“I want to have some coffee.”
(私はコーヒーを飲みたい)
このように “want to”は
「子どもっぽい表現」
だと言われるのを聞いたことがありますか。
なぜそのように言われるのか,
そもそも,本当に子どもっぽいのか
あなたはどう思いますか。
― “want to”は直接的―
“want ~” は「〜が欲しい」,
それに “to” をつけて “want to ~“にすると
「〜したい」
という意味になります。
なので,
“I want to have some coffee.”
(私はコーヒーが飲みたい)
“I want to go there.”
(私はそこへ行きたい)
のように表現することができます。
でも,この “want to”は
「ちょっと子どもっぽくて大人が使うと変」
と言われるのを見たり聞いたりしたことがありませんか。
その代わりに使うと良いとよく紹介されているのが
“would like to ~” という表現。
同じ内容を言うにしても,
“I’d like to have some coffee.”
(私はコーヒーが飲みたい)
“I’d like to go there.”
(私はそこへ行きたい)
のように言ったほうが良いと。
それはなぜなのでしょうか。
実は “would like to ~” に比べて“want to ~”(〜したい)は,ちょっと直接的な表現。
“I want a hamburger.”
(私はハンバーガーが欲しい)
“I want to visit Japan.”
(私は日本を訪れたい)
のように,
「〜が欲しい」「〜したい」という意思が明確なんです。
それに比べて “would like to ~”は,
ちょっとかしこまったフォーマルな感じ。
日本語の感覚で言うなら
「〜させていただきたい」
のようなイメージでしょうか。
だから
“want to ~” は子どもっぽい,使うなら “would like to ~”の方が好ましい,
と言われるんですね。
― 大人も “want to ~”を使ってもOK!―
では大人は “want to~”を使わないのか。
答えは「Yes」,つまり使います!
“would like to ~” を使った方がいい,というのはあくまでも丁寧に言う必要がある状況のお話。
たとえばビジネスの場であったり,レストランの注文であったり。
ビジネスで新商品などを紹介する場合に,
“I want to introduce our new product.”
(弊社の新商品を紹介したい。)
という場合と,
“I would like to introduce our new product.”
(弊社の新商品を紹介させていただきたいと思います。)
というのでは,ちょっとだけ印象が違いますよね。
レストランでも同じ。
注文するときに,
“I want to have this pasta.”
(私は…このパスタが食べたい)
と
“I’d like to have this pasta.”
(私はこのパスタをいただきます)
と注文するのでは印象が大きく違います。
やっぱり “would like to ~” を使った方が大人な感じがしますよね。
でも,これを家族や友人たちといるようなカジュアルな場で使うとどうでしょうか。
友人や家族と昼食の話をしていて,
“I would like to have some pizza.”
(私はピザをいただきたいです)
と言うと,ちょっと他人行儀と言いますか固い感じですよね。
ですので,この場合は大人でも
“I want to have some pizza.”のように言いますし,さらに “want to”をくっつけて
“I wanna have some pizza.” と言う方が自然です。
「大人は “want to ~”よりも “would like to ~” を使った方が良い」
という意見は,「状況によって使い分けたほうがいいですよ」
と言っているのですね。
― “wanna”には注意!?―
先ほど, “want to ~” を “wanna ~” と言うという話をしましたが,
ネイティブ,特にアメリカ英語では頻繁に使う表現です。
でも,時々わたしたちのようなあまり英語を話すことに慣れていない英語ノンネイティブが,
“Oh,… ah… I …wanna…ha..ve…some…piz…za.”
のように言っているのを聞くことがあります。
“wanna”は, “want to ~” をつなげてサラッと言っている表現。
他の言葉も,このようにサラッと自然に出てくる人は “wanna”を使っても全く自然なのですが,全体はまだ慣れていないたどたどしい英語なのに, “wanna”だけ流暢に言うと,とても不自然に聞こえます。
ドラマやアニメなど,英語の声優をしている友人がいるのですが,その人はよく
「英語がたどたどしいのは全く気にならない。
でも, “want to ~”や “going to ~”の部分「だけ」,“wanna”とか “gonna”というのはとても違和感がある」
と言っています。
それを考えると,私たち英語ノンネイティブはノンネイティブらしい英語でいいのではないかな,と私は思っています。
もちろん,英語力の成長は大切です。
できる人はどんどん力をつけてネイティブに近づくことも素晴らしいと思います。
でも,まだそこまでは…という人は無理にネイティブを意識しなくてもいいと思うのです。
ネイティブとコミュニケーションをとるにあたって,
「どこに気をつけたら良いのか」
などの知識を身につけ,
そして少しずつ英語力を磨いていく,それで良いと思っております。
そのためのヒントを,これからも微力ながらお伝えできたらなと思っております。
ということで,また来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。