「〇△×」
これらの形は、それぞれどのような意味を持つと思いますか?
いきなり何だ?と思われたかもしれませんが、ちょっと理由があるのです。
私は普段、英語を中心とした言語学習教材などの制作をしています。
小学、中学、高校、大学などの授業で使用するテキストやワークなどのアナログ教材や、
スピーキングやリーディング力などを鍛えるICT教材など、様々なものを制作しています。
現在携わっているプロジェクトには、自分の英語力や中国語、日本語力を簡単に、しかも正確に測定するAI レベルテストというものがあります。
韓国の会社と協同で制作しているのですが、現在は日本語版、韓国語版、中国語版があり、現在スペイン語版や他言語も制作中。
英語や中国語、日本語のレベルが、それぞれの言語で判定ができるようになっています。
「より良いプログラムを提供したい!」との思いから、
私たちは日々改良に改良を重ねているのですが、先日の会議でこんな話がでました。
「正解、不正解、惜しいなどを表す記号…どうする?国によって違うんだけど…。」
そう、いわゆる「採点記号」というものです。
冒頭でお話した「〇、△、×」。
日本では「〇=正解」「×=間違い」「△=惜しい、半分正解」のような意味で使用しますよね。学校のテストなどでは、「×=/」もあります。
私たちには「〇」というのは正解であり、肯定的な意味。
家電量販店などでも、値札の部分にそれぞれの機種などで搭載されている機能には〇がついていたりします。
それほど「〇」というのは肯定的な意味。
それは韓国もほぼ同じなのだそう。
だから現状のシステムでは問題がなかったのですが、スペイン語版や、
これからさらに他の言語も増やすとなると考えなくてはいけません。
そこで、「え?そんなに違うの?」と思うでしょう?
ふふふ…違うんですよ。
アメリカでは主に正解には、「✓」か何もつけない。
不正解には「×」か「〇」。
△はありません。
部分点を書いたり、半分ということで「1/2」と表したりするそう。
ちなみに「×」と思っているものは、正確にはBallotと呼ばれる「✗」という記号。
「〇」と思っていたものは
「間違っているから点数はなし」という意味の「0」なのだそう。
ただ、正解に「✗」を付けたりと、先生によってルールが違ったりもするそうなので
日本の「〇△×」のような厳密なイメージはないのかもしれません。
でもうよく考えると、欧米での「〇=不正解」というのは、
「〇=0」だと考えたら合点がいきます。
手書きで書いたら、〇も0もわかりませんもんね。
そうすると、「日本では何で『〇』が肯定的な意味なんだ?」と思った方、
いますよね~?
日本では「〇」は良いイメージととらえるからだそう。
つまり、角のない円満で完璧な形、ということ。
「〇」という形は縁起も良く、確かに満月なども良い意味で捉えますものね。
でも欧米ではちょっと違う。
「〇」は「0」でもある。
その形からも「中身のない空っぽ」とも考えられているそう。
あ、そういえば先ほどの満月で考えると、
満月になると変身する「狼男」など、
あまり良いイメージではないのかもしれません。
〇が良いイメージではない、とするとちょっと不思議な気もします。
では次に、「正解ではないけど不正解でもない」場合はどうでしょうか。
日本では、テストなどでは「△」を付けたりしますよね。
「△」を付けられると、ちょっとだけ先生の「やさしさ」が感じられたりします。
だって厳しい先生だと「×(/)」を付けますもの。
前述したように、アメリカでは「1/2」と書いたり、
そこに与えられる点数の「部分点」を書いたりするそうです。
しかしカナダではちょっと違うらしい。
カナダ人の上司に聞くと、
「カナダでは✓に棒がついた感じ。」
「ん?想像できない・・・」と思っていると
つまり「」←こういう感じとのこと。
これは中国やベトナムでも使うそう。
あ、正解が「✓」なのでそれをちょっと切る感じで「」として
「正解ではない。でも間違いでもない。」と表すのか…。
国が変われば、本当に違うものです。
これは慣れないと本当に難しいですね。
この「〇△×」日本人には「当たり前」のイメージですが、海外ではそのイメージは通じない。
いやぁ、面白いです。
こういう「あまり考えたことない」という情報を知ること、本当に面白い。
プレゼンの資料などでは、日本では「◎〇△×」などを使っているのをよく見ます。
でも、これは国際的なプレゼンでは通じないので気を付けないといけませんね。
良い場合は✅←これが一番良いらしいですよ。
「チェック」と入力すると、変換でも出てくるほどポピュラーなマーク。
なんといっても「チェックで緑」が「とても肯定的」なイメージなんだそう。
でも今はインターネットなど、ボーダーレスの時代なのですから、
今度は日本の「〇△×」が世界に普及していく(かも)しれませんよ。
「それはどういう意味のマーク?」
と、プレゼン資料を見た海外の人が興味を持ってくるかもしれません。
それは「あなたの資料」から始まるのかもしれませんよ。
みんなで日本の標準を世界の標準にしてもいいかも!
あ、でも取り急ぎ現段階でAIレベルテストの「〇△×」に相当するもの、
何か良いアイディアがあればご連絡くださ~い!(笑)
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。