Hi!
火曜のJiroです。
曲だけ聞いて、作曲者が誰か当てたことはありますか?
歌っている人は分かっても、作曲者を当てられる人は少ないんじゃないでしょうか。実は私、以前たった一度だけ、曲だけを聞いて作曲者を当てたことがあるんです。
さだまさしと、語源への入り口
ある日帰宅途中にラジオをつけると、実に綺麗なメロディーが流れてきました。つい道路脇に停車して聞き入ってしまったんです。歌っているのは昔の女性歌手のよう。
♪I’m a singer 虹になりたい。歌い手は虹のように悲しみの雨の向こうで咲くもの…
「Rainbow〜I’m a singer」という曲名には覚えがありませんでした。
でも雰囲気的に、さださんのような気がしてきたんです。さださんとは無論「さだまさし」。デビュー当時の、空に抜けるような高音に震えたのは私だけではないでしょう。後から調べたら、やっぱりさださんの曲でした。
作曲者が分かると、今度は曲名の中の singer や sing の語源が気になり出しました。
英語では「歌」はsong / ソング。でもフランス語ならシャンソン、イタリア語ならカンツォーネ…なぜ「歌」はこんなに色々?
西洋の言葉は元々一つのはず。
今回はDNAを使って、言語ごとの「歌」を表す語を見てみましょう^^
英語はなぜ「sing」? ── 語源は「まじない」
英語 sing のDNAは SENGW/ セングウ)。「スイング」と似た響きですね。その意味は「まじないを言う」だったようです。
面白いのは、この SENGW が singe /シンジ(焦がす)のDNAでもあるという説。「焦がす」といえば火を使った儀式の雰囲気。炎と煙の中でおまじないが唱えられる——そんな由来から、英語では「歌う」を sing と言うようになったのかもしれません。
SENGW(煙を焚き、まじないを言う)→ sing(歌う)/singe(焦がす)
フランス語はなぜ「シャンソン」? ── 語源は「叫びまくる」
chanson / シャンソンは特別なジャンルのように聞こえますが、フランス語では単に「歌」のこと。そのDNAは KAN /カン で、意味は「叫ぶ・大声を出す」。そこから「歌う、歌や呪文でうっとりさせる」へと変化したようです。
「カン」と「シャン」では大違いのようですが、シュやシャの音はフランス語らしい変化ですね(シャンゼリゼ、シュークリームなど)。ちなみに語尾の「ソン」は「繰り返し」の意味の名残。
つまりシャンソンの語源は、ズバリ**「叫びまくる」**。上品なはずのシャンソンに、意外な語源です。
KAN(叫ぶ)→ 大声の呪文を繰り返す → 歌で魅惑する → chanson(歌)
このDNA KAN は英語の incentive / インセンティブの「cen」にも入っています。「叫び」がなぜ「動機付け」につながるのか?
心の中(in)が、叫び → 声援 → やる気(cen)でいっぱい(tive)…
やる気を「心の中の声援」と捉えているわけです。なかなか味わい深い発想ですよね。
心を「やる気(cen)」で満たす → incentive / インセンティブ
ドイツ語はなぜ「リート」? ── 語源は「褒め讃える」
ドイツ語の Lied /リート は「歌」。菩提樹や鱒などの名曲で知られますね(英語の lie(嘘)とは無関係です、念のため)。
そのDNAは LEU /レウで、意味は「褒める」。歌で褒め讃える感じがそのまま由来になっているようです。「レウ」が「リートゥ」へと音が変化しています。
LEU(ほめる → 歌で讃える)→ Lied(リート)
同じDNAは英語の allow / アラウ(許す)にも入っています。
ad(〜に向かって)+ LEU(誉める)→ 是認する → allow(許す)
「許す」とは、相手の行為を認め、褒め受け入れること——そんな意味の変化が見えてきます。
まとめ ── DNAで見えてくる意外なつながり
冒頭の「I’m a singer」を作ったさださん。singer なので singe(焦がす)つながり。遥か昔の異国、燻る煙の中で歌う僧がさださん似だったりしてw
冗談はともかく、今回分かったことをまとめると:
・各言語の「歌」がバラバラなのは、DNAそのものが別だから
・それぞれの語源には、儀式・叫び・讃美といった人間の根源的な営みが宿っている
・DNAを辿ると、一見無関係な単語(singe、incentive、allowなど)との思わぬつながりも見えてくる
こうして意外なつながりを辿りながら楽しく英語が学べると——やっぱり良いですね。
See you soon!
Jiro
追伸①: イタリア語の canzone(カンツォーネ)は「民謡や歌謡曲」の意味。DNAはシャンソンと同じ KAN。やはり元々「大声の叫び声連発」から来ています。カンツォーネの方がむしろぴったりな語源かもw
追伸②: ロシア語の「歌う」петь(ピエット)は、「(酒を)飲む」пить(ピット)と関係するそう。歌は「酒を大地に注ぐ(飲ませる)儀式」に由来するとか。発音もピエ…とピ…でそっくり。さすがウォッカの地ですw
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員

