今回は前回の記事「英語のマインドセットから解放」の続編で,目的別英会話訓練の実践法を簡単にお話します。
Swatchは、週2で,大学生に英会話を教えています。
英会話学校のような授業ではなく,「自分のことを英語で表現する」ことが目的。
平たく言えば英会話の基礎を作ることが目的です。発声,発音,文法,内容,自信,表情,ジェスチャーなどを含めて、「1分間のスピーチ」を作りプレゼンすることです。
自分の伝えたいことを一つ選んで,英語で説明できるようにする。それが準備事項。
しかも,その英語がアメリカ人に通じるように練習し話すこと。実践的です。
でも,たったの1分間なのです。その一分間が,英会話の基礎になるのです。
それによって,英会話の能力が飛躍的に伸びることになるのです。
今回紹介するのは,1分間のスピーチよりさらに簡易にした,キーワードとなるフレーズを覚えて使えるようにすることで,英会話の基礎を作る方法です。
たったのワンフレーズの英語で,あなたの英会話力は激変するかも。
<あなたの一番英語で話したい内容は何ですか?>
前回の記事で,外国人と英語を話す時に,3つのトピックスがあるとお話しました。
外国人,特にアメリカ人に向かって,英語を話したいという欲求を分析してみると,
友達になってください!
私の自慢話を聞いて!
仕事で英語をはなしたい!
になります。
あなたの英語学習のモティベーションに当てはまりますか?3つとも、単純な欲求です。その単純な欲求が、実は,非常に強いモティベーションになるのです。
<友達になってください>
これは少し心理的に,日本人は言いにくいですね。
相手に友達になってくださいとは,なかなか恥ずかしくて言い出しにくいかもしれません。
そこが,ある種の消極的なマインドセットです。遠慮する必要はありません。
こういえばいいのです。
「私の友達になれる?」というのです。なんか高飛車な感じ。
英語では,“ Can you be my friend?”
このフレーズが言えると,すごいポジティヴになれます。
日本語に直訳すると,「私の友達になることができますか?」ですが,実際は,「友達になろう」という感じで伝わります。
日本語と英語のギャップが強い分,言った後にすっきり感がありますよ。
そうして,自分に英会話の自信がつきます。
また,相手に対していうのではなく,お互いを対象にして,言うこともできます。
“Can we be friends?”
(私たち,友達になれるよね!)
何事も肯定的な考え方をする。英語は自分に正直な表現であることが分かります。
アメリカ人からは,”Sure! “(もちろん!), “OK!”(大丈夫)など,きっと好意的な答えが返ってきます。
アメリカ人は,あなたからどういったことが自分にもたれされるか,ドキドキワクワクしています。
同時に,アメリカ人の友達が一人いると,どんな経験ができるかと日本人も期待します。両者の期待が,友情へと変化していくのです。会うたびに日米のフレーズが増えていくことになります。
<私の自慢話を聞いて!>
これは心の要求ですので,そのまま英語にしても意味がありません。具体的に,自分の自慢話を始めればいいのです。
日本人の自慢話ですが,自分の趣味は,好きなものと言った他愛のない感じです。
あるいは,スポーツをやっているなどですね。大言壮語するような内容はないですね。
ここでいう自慢話は,言ってみれば,少し派手目な自己紹介です。それをワンフレーズではなく,10秒以上英語でまくしたてる。これでOKです。内容は単純です。
自分を自慢したい日本人は,アメリカ人に自慢したいのではなく,英語を話しているところを,日本人に見てもらいたいからです。
それが,英語を話す目的です。長々と英語をアメリカ人に話している自分を自慢したいのです。
アメリカ人に自分の自慢話をしたところで,アメリカ人は皆,自己自慢が得意です。
アメリカ人にとっては,自己自慢は当たり前のことです。めったなことでは驚きません。
が,反応は話し手に合わせてくれる特技を持っています。
日本人が大げさに表現すれば,アメリカ人はしっかりと反応して,フォローも完璧です。
そうすると周りの日本人も,そのリアクションぶりに「すごいなあ!」と感心してくれます。
英語を話す目的。自慢話をするは,自己満足で終わってハッピーエンドです。それが快感となり,英語習得へのモチベーションが上がっていきます。
<仕事で英語を話す>
これは,日本のサラリーマンの一番切実な願いのようです。これには準備が必要です。
英語の大切さは十分理解しているし,仕事でも必要性を感じています。「忙しくて,英語を勉強する時間がない」というあなたの考えは,働く人の考え方を代表しています。
実際に,日本の社会人が英語を習得するために必要な学習時間は、1000時間だと言われています。そんな時間をかける必要はありません。仕事に必要な英語だけを覚えておけばいいのです。
まず,私の尊敬する方の成功例を一つ紹介します。
『自衛隊という学校』,『脚気と軍隊』の著者である荒木肇氏の英会話実践法,素晴らしいです。
荒木氏は,アメリカ人と対話するときに,ものおじしません。
幼いころにネイティヴスピーカーに英語を習った経験から,英語耳を持っているようなのです。
さらに,英語の音に関する感度を,日本語においても傾聴力として高めているのです。
