英語の勉強を続けていると,ちょっとしたきっかけで,急に英語が聞き取れる感覚を体験することがあります。
心理学では,プラト―現象(高原現象)といいます。進歩が停滞していた状況から、急激に実力が伸びるということです。
英語では、ある瞬間,霧が晴れ視界が広がるような感覚を体験することがあるのです。
「英語が急に聞きとれる!」という体験。英語の原則や決まりがあるんだ!とひらめくことです。
私の場合は,アメリカ留学時代にありました。米陸軍の舞踏晩餐会に参加するために,ダンスの講習会に顔を出したときに経験しました。
ダンスのインストラクターから,まず,相手の女性の紹介を受け,挨拶をした後,
「プッチョーランド・オナラ・ウエイス・アンスター」と言われたのです。
アメリカ人の女性を目の前にして,女性のインストラクターからゆっくりとした英語で言われたにもかかわらず,全く聞き取れませんでした。
3人の間に,沈黙の時間が流れていきます。脂汗!
女性のインストラクターは,私の目を見つめながら,ゆっくりと繰り返します。
「プッチョーランド・オナラ・ウエイス・アンスター」
その時,突然頭の中に,彼女の言った言葉が浮かんだ,というより「ひらめいた」のです。
“Put your hand on her waist and start!”
つまり「相手の腰に手を添えて,そこから始めます」と分かったのです。
「プッチョーランド・オナラ・ウエイス・アンスター」が,ネイティヴの発音で,私の頭のなかにある発音は「プット・ユアー・ハンド・オン・ハー・ウエスト」でした。
Swatchは,その指示にしたがい,恥じらいながらも,アメリカ人の女性の腰に左手を添え,右手で相手の左手を握り,ダンスの始まりの姿勢をとります。
“Start step, left and right!”
ダンスのレッスンがうまくいったかどうかは,あなたの想像にお任せしますが,それから米軍の晩餐会では,パーティアニマルと呼ばれていたことは事実です。
<ネイティヴの発音は,進化しているということ>
アパートに戻り少し高揚した気分で,
put your hand on her wait and start
の発音を分析してみる。
(1)「プッチョーランド」t とyourの yが引っ付き,「チョー」と音が変化した。
(2)「プッチョーランド」your handが,handのhが発音されず,ランドと発音される。
(3)「オナラ」は,on her が縮まったかたち。
(4)「ウエイス・アンスター」waistのtとandのd、startの tは消えてしまいます。
分析をしていると発音の変化が面白くなる。日本語でも同じように、「差し引く」が「差っ引く」と変化する。音便化である。
なるほど,と何回もうなずく。聞こえていなかった英語のフレーズが,次の瞬間に聞こえ,それが文字と結びつく経験は,英語学習のなかでも最高の瞬間でもあります。
「快感!」です。「アー,そう言ってたんだ」と覚醒感があり,事後,発音が省略された英語が当たり前に聞こえるようになる瞬間です。この体験があると英語の学習はやめられません。
頭の中に新しい聞き取りの回路ができたような感覚です。
<音声学で英語の発音を見直してみる>
急に英語が聞き取れるようになったという感覚,あるいは英語がわかるようになったという感覚を体験したとき,今まで英語を学習してきて良かったと,満足感がわきます。
英語の学習はここが絶好のチャンスです。今までに発音してきたフレーズを復習してみる。
Swatchは,留学してから当たり前に使っていて,どうも言いにくいフレーズを探してみました。
日本では,外国人と出会ったときの挨拶は,いつも中学英語の”How are you?”でした。
陸軍のアカデミーに来てからは,”How are you?”は、全く使いませんでした。代わりに、”How are you doing?”を使うようになった。そのフレーズを見直してみることにした。
米軍人に、いつもはっきりと「ハウアーユードゥーイング」と発音していた。米軍人の発音と比べると,圧倒的にスピード感がないし、もたついた感じ。
スピードを上げるために,何度も発音練習してみるが,なかなかうまくいかない。
そこで,ダンスレッスンの時につかんだ音の変化,h,t,d,などの省略を当てはめてみた。
How are youを一語づつ分析していくと,hoは「ハ」,howのwと areのaがつながりwa「ワ」となる。ハワと発音し,youをつけてみる。「ハワyou」では、youが非常に言いにくい。
音声学では、文中のyouは,「ヤ,ヨ、イ」に変化するので,それぞれを入れて発音してみた。
ハワヤ
(2)ハヤヨ
(3)ハワイ
あなたもお分かりのように(3)のハワイがスムーズに発音できる。
そのあとに、doingをしっかりと舌でdの音を強調し発音してみる。ドゥイング!
