電話を切る時,こう言ったことありませんか?
「じゃあまたね。はーい。」
この
「はーい。」
って結構使う人も多いかと思います。
考えてみれば,親しい人との電話でしか使わないこの「はーい。」,
ちょっと面白い表現ですよね。
ビジネスなどでは,
「それでは,失礼いたします。」
と言うことが多いと思います。
では,今日の質問です。
あなたは電話での「失礼します。」を英語で言えますか?
―いろいろな「失礼します」―
ひとえに「失礼します(いたします)」と言っても,その意味はたくさん。
A 他人のいる部屋に入る時
B 突然の連絡をする時
C 直接会わずにメールなどで連絡する時
D 忙しい相手に話しかける時
E 先に帰る時
F 電話を切る時
ざっと思いつくだけでも,6種類の「失礼します」があります。
(もっとあるかもしれません)
A~Dは,話し始めなど「最初」に言う「失礼します」。
そして,EとFは,帰る際や電話を切る際,「最後」に言う「失礼します」。
これら様々なシーンで使える「失礼します(いたします)」って,すごく便利な表現ですよね。
では,電話を切る時の「失礼します」って英語ではどう言うのでしょうか。
“Excuse me for hanging up now.”
(電話を切ることをお許しください。)
直訳的に英語にすると,このような感じになるの「かも」しれません。
なぜ,「かも」なのか…と言うと…
―そもそも,英語にはない?―
「それでは,失礼します(いたします)」などのように「断り」を言うことがありません。
あら,ここで気づかれた方,いらっしゃるかも知れませんね。
いつもお読みいただき,ありがとうございます!
そう,そうなんです。
前々回くらいの私のお話,
でもお伝えしたように,英語では
「お先に失礼します。」
という表現もないんです!
と言うことは,電話を切る時には英語ではどう言うのか…
ビジネスなどで,相手の忙しい時や普段はかけないような時間帯にかけた場合などは,
“I apologize for bothering you.”
(邪魔をして申し訳ありません。)
“I apologize for reaching out.”
(連絡をしてしまいすみません。)
のように言うこともできます。
ですが,もっとシンプルによく使うのが。
“Thank you. Bye.”
「え!そんなに簡単なの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。
電話を切る際には,「失礼します」ではなく,「ありがとう」の意味を込めて
“Thank you. Bye.”
(ありがとう。では。)
のような表現をよく使います。
もっと具体的に言う場合は,
“Thank you for your time. Bye.”
(お時間をおとりいただきありがとうございました。それでは。)
や,相手が電話をかけてきた場合は,
“Thank you for your call. Bye.”
(お電話ありがとうございました。それでは。)
のようなフレーズも使われます。
でもやっぱり,シンプルに
“Thank you. Bye.” で大丈夫!
さらに,
“Have a good day!”
(良い1日を!)
“Have a good night!”
(おやすみなさい。)
を付け加えたりすれば,英語に慣れている感がありますね。
でも付け加えないこともよくあるので,言わなくても大丈夫です。
―直訳は,一度立ち止まって考えてから―
このように,日本語特有の表現って,英語にはないものが多くあります。
何かの表現を英語にしたい場合は,一度,
「英語でも同じように言うのかな?」
と考えるのも大切。
でも,あまりに考えすぎて伝わらないことを言うよりも,「自分の知っている範囲」で伝えることも大切です。
だって,「失礼します(いたします)」って,漢字では「礼を失う」と書くじゃないですか。
あるお話によると,もともとの意味は,
「礼儀に欠ける行動や言動をします」
と,自分自身が「礼儀をわきまえない」行動や言動に対しての「断り」を言う言葉なのだそう。
だから,「失礼します。」=「礼を欠くことをします。」のうように訳してしまったら,
“I’ll exhibit behavior lacking in courtesy.”
(私は礼儀を欠いた振る舞いをします。)
なんだかすごく不穏な雰囲気じゃないですか?
(えええ!一体何をする気なんだ?)
と,相手を無駄な恐怖感に陥れてしまいそうです(笑)
なので,やっぱり直訳を意識せずに,状況を考えて自分の知っている範囲で表現できることを言う,ということが大切だと私は思うのです。
さあ,いつものように
「知識を増やし,知っている範囲で間違っても大丈夫。」
の精神でいきましょう〜。
きっとあなたは,これから電話を切る時に
「はーい。」
と言ってしまった瞬間,このエッセイのお話を思い出すことでしょう。
そういう魔法をかけておきました(笑)
それではまた来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。