とつぜんですが【クイズ】です。
写真のように、ビンに水を入れるとします。
トクトクトクと音がして、ビンがだんだん一杯になっていきます。一杯になると止む、そのトクトクトクという音、よく聞くと意外な音に聞こえます。あなたは何の音か分かりますか?
トクトクトクはあなたも耳慣れた音でしょう。それが「別の音」に聞こえるのです。この「別の音」もとてもなじみ深い音。あなたも耳を傾けてください。
答えはウオアエイ。
ウーオーアーーエーーーイ一ィィッ!みたいに聞こえませんか?。
このビンに水を入れる時の音は万有引力で有名なあのニュートンの子供時代の研究だったという伝説?もあるようです。
ただ私、違和感がありました。だってただのビンから言葉みたいなモノが聞こえるんです。
勿論、ビンが発するのは、言葉ではなくただの「音」。
ウオアエイなら母音と分類される音です。英語とかの母音・子音の、母音です。
でもなぜビンから言語の母音的な音が聞こえるのでしょう。私はなぜ?と不思議になります。
もっと不思議なのは、その聞こえてくる音が様々な言語の母音にあることです。
例えば日本語は勿論英語にも。
日本語の順番はアイウエオ。英語は曖昧なア等もありますが、大雑把にはどの母音もウオアエイのどれかにまとめられそうです。
日本語と英語だけではありません。スペイン語の母音は日本語と同様ウオアエイの5つ。
フランス語には、鼻母音がありますが「鼻にかかってもアはア」のようにみなせば、やはり大雑把にウオアエイ。下の表のように中間的も母音もありますが、ウオアエイがあることはあるわけです。表で(+🐽)は鼻母音がある意味
最後に、ミャンマーから帰国した友人の話では、ミャンマー語も同様みたいです。
アだけ普通のアと曖昧なアの2種類。
どうやらどんな言語もウオアエイはあるのかも。
不思議に思いませんか?
<喉は一種のビン?>
繰り返しますが、ビンは「ウオアエイ」という音を立てる。
しかもどんな言語も母音にウオアエイのような音がある。
私はこの二つがとても不思議。そこで今村説を出しますw。
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どんな言語にもアイウエオはあり、ビンまでウオアエイという音を出すのは結局…
人間の口や喉は一種の物理的構造的なビンだから。人間がその「ビン」の構造で言語を話すので、どの言語にもウオアエイーというビンの鳴る母音がある。
言語の母音は元々ビンが立てるような音。
私ふざけているわけではないんです。というのは大学院で言語学を専攻した時、今の言語学の祖と言われる、Saussure / ソシュールと言うスイスの大言語学者の本を読みまして。要約すると、
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日本語では犬のことを「イヌ」という音で表すが、これは必然的にそう決まったわけではない。たまたまそうなっただけで、どんな音でもよかったはず。例えば「イナ」とか「イノ」とか。極端な話「ネコ」でもよかったはず。英語ならdogだが、これもたまたま。何でもよかったはずだ。「何でもよかった、たまたまそう」という性質を「言語の恣意性(しいせい)*」という。
*arbitrariness/アービトゥラリネス 形容詞は、arbitrary / アービトゥラリ
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言語学の初っ端だったせいか、言語のこの恣意性「何でもよかったのに、たまたまそう」という性質…..私とても印象的でした。
さてウオアエイに戻ります。私の考えです。
言語の音に関しては「何でもよかったのに、たまたまそう」とは言えない。人間の口や喉の構造によって、どの言語もウオアエイ的な母音を(中心に)使うしかない…..
言語の母音は、ウオアエイ(みたいな)音だけ。「これでもよかった」みたいな他の母音はそもそも存在し得ない、というわけです。
人間の言語は結局ウオアエイ?…..これ昔思いついてたら大学の言語学の教授たちに質問してたところですw。
さて言語学っぽい理屈はこれ位。今回は英語に限らず、言語一般についてのお話しでした。ともかく言語は面白いですね。特にあなたが学んでられる英語がますます面白くなるよう今年も色々情報をお知らせしますね。
See you next time,
Jiro
![](https://worldlife.jp/wp-content/uploads/2025/02/saussure01-20250210-160x90.jpg)
追記:
ソシュール氏の言う恣意性とは、音と意味の結びつきについてに限っていたかもしれません。また確かめてみたいと思います。
◯ソシュール の書籍
(仏版)Cours de linguistique generale
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(英語版)Course in general linguistics
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(日本語版)一般言語学講義
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私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員