投票します。しかしながら、単に全米で得票数の多い候補者が、直ぐに大統領に選ばれる、というわけではないんです。
今日は、そのアメリカの本選挙、どういう仕組みになっているのかご紹介します。
ここアメリカ合衆国では、今から約200年前、建国者たちは、ずいぶん頭を悩ませたそうです。デモクラシー(民主主義)ということで、多数決でだけ候補者を選ぶと、国民が、とんでもない候補者を選んでしまう可能性がある・・・、ということで、いろいろ方策が練られたそうです。
その中で、現在は、エレクター(選挙人)制度が、取られています。
そのやり方ですが、アメリカの全50州に、人口に応じてエレクター(選挙人)の数が定められており、現在、全エレクターは538人。
そしてその538人中、過半数270を取った立候補者が、大統領として認められます。
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考え方として、全部で538ポイントあり、その中で270ポイント取った方が大統領になる、というふうに考えても分かりやすいかもしれません。
各州に、人口に応じてポイントがあって、その州の中で投票数が一番多い候補者のポイントが、どんどん加算されて行くって言う感じです。
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エレクター(選挙人)は、候補者に投票すると誓った人のことで、投票や指名によって民主・共和両党から選ばれた538人です。
人口に応じて、アメリカ全50州+首都ワシントンDCに、エレクター(選挙人)の人数が割り振られています。
大半の州では、投票者の票が一番多かった候補者が、その州のエレクター全員分の数を得る事ができます。(勝者総取り方式)
なので、アメリカ全体で得票数が多かったからといって、必ずしも選挙に勝って大統領になれる、というわけでは無くて、その先に、ワンクッションある感じ。
「勝者総取り方式」なので、エレクターの数が多い、つまりは人口の多い州を、より多く制した候補が有利になります。
というわけで、候補者たちのストラテジーは、支持率が以前より確立している地域よりも、バトル・グラウンド(激戦区)、スイング・ステイト(揺れる州)などと呼ばれる、選挙の度に勝利政党がかわっちゃう州を、何とか自分に寝返らそうとして、努力するわけです。
アメリカ国民は、大統領候補者の名前を選んでに直接投票しているんだけれど、実際裏では、エレクターの数を決める投票になっているということなんですね。
例を見てみましょう
人口の多いカリフォルニア州では、エレクターが55人もいるので、ここで一般投票で勝つと、、55ポイント入ります。
270ポイントで勝者になれるのですから、そのうちの55ポイントはとても大きな数字ですね。
この仕組みを知っていれば、一般有権者の票数が全体では一番多いのに、大統領になれない、という事態は、人口の多い州の賛同を、つまり、十分なエレクターの数を、得られなかったわけですね。
さて、先日、ハリスとトランプのディベートがありましたね。やはり翌日はその話題で持ちきりでした。
ハリスは、やはり長年検察官をやってきただけあって、法廷に立って人々を納得させるように話しかけたり、人の揚げ足を取ったりするのは、プロ中のプロ。見事でした。
後日テイラー・スウィフトもハリスに投票することをしっかり表明しましたから、今回の選挙は、ずいぶんとハリスへ流れるかもしれませんね。
ハリスのことを、左派すぎると言う人がいますが、金持ちだけを優遇するのではなく、普通に頑張って生きている人も、政府が応援して何が悪い、という堂々とした態度に、感銘を覚えました。彼女自身も苦労して育ったそうです。
私はアーティストですから、金儲けのために人生があるのではなく、良いクリエイターになるためには、日夜研鑽を積むわけですが、それでも病気になる事はある、怪我をする時もある、そんな時に、誰も助けてくれなかったら、一体どのような世の中になってしまうのか。
全くその通りです。
それではまた来週♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。