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外国人も驚く日本の「青信号」

World Lifeな生活
この記事は約6分で読めます。

「なんで日本人は,信号の色を『青』って言うんだ?
どう見てもあれは青じゃなくて『緑』だろう。」

以前,知り合いのアメリカ人からこう言われたことがありました。

その時は,

「まあ,確かに緑っぽいけど,青でいいじゃん?」

なんて軽く思っていましたが,まさにこの考えこそ

私は「日本人」だなぁ,と思ったのです。

その理由,あなたはわかりますか?

−日本人の「青と緑」−

生まれたときから,日本での信号は「青・黄・赤」と言ってきたので
私はこれまで「青信号」の表現ってあまり考えたこともありませんでした。

でも,アメリカでは基本的に青信号の色は「緑」。
“blue”ではなく “green”なんです。
特に日本と色の違いはないように思うのですが,それでも「緑」なんです。

なのでアメリカにいると自然と,

“The light is green.”
(信号は緑だよ。)

のように言っているんですよね,ワタクシ。

もう普段から,

「私って何も考えていないんじゃないか?」

っていうくらい自然に。

ですので,今回はいい機会なのでちょっとだけ掘り下げて考えてみたいと思います。

なぜ,信号を「青」というのか。

それって,実は日本人にとってはごく自然なことなのかもしれません。

それでは説明の前にクイズです。

頭に浮かんだものの名前を答えてくださいね。

第1問。

健康に良いとされる飲み物です。
ケールなどの野菜が主原料で,テレビショッピングなどでもよく

「今ならこのシェーカーをプレゼント!」

と言っていたり,

昔のCMでは,

「う〜ん,まずい!もう一杯!」
なんて言ったりするものもありました。

その健康飲料の名前はなんでしょう?

3

2

1

答えはそう,「青汁」ですよね。

では第2問。

5月の気持ちの良い五月晴れの日。
あなたは緑道を散歩しています。
道の両脇には,キラキラと輝くような新緑が元気よく伸びてきています。

では,次の○の中を埋めてください。

「○○とした緑」

生き生きとした緑色を指す表現です。

3

2

1

わかりましたでしょうか。

答えは,

「青々」です。

これら「青汁」も「青々とした緑」も,「緑」なのに「青」って表現していますよね。

りんごだって青くないのに「青りんご」。
野菜だって,青くないのに「青野菜」。
緑りんご,とも緑野菜とも言いません。

不思議ですよね。

これってもう,日本人独特の表現といってもいいのかもしれませんね。

−日本にはもともと4色しかなかった!?−


古来,日本語には色彩を表す色は4色しかなかったのだそう。

それは「○○い」と言える色。

つまり,

赤(赤い)・・・あかし(明るい),明らかな
青(青い)・・・淡し(あわし),はっきりしない
黒(黒い)・・・暗し(くらし),暗い
白(白い)・・・顕[しる]し(はっきりしている)

これらたった4つの色しか言葉がなかったため,
実際には「黄色も明るい暖色系なので[赤]」のように,1つの色が広範囲に当てられたと考えられるのだとか。

その考え方からすると,

「青の中に緑も含まれる」と考えられます。

なので,広辞苑など多くの日本語の辞書では「青」という項目には

(ア)三原色の一。よく晴れた日の空の色。
(イ)藍(アイ)・緑・水色など,青系統の色の総称。

のように,「緑や水色などの青系統の総称」という説明もされています。

日本の「色」に対する表現って,

黒々とした
青々とした
白々しい
赤々とした

のように言いますが,

「緑々とした」
「茶々とした」

とは言いません。
やっぱり4色が基本なんですね。

また,

目を白黒させる
腹黒い
白い目で見る
赤っ恥
赤の他人
尻が青い

なんて表現もあったりして,たった4色でもイメージがすぐに湧きますよね。
これも本当に面白いです。

−最初は「緑信号」だった?−

「でも色の表現が増えた現在では「緑信号」にしたほうがいいんじゃない?」

そういう意見が出てもおかしくありません。

日本初の「自動交通整理信号機」が設置されたのは1930年(昭和5年)11月1日。
場所は東京・日比谷交差点だったそう。


Wikimedia Commons『大東京写真帖』1930

実は,その時の交通に関する法令には,しっかりと

「緑色信号」

と記載されていたのです。

しかし,自動信号機の設置を紹介した当時の新聞記事などが「青信号」と書いたことにより,「青の中に[緑]も入ること」に慣れていた当時の人たちには,すぐに「青信号」という呼び方が受け入れられ,広まったのだとか。

「緑」よりも「青」が定着し,その後,法令自体も「青信号」と書き換えられたというのですから,それだけ私たち日本人のDNAには「古来からの言い方」が染み付いているということなのかもしれませんね。

このように,もともとは緑信号として設置されたものが,今では法令的にも正式に「青信号」と呼ばれている。

英語に限らず,言葉って面白いですね。

余談ですが,現在の日本の青信号の色は,国際照明委員会が定めている「緑の色度」の中でも,最も青に近い色度を採用しているのだそうですよ。

だからもう「青」でもいいのかも。(実際には青に最も近い緑ですが(^_^;))

−色の見え方が違うのかも?−

最初に「信号の色はグリーンじゃない?」とアメリカ人に言われたときに私はこう思ったのです。

「アメリカ人と日本人は色の見え方が違うのだろうか?」と。

それには理由があるのです。

子どもの頃のお絵かきを思い出してください。

空には太陽,雲や鳥,そして地面には木や車など。

こういう子どもの絵って,よくありますよね。

その時,太陽は何色でしたか?

きっと多くの方は,このように描いたのではないでしょうか。

そう,「赤」もしくは「濃いオレンジ」の太陽です。

私たち日本人は多くの場合,太陽を「赤」や「濃いオレンジ」で描きます。

しかし,アメリカでは,

このように「黄色」で描くのが一般的なのです。
確かに,空高くある太陽って「赤」ではないですよね。

これももしかすると,古来の日本人のDNAなのかもしれません。
日本の国旗も日の丸は「赤」ですし,「真っ赤な太陽」って表現もありますし。

−古からの背景の違い−

このような理由から,私は

「日本人とアメリカ人の色の見え方が違うのか?」と思っていたのです。

しかし,いろいろと調べて過去を遡ってみると,「古くからの文化の違い」とでもいうのでしょうか。

「むか〜しむかしの日本人は色を4色で表現していた。」

ということも考えると,「青信号」も「赤い太陽」も,そのような古くからの歴史的文化が関係してのかもしれない,と思うのです

もしも今度,外国の人から

「緑の信号を青信号って呼ぶのはおかしい!」と言われたら,このように説明してはいかがでしょうか。

「それはね,今から1200年以上も前の表現の名残なのだよ。」と。

青丹(あをに)よし
寧楽(なら)の京師(みやこ)は咲く花の
薫(にほふ)がごとく
今盛りなり

と,万葉集にうたわれています。

「あをによし」とは奈良にかかる枕詞で,

「あをに(青丹)」とは,

「青」は緑色がかった色,そし「丹」は土を指しているのだそう。

『その頃から,緑のことを「青」と言っていたんだよ。
しかも,現在の日本の信号機の緑色は国際基準で最も青に近い色なんだよ。』

と,教えてあげてはいかがでしょう。

きっと

“Interesting!”
(面白い!)

と興味を持ってもらえる「かも」しれませんよ。

でも説明を間違えないでくださいね!
赤っ恥かいて,顔が真っ青になるかもしれませんよ(笑)

それでは,See you next week!

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