中高の英語教師だった頃、海外からの留学生等を授業に招き、生徒に英語で話してもらってました。ある時ネパール人留学生に、生徒(中学生)が質問。
Have you ever climbed Mr.Fuji?
(富士山に登ったことありますか?)
おそらく生徒は、
「まだです。有名な富士山に登るの楽しみ!」のような答えを期待してたのでしょうか。
が、ネパール人の答えは
「はい、こないだの週末に登りました。3回目です」
まるで裏山にハイキングのような軽い口調。
何だか、とても大事なものが軽~く見られたようで、少しギャフン。
でも(ネパールと言えばエベレスト山を初め、8000m級の山がごろごろ。高さなら4000m以下の富士山などモノの数ではないかも..)と思い直し、生徒にも後日そう話しました
「軽く見られた」と言いましたが、海外と行き来すれば、自国がいつも「一番」でないとすぐ分かるはず。「おらが国」を広い視点から見直せるのは良いことなのかも。
今度はよそ様の「おらが国」の例です。
40年程前、総理府主催の、アジアの若者国際親善の船旅「青年の船」団員の一人として、印度のムンバイを訪れました。その時現地の人から何度も受けた質問があります。
Did you see “Queen’s Necklace”?
(「女王の首飾り」を見ましたか?」
ムンバイ(当時はボンベイ)の海岸沿いのハイウェイのことのよう。それで試しに暗くなってから見に行きました。そしたら真っ暗な海岸に街灯のようなモノが白くポツ..ポツ..と遠くまで並んでだけ。「女王の首飾り」という名に相応しいのかな~?と思いました。
率直な印象を現地の方に喋る機会はありませんでしたが、これは繰り返しですが、約40年前のこと。海外の夜景ならネットで見られる現在、印度の人達はどう思っているのかと、知りたくなります。ライトアップされて「名所」らしくなっているのでしょうか。
もしかして外国人にQueen’s Necklaceを自慢しなくなっているのかもしれませんね。
さて最後はお天気。天気って普通は外国の天気などピンと来ないものでしょう。でも意外に視野を広げるチャンスかも。
昨年末のコト。寒気団が来た時、天気予報等で、さかんに注意を呼び掛けていたのが強風への注意。それが時速20m(=時速54㎞)を超える警戒レベル。ふらふら歩く人、自転車や街路樹が倒れたりしている映像が映し出されて、コメンテータは口々に「怖いですね。備えましょう」とばかり。
ここで私ある本を思い出したんです。
サンテクジュペリは「星の王子様」で超有名なフランス人作家。彼は勇敢な飛行家でもありました。Shiff(シフ)という人が書いた、彼の伝記で時速100㎞を超える南米パタゴニアの猛烈な風が話題に。
Saint-Exupéry liked to laugh…about an order …prohibiting pilots from landing …when the wind speed exceeded ninety miles per hour.
(サンテクジュペリは風速144㎞以上の場合に出される着陸禁止措置を笑った。)
Given that the average speed of a plane was nearly the same, the effect, … was that of revving the engine of a car mounted on blocks.
(その風速の向かい風だとプロペラ機が空中で(空ぶかしの自動車のように)静止するほどなのだが…)
サンテックが生きていたら、20mの風に、あたふた備えようとする我々の様子に呆れるかも。
備えは無用と言っているわけでは、もちろんありません。念の為。
備えは備え。要は、視野は視野で広げた方が良いということです。
海外での実体験で、あるいは英語等の洋書を通して、見分が広まる楽しさを味わえると良いですね。
See you soon!
追記:
『Saint-Exupery: a Biography』 by Stacy Schiff
https://amzn.to/47LIe9J
<英語版>
知ってる内容を英語ルートで理解する。洋画で字幕を読んで英語を
↓ ↓ ↓
英語版はこちらから☆
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員