英語に関する仕事をしていると、日本人は内向的だから、遠慮がちだから英語が話せないとかをよく聞きます。
今日はそんな内向的で遠慮がちな性格に、スマホが関係してるかも?というお話です。
数年前一人のアメリカ人が実験を行いました。
そのテーマとは、「電子端末使用後どれだけ人は遠慮がちになるか」です。文字通りの実験ですね。
実験の主宰者はAmy Cuddyと言うアメリカ人の女性。
結果は「小さな端末を5分程使えば、自分の意見が出にくくなる。その遠慮する傾向は端末の小ささに比例する」というものでした。つまり、小さい端末を使えば使うほど、しかも画面が小さくなればなるほど、人は自分の意見が出にくくなるということらしいのです。
「えっそういう理由?」
ではどういう理由でそう言えるのでしょう。それを知るために実験内容をもう少し見てみましょう。
実験の参加者は22,3歳位の若者75人。サイズの違う端末を渡され、その端末を使って(実は無関係の)アンケートに回答したり、またゲームを5分行います。
すると実験者が来て端末を回収後こう告げます。
「今から5分経ったら実験結果を言いに来ます。もし来ない場合は、外に呼びに来てください。」
そう言われた参加者が呼びに来るかどうか、来るとしたら何分後に来るかを調べ、またそのデータと使った端末サイズとの関係を調べました。
そうすると、スマホの人は半数しか呼びに来なかったのに対し、画面の大きいDesktopの人はほぼ全員しかもすぐに呼びに来たそうなのです。
Amy Cuddyさんのベストセラー「Presence」から、この実験結果についてほぼ次のような理由付けが読み取れます。
人間の頭は約5キロ。前屈みになると約27キロに相当する(携帯使用中はボーリングの玉5個分位の重さを首や肩で支えているに等しい!)この位の重みを支える体は姿勢がとても悪くなり、気持ちにまで悪影響を及ぼす。
言動が消極的で引っ込み思案になる。(生理的にもホルモンバランスが変化する。)画面が小さくなるほど姿勢の悪さは強まるので、端末が小さくなるほど物事をはっきり言わなくなる…..
ということのようです。これを知り、さきほどの「えっそういう理由?」で、私は結果の理由付けにも、とても驚いたと言うわけです。
で、この結果を知った私ですが、「えっ?こんなこと本当にあるの?」と思いました。もしですよ。
もし、「電子端末を5分使用すると、人は思ったことを遠慮して言わなくなる。その傾向は端末が小さくなるほど強くなる。」のだとしたら、現代人のほとんどの人が内向的になってしまいますよね。
まず、スマホの普及率。今の時代、スマホを持っていない人が珍しいくらいですよね。スマホを使わない日はないし、仕事関係でもプライベートでも、使わないと今の生活が成り立たなくなる可能性だってあるわけです。
現に私も仕事はほとんどZoomだし、この原稿を読んでくださっているのもスマホの方がほとんどではないでしょうか。
もし、スマホやPC使っていると遠慮傾向が高まるとしたら….もし、いつの間にか、知らないうちに、思ったことが言えなくなってくるとしたら…
これでは「スマホ捨てようか?!」という話です。ですが、この話を聞いて、あることを思い出しました。それは、人は身体の動きに心が釣られることがあるということ。
言うべきか、言わないか…
彼女の言っていることはどういうことなのでしょうか。
ちょっと踏み込んで見てみましょう。
誰でも気持ちが落ち込むとうつむきがちになったりしますよね。あるいは逆に気分がいいと、背筋が伸びて歩幅が伸びたりすることありますよね。こういう風に、心が体に影響するというのは普通。
でも彼女のテーマは、それとは逆。体の姿勢が心へ及ぼす影響だそうです。姿勢を変えるだけで心が変わる。それを活用して、姿勢から自分の心と人生をコントロールしようということのようです。
この「体から心へ」の簡単な例としては、鉛筆を歯に挟んで笑顔を作ると、それだけで嬉しい気分になるそうです。あとで鏡の前ででもやってみてください。
彼女の実験や理論が本当に妥当なのか、専門家の間でも賛否両論だそうです。
私には到底判断する力はありません。ただこの実験に触れて二つのことを思っています。
一つは姿勢良くしたいなということ。姿勢が良いとやはり気分が前向きに明るくなる気がします。
もう一つは、PCなどを使っても休憩とったり姿勢に気を付けて影響を減らそうということです。
私も(日本人らしく)人前ではっきり自分の意見を言うのが苦手です。その傾向が強まって完全な無口になると困るのでw
海外でスマホがないと?
まだコロナ禍の前、海外行ったら、急に遠慮しなくなる人いませんでしたか?
日本だと遠慮がちな人が、海外に行くと急に率先して話しかけたり、社交的とまでは言わなくとも活発になる人っていませんでしたか?
これって海外行ったら電波入らなくてスマホ使わないからかもしれませんねw。
冗談はさておき、今回の実験を知ったのはYoutubeがきっかけ。そのYoutubeも英語、彼女の本に触れたのも、全て英語を通してです。まさに英語の有難みを実感です。やっぱり英語を学ぶと世界が広がるんですね。
See you again!
PS.(追伸)
今回のAmy Cuddyさんは、数年前にブレークした方です。Youtubeの彼女のトークは 6000万回以上再生!字幕付き(英・日)で見られます。↓
https://www.ted.com/talks/amy_cuddy_your_body_language_may_shape_who_you_are?language=ja
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員