コミュニケーション能力は抜群です。英語の語彙力がどうであれ,どんどん攻めていきます。
アメリカ人と対話する時,氏は,「いかに自分を語るかです。しかも、自分の何を売り込みたいかでしょうか。」とはっきりと会話の目的を定めています。
さらに,「相手の話もそうすれば親身に聴くことができます。分からない単語はジェスチュアであろうが、メモ紙への殴り書きでもいいから書いてもらう。」と,非常に積極的です。
自分のことを相手に伝え,それに対する相手の考えを知りたいがゆえに,傾聴する。そこで少々分からない単語があっても,ジェスチャーやメモを交換するなど,他のコミュニケーション手段で補完し,会話を成立させる。
素晴らしいコミュニケーション能力です。感服です。作家の持つ感性,真実の追求といったものが,言葉の違いを超えて,如実に発露している感じですね。
それでは,一般に仕事のために英語を使うためにはどうするかということです。その準備は,仕事の朝から晩までを,箇条書きにしてみること。
その中からキーワードを取り出し,それを英語にする。時間がかかるように感じますが,サラリーマンの要する英語習得時間1000時間に比べれば,微々たるもの。
さらに,自分の仕事を段取りやスケジュールを書きだすことで,頭の中に仕事が整理されます。
日本人の多くは,日本語を英語にする以前に,日本語で話すことをまとめられないのです。
頭に明確なビジョンがなければ,日本語も英語も出てきません。そういった意味で,仕事の手順を整理するのは大切なことです。
そして,一日のスケジュールを整理してみると以下のようになります。
朝のミーティング Daily morning meeting
スケジュールの確認 confirm today’s schedule
調整・指示 coordination & directions
プロジェクトの会議 Project conference
取引先とのランチ Power lunch with client A
上司への報告 Updating
明日のスケジュールの確認 Confirm tomorrow’s schedule
業務記録 Keep a business record
こういった業務をそれぞれの目的別に書き出していくと頭が整理されます。その場に必要な英語の表現が増えていくのです。
時間とともに,英語で言う範囲が広がります。業務全体を整理して,英単語と結び付けていくのにそれほど時間はかかりません。自然に英語でスケジュールを考えることができるようになります。
スワッチの目的別英会話上達法は,目的別にキーワードを整理していくこと。また,ストーリーを作って暗記し,それをよどみなく言えるようにすること。それを一つひとつ増やしていく方法です。
地味な作業に感じますが,やってみると面白いです。さらに,実際に使える英語として身についていくのです。是非とも試してみてください!
執筆家・英語教育・生涯教育実践者
大学から防衛庁・自衛隊に入隊。10年間のサバイバル訓練から人間の生について考え、平和的な生き方を模索し離職を決断する。時を同じくして米国国費留学候補者に選考され、留学を決意。米国陸軍大学機関留学後、平和を構築するのは、戦いを挑むことではなく、平和を希求することから始まると考えなおす。多くの人との交流から、「学習することによって人は成長し、新たなことにチャレンジする機会を与えられること」を実感する。
「人生に失敗はなく、すべてのことには意味があり導かれていく」を信念として、執筆活動を継続している。防衛省関連紙の英会話連載は、1994年1月から掲載を開始し、タモリのトリビアの泉に取り上げられ話題となる。月刊誌には英会話及び米軍情報を掲載し、今年で35年になる。学びによる成長を信念として、生涯学習を実践し、在隊中に放送大学大学院入学し、「防衛省・自衛隊の援護支援態勢についてー米・英・独・仏・韓国陸軍との比較―」で修士号を取得、優秀論文として認められ、それが縁で定年退官後、大規模大学本部キャリアセンターに再就職する。
修士論文で提案した教育の多様化と個人の尊重との考えから、選抜された学生に対してのキャリア教育、アカデミック・アドバイジングを通じて、キャリアセンターに新機軸の支援態勢を作り上げ、国家公務員総合職・地方上級職、公立学校教員合格率を引き上げ高く評価される。特に学生の個性を尊重した親身のアドバイスには、学部からの要求が高く、就職セミナーの講師、英語指導力を活かした公務員志望者TOEIC セミナーなどの講師を務めるなど、大学職員の域にとどまらぬ行動力と企画力で学生支援と教員と職員の協働に新たな方向性をしめした。
生涯教育の実践者として、2020年3月まで東京大学大学院教育研究科大学経営・政策コース博士課程後期に通学し、最年長学生として就学した。博士論文「米軍大学における高等教育制度について」(仮題)を鋭意執筆中である。
ワインをこよなく愛し、コレクターでもある。無農薬・有機栽培・天日干し玄米を中心に、アワ、ヒエ、キビ、黒米、ハト麦、そばを配合した玄米食を中心にした健康管理により、痛風及び高脂質血症を克服し、さらに米軍式のフィットネストレーニング(米陸軍のフィットネストレーナの有資格者)で筋力と体形を維持している。趣味はクラッシック音楽及びバレエ鑑賞。
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