【World Life】とは?
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米国で社会人と認められる最重要な条件

World Lifeな生活
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Swatchは、自衛隊時代、長年の努力が実り、留学生として米国テキサス州の最南端の都市、エルパソ市で学生生活を送ることになりました。

最初に、ホストファミリーと出会う交流会があり、参加者の中からホストファミリーを見つけることになりました。そこで俳句に興味がある60代の未亡人と、その娘と知り合い、ホストファミリーになってもらいました。

40代の娘は、名門テキサスA&M大学でコミュニケーションを教える大学講師で、Swatch以外に、韓国の留学生の李大尉からも声を掛けられ、ホストファミリーを承諾していました。

ホストファミリーとの3回目の夕食会の後に、大尉から、次の夕食はSwatchとは一緒に行けないと告げられました。理由を聞くと、ホストファミリーが私のことを好きではないと言うではないですか。

<沈黙は金?アメリカじゃ、退屈な野郎です!>

大学講師の娘が、私との夕食の時間がつまらないというのが理由でした。
何故そう感じたのかを考えてみると、答えはすぐに見つかりました。

彼女は、テキサス州の名門大学のコミュニケーション学の講師です。そのコミュニケーション能力たるや、プロ中のプロ。

彼女は、抑揚の利いた話しぶり、効果的なジェスチャーを交えて、相手が理解しているかを常に考えながら会話をする。招かれた夕食では、彼女の講演会のような感じでした。

韓国の李大尉は、彼女の話題に、時にテーブルをたたきながら熱弁で反応しています。一方、Swatchは、彼女の鮮やかな話法(コミュニケーション能力)に魅了され、聞きほれていました。

名門テキサスA&M大学の授業を、食事付きで受けている気分でした。彼女の話す一つひとつのフレーズを頭に叩き込み、そのリズムとイントネーションを体で覚えるという感じ。

食事中は、“Silent is golden”(沈黙は金)で、だんまりを決め込んでいました。ホストファミリーの夕食会に参加し、コミュニケーション学の授業を受けている、というワクワク感がありました。

彼女の講義に熱中して何も語らないSwatchは、彼女にとってはただの「退屈な男」に過ぎなかったのです。

食事も後半になると、アメリカ人特有の「話題を繰り返す」ということが多くなります。Swatchが発言をしないので、話を理解していないと思われ、「理解させよう」という講師としてのプライドがちらつきます。

この出来の悪い日本人の学生に発言させたい。彼女のコミュニケーション能力とアクティブラーニングの手法で、発言できるようにさせたいという思いが伝わってきます。

Swatchにとっては、コミュニケーション講師のもつ技術を習得するチャンスでした。

これでは両者の溝は埋まりません。彼女は、英語が話せない日本人という評価にとどまらず、「出来の悪い学生は、私の授業(夕食)には出てこなくてよい」という評価に至ったように感じました。

アメリカ人はそういう能力評価はきっちりとして、必要な時には直接伝えます。
彼女は、「大学の仕事が忙しいから」来週は、夕食会は実施しないと伝えてきました。

Swatchは、母親の英語俳句の創作に付き合いながら、良い関係を築いてきたつもりでしたが、アメリカの社会では「沈黙している人間」は、能力がないと誤解されることが身に染みました。

そんなこともあり、1か月も経たないホストファミリーの解消でしたが、名門大学のコミュニケーション学を学ぶことができたのです。この経験が、その後の留学生活に本当に役に立つことになるのです。

<雄弁は金!Speech(Eloquence) is gold!>

ことわざは、「雄弁は銀」“Speech(Eloquence) is silver”ですが、アメリカの社会では、雄弁は金です。雄弁でなければ、自分のアイデンティティを確立することができません。

雄弁でさえあればいいのです。換言すれば、一つのことを長く滞りなく英語で話すことができれば良いのです。これは、どんな話題でも役にたちます。

何か一つ、熱弁をふるうことができること、それがアメリカで社会人として認めてもらえる最重要な条件なのです。極端だと思われるかもしれませんが、Swatchが体験から得た知見です。

