問題:次の3つの言葉の共通点は何か?
比較する・集める・コンクリート
Hi!
火曜のJiroです。
これは私が中学生の頃、英語の先生が宿題に出した質問です。
当時さっぱり見当がつきませんでした。
「コンクリート」…「集める」…「比較する」…?
あちこちのコンクリートを集めて比較する? 何かの手品?…
何だろうと・・・かなり考えてましたが、共通点は全く思いつきません。でも
英語の先生からの質問です。英単語に関係してるはずだとは予想しました。
多分 compare, collect, concrete かなと
これを三語書いてみて、
何だか形が似ているなとは思ったのですが、
それ以上はどうしようもなく「どういうこと?」と疑問が消えません。
数日後とうとう答えが明かされます。
「集める」「比較する」「コンクリート」の共通点とは?
以下が、待ちに待った英語の先生の種明かしです。
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三つを英語にすると、compare, collect, concrete。
頭の綴りが三つともとても似ているね。
実はね、この先頭のcomとかの部分は『一緒に』という意味があるんだよ。
つまり、comare(比較する)は、「何かを一緒に比べる」、collect(集める)は、「何かを一緒に集める」、concrete(コンクリート)は「(コンクリートの材料が)一緒に固まってできる」
compare (比較する) :一緒に比べる
collect (集める) :一緒に集める
concrete (コンクリート) :一緒に固まってできる
漢字の「部首」って知ってるだろ?「氵 / サンズイ」とか「言 / ゴンベン」とか。漢字のパーツのことだね。
サンズイがついてたら、水に関係する言葉だって分かるよね。
英語も少し似たとこがあるから、これ知らなきゃ損だよね。
com-「一緒に」は最強パーツだから。
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初めて聞いた英単語のパーツの説明、私には目から鱗の思いでした。結構頑張って考えたので、そんな簡単なことだったのか!と。ですがそれと同時に2つの違和感も感じたのです。
理屈より慣れが大事
一つは、部首とかパーツと言っても、微妙に違うのではないか?という違和感です。
compare、collect、concreteなら、先頭のcom, col, con という違い、いちいち覚えられないな…という気持ちでした。
この違和感を持ったのは、今から何十年の自分。今の自分からすると「あまり気にしなくていいよ。そのうち慣れるからさ」と言ってやりたいです。
ただ少しだけコツも伝えるでしょう。詰め込もうとするより、間の繋がりを少し意識するようにすることだよと。
compare, collect, concrete
comの部分を試しに入れ替えてみると、colpare! とか、colcreteとか…とても変ですよね。
その「変だ」という感じが大事。「何だか変な感じ」がするなら、あなたはもう慣れて来ている証拠。
英語ではコンクリートは生きている?
違和感の二つ目は、comだけじゃないだろ、その後はどうなっているの?それはコツコツ覚えるの?という違和感。
でも任せてください、ここでは語源的に意外な意味や、単語同士の繋がりを知って楽しんでいくといいんですね。まさに単語DNAの考え方が力を発揮できるところです。
まずは concrete
con から後ろの -crete の部分は、以前にお話した「大きく成長する」という単語DNAの部分です。
なので、全体の意味としては…
concrete → con「(材料を)一緒にする」+ crete「大きく成長する」
コンクリ―トが「大きく成長する」って何だか変だと思われるかもしれませんね。「大きく成長する」なら生き物という感じだけど、コンクリートにはそぐわないと。
確かに鉄筋コンクリートは木造と比べると無機質で、生き物とは無縁な感じがします。
でも英語という言語では、生きているようだと、思われているようなのです。
というのも、水でこねた後、コンクリートが段々固まっていき、最後に固まる時、余分な水分が外に染み出てくることが、あるのだそうですが、この水を英語で bleeding water(血のように出る水)と言うんです。
(bleedは「blood(血)を出す・流す」)「血を流すコンクリート…」みたいな表現って、人か動物同然ですよね。
こんな意外性も concrete という単語には潜んでいたんですね。
com-は人生で最高に役立つパーツ?
ある研究者が、中3以上が勉強する位の英単語1000語を集めたそうで、結構基本的で大事な単語が中心になるはずなんですが、何と、com「一緒に」のパーツが、全体の8%以上の単語にでたとか。
これって80語以上ですよね。これほど沢山の単語に登場するパーツは、他にはなかったそうです。
これって「com / コン…=一緒に」を知っていると、結構分かる単語があるということですよね。
例えば
コンピューターはcomputer ですが、com- の意味さえ知っていれば、「ああデータを一緒に処理するからな」と語源に基づいたかなり正確な理解ができます。
(より正確には、puterは「植物の実等を見分け摘む」から「数字の処理」という意味に変化したとか。)
com- は本当に最高のパーツ、知らない手はありませんよね!
こういう風に意外な意味と単語同士の関連を知る面白さをもっとご紹介できたらと思います。興味を持って、英語を楽しく学び続けられればいいですね!
See you again!
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員