How are you doing?を「ハワイdoing」と発音するとうまくいった。
ネイティブに近い発音になった。スピードも倍速になっている。カジュアル感もある!
アカデミーですれ違う軍人に「ハワイdoing」と声をかける。自然な対応だ。
それまでのように、ぎこちない感じが全くない。
このフレーズひとつで、アカデミーでの人間関係がどんどん広がっていく実感。
これだから英語学習はやめられません。
<突然英語が聞き取れるようになる快感!で生涯学習>
日本語アクセントの英語の好感度は、世界で11位。ベスト10入りを逃したものの、外国人にとっては、好感度があります。自信を持ってください。
それで満足するのも結構です!日本語アクセントを個性として、ビジネスでバリバリと働いている方をSwatchは、たくさん知っています。まさにDiversity(ダイバーシティ:多様性)の世界です。
でも、少しばかりあなたの発音に工夫を加えるだけで、ネイティヴ風の英語になります。
自分の耳を信じて、ネイティブの発音をまねてみてはどうでしょうか。
チョット意識するだけで、英会話の発音は格段に良くなります。
英語の学習を継続することで、英会話が「急に聞き取れた!」という感覚を体験してください。
それは,快感!です。一度経験すると、英語の学習がやめられなくなります
執筆家・英語教育・生涯教育実践者
大学から防衛庁・自衛隊に入隊。10年間のサバイバル訓練から人間の生について考え、平和的な生き方を模索し離職を決断する。時を同じくして米国国費留学候補者に選考され、留学を決意。米国陸軍大学機関留学後、平和を構築するのは、戦いを挑むことではなく、平和を希求することから始まると考えなおす。多くの人との交流から、「学習することによって人は成長し、新たなことにチャレンジする機会を与えられること」を実感する。
「人生に失敗はなく、すべてのことには意味があり導かれていく」を信念として、執筆活動を継続している。防衛省関連紙の英会話連載は、1994年1月から掲載を開始し、タモリのトリビアの泉に取り上げられ話題となる。月刊誌には英会話及び米軍情報を掲載し、今年で35年になる。学びによる成長を信念として、生涯学習を実践し、在隊中に放送大学大学院入学し、「防衛省・自衛隊の援護支援態勢についてー米・英・独・仏・韓国陸軍との比較―」で修士号を取得、優秀論文として認められ、それが縁で定年退官後、大規模大学本部キャリアセンターに再就職する。
修士論文で提案した教育の多様化と個人の尊重との考えから、選抜された学生に対してのキャリア教育、アカデミック・アドバイジングを通じて、キャリアセンターに新機軸の支援態勢を作り上げ、国家公務員総合職・地方上級職、公立学校教員合格率を引き上げ高く評価される。特に学生の個性を尊重した親身のアドバイスには、学部からの要求が高く、就職セミナーの講師、英語指導力を活かした公務員志望者TOEIC セミナーなどの講師を務めるなど、大学職員の域にとどまらぬ行動力と企画力で学生支援と教員と職員の協働に新たな方向性をしめした。
生涯教育の実践者として、2020年3月まで東京大学大学院教育研究科大学経営・政策コース博士課程後期に通学し、最年長学生として就学した。博士論文「米軍大学における高等教育制度について」(仮題)を鋭意執筆中である。
ワインをこよなく愛し、コレクターでもある。無農薬・有機栽培・天日干し玄米を中心に、アワ、ヒエ、キビ、黒米、ハト麦、そばを配合した玄米食を中心にした健康管理により、痛風及び高脂質血症を克服し、さらに米軍式のフィットネストレーニング(米陸軍のフィットネストレーナの有資格者)で筋力と体形を維持している。趣味はクラッシック音楽及びバレエ鑑賞。
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