どんなに下手な英語でも気にかけない方が良いでしょう。英語で熱弁をふるう。内容はあまり関係ないですね。正確な英語で日本の文化を説明しても、理解してもらえるとは限らない。

「日本には、独自の文化がある」ということを、伝えることができれば良いのです。自分が世界の中心で生きている米国人は、他国の文化について興味はないので、内容は問題ではないのです。

英語が話すことができる、という認識だけは相手に与えておかないと、同じ立場で議論できないことになります。議論ができないと思われたら、相手は意見を聞いてはくれません。

アメリカで生きていくために、外国人としてのアイデンティティを作り上げるということが、最重要なのです。そのためには、英語で雄弁に語ることができる話題を持つことです。

<ホストファミリーへのリベンジ「目には目を歯には歯を!」>

ホストファミリーの解消で、毎週金曜日の夕食会はなくなりました。3回ほどの夕食会で、テキサスS&Mのコミュニケーション講義で学んだことは本当にためになりました。

感謝の意味と、少しばかりのリベンジを込めて、元ホストファミリーをエルパソ市で一番高級なホテルのレストランの夕食に招待しました。

ホストファミリーの夕食会には、ほとんどジーンズとTシャツでしたが、当日は、カルバンクラインの黒のセーターとジャケットとパンツを合わせ、少々ドレスアップ。

前職の国際関係セクションで修得したプロトコール(国際儀典)の知識を駆使して、夕食会の招待状を郵送し、期待感を高めます。出来の悪い、英語の話せない学生のリベンジです。(笑)

車で移動するので、飲み物はノンアルコール。ゲスト二人の好みを聞いて、フレンチのコースを頼んでおきました。

入口で出迎え、
“Good evening. Lady Smith and Professor Smith”
こんばんは。スミス夫人、スミス教授。
“Good evening!Tak”
こんばんは。タック
“It’s a wonderful night for me, thank you for coming and sharing your precious time ”
私にとって、素晴らしい夜です。お出でいただきありがとうございます。

と雰囲気を盛り上げます。

アメリカには、貴族は存在しないので、Lady Smith(スミス夫人)という言い方は間違い、娘は大学の講師(lecturer)なので、プロフェッサー(professor:教授)とは呼ぶのは、リップサービス。

食事が始まり、1か月ほどの短い期間の思い出話が始まります。
話題は、私が熱心に講義を受けた娘の大学での話がメイン。

そういえば、あの時こんなことを言っていましたねと、Swatchが聞けば、娘が以前聞いたことを、繰り返し説明してくれるという具合。

<簡単な質問攻めで、相手の心をつかむ!>

そこからは、夕食で彼女が頻繁に使っていた質問をこちらが真似してみる。
つまり、彼女の大学講師としてのテクニックをまねてみた。

わからない単語が出てくると、

“What is that?”
(どういうことですか)

と質問をする。

それは、面白いですね。
“How do you spell it?”
(その単語はどう綴るのですか)

普段は使わない単語ですね。
“How do you pronounce it?”
(どう発音するんですか)

熱心に説明する話に身を乗り出して聞き、
“What does it mean?”
(どういう意味ですか)

質問する。

説明はさらに熱心になり、講師の言っていることも明確になる。そこでまた一言。

“What do you mean?”
(あなたはどうお考えなのですか)
と突っ込む。

聞く、質問する、納得する、喜ぶ、相手に感謝するというアクションのサークルを繰り返し、会話を継続させる。楽しい講義に時間が、あっという間に過ぎ去っていきました。

楽しく会話が弾み、おいしい料理に舌鼓を打ち、夕食会は終わりました。
帰り際には、小さなプレゼントを渡しお別れしました。

娘:“We had very good hours to talk each other!”
(お互いによく話しましたね)
母:”It was a pleasure speaking with you!”
(お話しできて楽しかったわ)

母娘の別れの言葉が、落ちこぼれの学生ではなく、友人として良い話し合いができたことを物語っています。ホストファミリーの関係は解消しましたが、その後友人としての付き合いが続きました、

英語の質問攻め。あなたも一度試してみてはいかがでしょうか。

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